不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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名古屋圏・地方圏のマンション市場|平成29年第2四半期

国土交通省は8月25日、全国主要都市の計100地区を対象に四半期ごとに実施している「主要都市の高度利用地地価動向報告(地価LOOKレポート)」を公表。

地価動向の把握を目的とした調査レポートではあるが、マンションの市況も掲載されている。

平成29年第2四半期(平成29年4月1日~平成29年7月1日)の名古屋圏・地方圏の新築分譲マンションの価格動向を中心に、鑑定評価員(不動産鑑定士)のコメントをピックアップしておこう。


もくじ

概況

  • 名古屋圏(9)では、平成 25年第2四半期から 17回連続ですべての地区で上昇となった。
  • 地方圏(23)では、上昇が 20地区(前回19)、横ばいが3地区(前回4)となり、約9割の地区が上昇となった。

平成29年第2四半期 主要都市の高度利用地地価動向報告
「平成29年第2四半期 主要都市の高度利用地地価動向報告」より

名古屋圏

名古屋市(東区/大曽根)

高止まり傾向にある建築費をマンション販売価格に転嫁が可能な地区としてデベロッパーに認識されており、マンション分譲価格は緩やかな上昇基調にある。

地価動向

  • 当地区内にある大曽根駅は鉄道3路線が乗り入れており名古屋駅及び栄駅への交通の便が良く、生活利便施設も充実しているため、都心へのアクセス性を重視する単身層やDINKS層のみならず、ファミリー層等の中間所得者層からのマンション需要が見込める地区である。
  • したがって、マンション素地が供給されればマンションデベロッパー間での取得競争が予想される。
  • よって、マンション素地に対する取得需要が当期も続いており、取引価格が緩やかに上昇していることから、当地区の地価動向はやや上昇傾- 向にある。

将来地価動向

  • マンションデベロッパーは依然として高止まり傾向にある建築費をマンション販売価格に転嫁せざるを得ない状況にあるが、そのような転嫁が可能な優良物件に対する各デベロッパーの素地取得意欲は旺盛で、当地区はこうした転嫁が可能な地区としてデベロッパーに認識されており、マンション分譲価格は緩やかな上昇基調にある。
  • このような状況から、当地区は事業採算が見込めるマンション素地への強い需要が当面見込めるため、将来の地価動向はやや上昇傾向が続くと予想される。
名古屋市(千種区/覚王山)

分譲価格が相対的に割高であっても販売状況は好調で、購買力のある高所得者層からの強い需要が当期も見られた。郊外のマンションについては、売れ行きの格差が大きい。

地価動向

  • マンションデベロッパーは高止まりしている建築費をマンション分譲価格に転嫁せざるを得ない状況になっており、マンション分譲価格の上昇要因となっている。
  • こうした状況の中、当地区は名古屋市内でも名声の高いエリアであるため、高所得者層をターゲットとした分譲マンション需要が見込めることから建築費の上昇分を分譲価格に転嫁可能であるため、デベロッパーの取得競争による取引価格の緩やかな上昇傾向が当期も見られた。
  • したがって、当期の地価動向はやや上昇傾向で推移した。

将来地価動向

  • 名古屋市内でも都心へのアクセス性に優れ、仕様グレードの高いマンションは、分譲価格が相対的に割高であっても販売状況は好調で、購買力のある高所得者層からの強い需要が当期も見られた
  • 一方、ファミリー層等の中間所得者層が購入者の中心となる郊外のマンションについては、売れ行きの格差が大きく、立地条件の優劣によって売れ行きに差が生じており、立地条件が劣るマンションの需要は相対的に弱くなっている。
  • 当地区については、立地条件に優れ、さらに高所得者層の需要が見込める状況に変化はないため、マンション開発素地に対するデベロッパーの旺盛な取得需要は当面続くと見込まれる。
  • したがって、当地区の将来の地価動向は引き続きやや上昇傾向と予想される。
名古屋市(昭和区/御器所)

中間所得者層のマンションに対する物件選好性は厳しくなっているが、割安感のある物件や立地条件に優れる物件の販売状況は堅調である。

地価動向

  • 当地区は都心への接近性が良く、幹線道路沿道等の生活利便施設も充実し、住環境も良好であるため、当地区内のマンションは利便性を重視するDINKS層のみならず、ファミリー層等の多様な需要も見込める。
  • 一方、マンションデベロッパーは高止まりしている建築費をマンション販売価格に転嫁せざるを得ない状態が続いているが、当地区では多様な需要層を前提に柔軟で安定したマンション分譲事業が見込めるため、マンション開発素地に対するデベロッパーの取得需要は強い状態が続いている。
  • 以上から、当地区の取引価格は緩やかに上昇し、当期の地価動向はやや上昇で推移した。

