不動産経済研究所が8月8日、「2017年上期及び2016年の首都圏投資用マンション市場動向」を発表。
地価の上昇によって都心中心の展開は難しくなったという。
どういうことなのか、一般の新築分譲マンションのデータも交え可視化してみた。
- エフ・ジェー・ネクスト(1,072戸)2年連続の首位
- 上位5社のシェア 5割を切る
- 「対一般新築分譲マンション比率」が急上昇
- 投資用マンションのm2単価は頭打ち
- 投資用マンションの平均専有面積は約25m2
- マンション投資で元が取れる上限価格に近付いてきた!?
今後の首都圏の投資用マンション市場は、地価の上昇によって都心中心の展開は難しくなったものの、当面の供給はエリアを拡大して安定的に推移する見込み。
しかし、さらに地価が高騰して低価格帯の住戸の供給かさらに減少することになれば、購入層の一部が首都圏の新築市場から中古や首都圏以外のエリアの市場に流れるなどして需要が落ち込み、供給が減少する可能性もある。
(「2017年上期及び2016年年間の首都圏投資用マンション市場動向」より)
エフ・ジェー・ネクスト(1,072戸)2年連続の首位
2016年年間の供給戸数トップはエフ・ジェー・ネクスト(1,072戸)で、2年連続の首位。
- エフ・ジェー・ネクスト(1,072戸)
- 木下不動産(650戸)
- シノケンハーモニー(610戸)
- TFDコーボレーション(592戸)
- 青山メインランド(519戸)
過去に発表された資料もひも解き、事業主別の供給戸数の推移をグラフ化してみた(次図)。
エフ・ジェー・ネクストがブッチギリの1,000超えであることが分かる。
上位5社のシェア 5割を切る
投資用マンション供給戸数上位5社のシェアは次図のとおり。
11年にピーク(71.9%)を記録したあと5割で推移していたが、16年は5割を切った。
今回発表されたデータだけでは、全体像がつかみにくいので、同研究所が定期的に発表している一般の新築分譲マンションのデータも交えて、首都圏の投資用マンションのトレンドを可視化(グラフ化)してみよう。
「対一般新築分譲マンション比率」が急上昇
「対一般新築分譲マンション比率(一般新築分譲マンションに対する投資用マンションの供給戸数の割合)」は、リーマンショックが発生した08年の16%をピークに乱高下しながらもやや減少傾向にあったが、ここにきて急上昇している(次図)。
急上昇の原因は、投資用マンションの供給戸数が増えたことよりも、一般新築分譲マンションの供給戸数が大きく減少していることの影響が大きい。
※一般の新築分譲マンションに投資用は含まれていない。念のため(よくある質問より)。
投資用マンションのm2単価は頭打ち
一般新築分譲マンション(23区)のm2単価は上昇を続けているのに対して、投資用マンション(首都圏)のm2単価は頭打ち(次図)。
投資用マンションの平均専有面積は約25m2
一般の新築分譲マンションの平均専有面積は70m2程度なのに対して、投資用マンションは25m2程度。
投資用マンションは、ワンルームタイプが多いことが推察される。
マンション投資で元が取れる上限価格に近付いてきた!?
一般新築分譲マンションの「平均専有面積」と「平均単価」の推移をみてみると、首都圏、23区ともに、09年までは毎年、専有面積を小さくしながら分譲単価を抑えていたのだが、最近は面積が小さいままで分譲単価が上昇していることが分かる(次図)。
一方、投資用マンションは、一般新築分譲マンションとは逆に、13年までは分譲単価を抑えながら、若干ではあるが専有面積を増やしていることが分かる(次図)。
13年以降、平均面積があまり変わらずに単価が上昇しているのだが、17年上期で単価の上昇が止まったように見える。
マンション投資で元が取れる上限価格に近付いてきたということなのかもしれない。
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