金沢市が民泊との共存に悩んでいる、という日経の記事。
金沢市内の民泊状況をまとめておいた。
悩む金沢の宿泊施設(日経記事)
5月末で191件。1年で倍増。うち営業許可を得たのは113件だという。
民泊との「共存」いかに 悩む金沢の宿泊施設、合意形成に難しさ
「違法な民泊では」。昨年11月、金沢市に情報が寄せられた。調査の結果、旅館業法の許可を得ずにアパートに人を泊めている実態が浮上。所有する東京都内の企業を突き止めたが、返答は「出張で社員が使う寮」だった。その後、市は別の物件でも同様の事実を把握。同社は3月、ようやく違反を認めて閉鎖した。
大手民泊仲介サイトに載る市内の物件(部屋数)は5月末で191件。1年で倍増した。うち営業許可を得たのは113件で、63件は物件の所在地すら不明だ。物件数が約5千件で9割近くが無許可とみられる京都市よりは小規模だが、来年の住宅宿泊事業法(民泊法)の施行を受け、急増する可能性がある。
(中略)
「加速度的に広がるシェアビジネスは後手に回ると対応が難しい」(矢ケ崎准教授)。本格的に増える前の今こそ、官民がスピード感を持って「金沢型民泊」を議論する必要性が高まっている。(日経新聞 8月24日)
金沢市内のAirbnb登録件数は230件
金沢市内のAirbnb登録物件は230件(8月24日現在)。
金沢公園の周辺に多く分布している(次図)。
(AirLABO地図)
過去2年間のAirbnb登録件数の推移は次図のように、コンスタントに増加している。
登録件数は230件のうちマンション(あるいはアパート)が103件(45%)、一軒家が84件(37%)。
(AirLABOデータ等を元に作成)
2年間で合法民泊(簡易宿所)が急増
Airbnbに登録されている230件が全て違法民泊という訳ではないようだ。
市のホームに「旅館業許可施設一覧(平成29年7月31日現在)」として、ホテル72件、旅館58件、簡易宿所101件のリストが掲載されている。
同リストに掲載されている各施設の「許可年月日」をもとに、14年以降の認可件数を可視化してみた(次図)。
新規に増えたホテルや旅館はほとんどないが、16年以降、簡易宿所が急増していることが分かる。
金沢市長の見解「慎重に丁寧に議論」
金沢市長は3月14日の定例会で、民泊に対して「有識者の意見も聴取した上で、御指摘のように慎重に丁寧に議論を進めてまいります」と答弁している。
長坂星児議員
(略)宿泊税や民泊について、庁内プロジェクトを立ち上げ検討するとのことでありますけれども、賛否は別にして、本市が検討を進めることを早速報道等でも取り上げられるなど、市民や関係者にとって非常に関心の高い事案であるだけに、慎重かつ丁寧な検討が求められると考えるものですが、どのように検討を進めていくのか(略)
山野之義市長
(略)宿泊税及び民泊等宿泊対策の検討につきましては、庁内の関係課からなりますプロジェクトチームで、課題の洗い出し、方向性の検討などを行い、必要に応じ検証会議にもフィードバックしながら、有識者の意見も聴取した上で、御指摘のように慎重に丁寧に議論を進めてまいります。(略)
この答弁では、民泊をどうしようとしているのか、方向性がサッパリ分からないのだが……。