将来地価動向

  • 中間所得者層のマンションに対する物件選好性は厳しくなっているが、割安感のある物件や立地条件に優れる物件の販売状況は堅調である。
  • そのなかで当地区は交通利便性や生活利便施設の充実等の優位性によって多様な需要者が見込めることから、上昇した建築費を転嫁しても一定の事業採算性が確保できる状況が当面続くと予想される。
  • こうした状況を背景に、当地区でマンション開発素地が供給されればマンションデベロッパーから相応の需要が見込め、将来の地価動向はやや上昇傾向が続くと予想される。

地方圏

札幌市(中央区/宮の森)

新築マンションの分譲価格は依然として上昇傾向にあり、中古マンションの取引件数や価格も上昇傾向が継続している。

地価動向

  • 札幌市の新築分譲マンションの約半数が中央区で供給されており、特に当地区では現在も多くのマンションが供給されている。当地区の居住環境、市内中心部へのアクセス、従来からの評判の良さが広く認識されており、道内外及び海外からの需要が見込まれる。
  • したがって、新築マンションの分譲価格は依然として上昇傾向にあり、中古マンションの取引件数や価格も上昇傾向が継続している。
  • また、当地区は賃貸需要も強く、賃貸マンション供給も多いが、海外富裕層による賃貸マンションの1棟取得取引も見られた。
  • 当地区及び周辺のマンション分譲価格は地元中間所得層の購入可能な価格水準を超えているが、一部の地元富裕層や東京、海外等の富裕層からの強い需要が見られ、マンション分譲価格は当期も上昇傾向となった。
  • したがって、デベロッパーによるマンション素地取得需要は強く、当地区の地価動向は上昇が続いている。

将来地価動向

  • 当地区の良好な生活環境や札幌市中心部へのアクセスの良さなどから、新築マンション分譲価格及び中古マンション価格ともに上昇傾向を示している中、一定のブランド価値を持つ立地であることから今後とも道内外、海外からの需要が安定的に見込まれる。
  • したがって、道内外のデベロッパーの開発意欲やマンション適地に対する需要は堅調に推移する見通しである。
  • また、マンション開発が進んだ当地区における大規模なマンション素地の供給は今後限定的なことから、新築分譲マンションの供給過多によって分譲価格が値崩れすることは考えにくい
  • 以上から、エンドユーザーによるマンション取得需要に伴うデベロッパーによるマンション素地取得需要に支えられ、将来の地価動向は当面は上昇が継続すると予想される。
仙台市(青葉区/錦町)

マンション分譲価格の上昇が続いていたが、追随可能なエンドユーザーの減少及び供給の増加等により物件の選別が厳しくなりつつあり、高価格帯の新築分譲マンションはやや動きの鈍い状態となっている。

地価動向

  • 分譲マンション市場について、仙台市内では建築費の高止まりとマンション素地価格の高騰からマンション分譲価格の上昇が続いていたが、追随可能なエンドユーザーの減少及び供給の増加等により物件の選別が厳しくなりつつあり、高価格帯の新築分譲マンションはやや動きの鈍い状態となっている。
  • しかしながら、当地区のような市内中心部への接近性・住環境に優れた古くから名声の高いエリアについては富裕層を中心として堅調な需要があるため、安定した事業採算が見込めることからデベロッパーのマンション素地取得意欲は依然強い。
  • 賃貸需要も安定しており、募集・成約賃料は高止まりの状況にあり、単身寮等の収益物件の取引も見受けられる。戸建住宅地についても金融緩和及び金利先高観、供給不足感により需要が旺盛な状況が継続している。
  • 以上より、地価動向は引き続きやや上昇傾向で推移している。

将来地価動向

  • 仙台市内の分譲マンション市場においては、上記のとおり、供給が増加したこと等からエンドユーザーによる物件の選別が厳しくなっており、市況の減退が懸念されている。
  • ただし、当地区は立地・住環境ともに高い優位性があることから今後もデベロッパーを中心としたマンション素地の取得需要の集中が予想され、また安定した賃貸需要により収益物件としての投資需要も見込める。
  • 以上から、将来の地価動向はやや上昇すると予想される。
草津市(南草津駅周辺)

中古マンションの売れ行きが引き続き好調で、新築マンションについても売れ行きが好調

地価動向

  • 当期は当地区及びその周辺地区においてマンション開発素地の取引は見られず、また、新築マンションの新たな供給も見られないが、南草津駅で平成30年2月頃竣工予定の新築マンションが当期に完売した。
  • 草津駅・南草津駅を最寄り駅とする分譲マンションは近年ほとんどが竣工前に完売している状況で、当期も引き続きマンション需要は強い。
  • また、隣接する大津市でもマンション計画が多く見られ、また、分譲中の物件についても売れ行きは概ね堅調で、竣工後に完売する物件も見られる。
  • なお、草津駅、南草津駅周辺では大規模な土地の供給がほとんど見られず、開発適地も限られていることから、新築マンションの供給は限定的に行われると見込まれる。
  • しかし、中古マンションの売れ行きが引き続き好調で、新築マンションについても上記のとおり売れ行きが好調である。
  • 以上の状況から、JR草津駅、南草津駅から徒歩圏内の物件を高く評価するデベロッパーが多く、当地区に対する土地取得需要は強いため、当期の地価動向はやや上昇で推移した。

将来地価動向

  • 当地区は住環境が良好である点や新快速停車駅で利便性が高いこと等から、県内でも分譲マンションの売れ行きが好調なエリアの1つであり、南草津駅からの徒歩圏内を中心に、マンションデベロッパーから事業成立性が県内で最も高い地区と評価されている。
  • 当地区はマンション素地の供給が限定的で、新規のマンション分譲は少ないが、近年新築マンションのほとんどが竣工前に完売していること等から、エンド需要を背景にマンションデベロッパーの取得意欲は引き続き強い傾向が窺える。
  • 草津市の人口は増加傾向は続いており、また、マンション適地の土地の供給も限定的で、前記の市況から当分の間はマンション需要は堅調に推移すると予想される。
  • 素地に対する取得需要は引き続き旺盛で、将来の地価動向はやや上昇傾向が続くと予想される。
広島市(中区/白島)

マンションの分譲価格は高水準となっており、全体的に販売は好調といえるが昨年末に新規供給が集中した影響もあり、完成在庫がエリア全体で470戸程度と近年ない水準

地価動向

  • 市内全体で新築賃貸マンションの供給が進んでいるため、当地区を含め新規賃料は横ばいで推移している。
  • 市場に供給される投資用賃貸マンション等は減少傾向にあるが、取得需要が強い状況に変化はないため、収益物件の取引価格は上昇傾向で推移している。
  • 一方、マンションの分譲価格は高水準となっており、全体的に販売は好調といえるが昨年末に新規供給が集中した影響もあり、完成在庫がエリア全体で470戸程度と近年ない水準となり今後の動向に注視を要する。
  • 当期は、当地区及び周辺地区で賃貸マンションやマンション開発素地が取引され、相場をやや上回る取引が見られた。
  • 開発素地の仕入れが困難な状況が続いていることから取引価格はやや上昇傾向にあり、そのため、地価動向はやや上昇している。

将来地価動向

  • 当地区はブランド力のある住宅地であることに加え、新白島駅の開業効果が定着したため、富裕層向けの戸建住宅や分譲マンション及び賃貸住宅等の開発素地の需要は当面強い状態が続くと予想される。
  • 利便性の良い高級住宅街では戸建需要が強く、高額の取引が見られることから、当地区の旺盛な住宅需要に牽引され、取引価格の上昇は当面続くことが見込まれる。
  • 周辺では、駐車場として利用していた土地が賃貸マンションとして建築される事例や相続対策による賃貸住宅の建築が増えているため、今後の賃貸マーケットへの影響が懸念されるが、将来の地価動向はやや上昇傾向が続くと予想される。
福岡市(中央区/大濠)

福岡市内の立地条件等が優れた分譲マンションの売行きは鈍ってきている

地価動向

  • 当地区及び市内の優良マンション供給エリアでマンション素地の目立った取引はなかった。
  • 福岡市内の立地条件等が優れた分譲マンションの売行きは鈍ってきているが、供給が比較的抑制的で在庫も概ね順調に消化できており、市況悪化の警戒感は強まっているいるものの、極端な値崩れは見られず依然として安定した状況を維持し、マンション分譲価格は概ね横ばいで推移した。
  • 当地区のマンション素地購入に対して依然として前向きなデベロッパーが存在しており、マンション素地が供給されれば取引価格の上昇が見込まれることから、当地区の地価動向は依然としてやや上昇傾向にある。

将来地価動向

  • 優良マンション供給エリアではマンション分譲価格に上昇余地はほとんどなくなっている。
  • それでも依然として素地購入意欲が旺盛なデベロッパーは複数存在しており、販売状況も現在までのところ極端な悪化は見られていないことから、景気の急激な変化や、売残り物件の割引販売等が拡大しない限り、現在の状況はもうしばらく続くことが予想される。
  • したがって、将来の地価動向についても、やや上昇傾向が続くと予想される。

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