羽田新飛行ルート問題について、これまでに都議会と区議会での議論を整理した。
そこで、国会での議論も整理しておこう。
- 様々な関係者と連携(石井大臣 17年6月)
- 騒音の大きさに応じた料金体系に変更(航空局長 17年5月)
- 「全然お答えになっていない」(共産党 17年4月)
- 落下物対策の強化、安全対策の徹底(石井大臣 16年11月)
- 何か御見解ございますか(民進党 16年4月)
- 地元の理解を得て、飛行経路を見直(石井大臣 16年3月)
- 雑感
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具体的には、「国会会議録検索システム」で「羽田」で検索をかけて、16年1月以降の主な議論を拾ってみた。
※以下新しい順。敬称略。
様々な関係者と連携(石井大臣 17年6月)
参 - 決算委員会(17年6月5日)
朝日健太郎(自民党)の質問に対して、石井国交大臣は「羽田空港の飛行経路見直し・・・様々な関係者と連携して具体化し、実行していかなければならない」としている。
朝日健太郎(自民党)
(略)2019年ラグビーワールドカップ、2020年東京五輪、そして2021年は関西ワールドマスターズと、世界のビッグイベントが控えています。こうした中で、我々は2020年東京大会に向けて、選手、関係者、観光客など多くの外国人が日本を訪れると思いますが、この外国人の受入れに際して、基礎的なインフラとして国が提供すべきこと、果たすべき役割は大きいと思います。この点について石井大臣の御見解を伺いたいと思います。
国務大臣(石井啓一)
(略)ストレスなく快適に観光ができるように、出入国管理体制や多言語の対応、通信、決済などの滞在環境を向上するほか、クルーズ船の受入れ環境の整備や、羽田空港の飛行経路見直しに必要な施設整備など首都圏空港の機能強化を進めるといった施策を、関係省庁、民間企業等、様々な関係者と連携して具体化し、実行していかなければならないと考えております。(略)
騒音の大きさに応じた料金体系に変更(航空局長 17年5月)
衆 - 国土交通委員会(17年5月24日)
低騒音機への誘導の対策として、この4月から騒音の大きさに応じた料金も付加する体系に変更された。
松原仁(民進党)
(略)羽田空港においては、騒音問題というのがいわゆる羽田増便問題で大きな議論になっておりますが、騒音の少ない飛行機が羽田に来るようにしますとよく言われております。そのための方策というか、からくりといいますか、そのための仕様というものをお伺いいたします。
佐藤政府参考人(国土交通省航空局長)
低騒音機への誘導の対策ということでございます。
国際線の着陸料につきまして、従来は航空機の重量、重さのみに基づく料金体系となっておりましたが、本年の4月1日から、騒音の大きさに応じた料金も付加する体系に変更いたしました。すなわち、騒音の大きな航空機ほど着陸料が高くなるということでございます。
今後とも、この低騒音機への誘導等によりましてできる限り騒音影響等を小さくした上で、2020年までに飛行経路を見直し、羽田空港の機能強化を実現したいというふうに考えてございます。
「全然お答えになっていない」(共産党 17年4月)
衆 - 総務委員会 (17年4月6日)
共産党委員からの「住民からの不安の声があるか」という質問に対して、「御理解を得るべく努力をしているところ」と答える政府参考人(航空局航空ネットワーク部長)。
梅村さえこ(共産党)
きょうは、電波法改正案、航空機局の無線設備について質問いたします。
まず、空の安全は、今、国民、市民の大きな関心、そして不安事になっていると思います。2020年、羽田空港増便計画で、埼玉県南部での飛行計画、また住民からの不安の声があるか、お答えください。
和田政府参考人(航空局航空ネットワーク部長)
我が国の国際競争力の強化、また急増する訪日外国人旅行者の受け入れ等の観点から、羽田空港の機能強化は必要不可欠と考えており、飛行経路の見直し等によりまして、発着枠を、2020年までに約四万回、1日当たり50便になりますけれども、拡大することを目指しております。
これを実現するためには、できる限り多くの方々に御理解をいただくことが重要と考えておりまして、現在、説明会の開催で、御理解を得るべく努力をしているところでございます。
梅村さえこ(共産党)
事前に御質問すると言った内容が全然お答えになっていないんですけれども、(略)
落下物対策の強化、安全対策の徹底(石井大臣 16年11月)
衆 - 国土交通委員会 (16年11月16日)
「落下物対策を強化し、安全対策の徹底を図りたい」(石井大臣)。
※至極当然な答えしか引き出せなかった民進党議員の質問力・・・・・・。
松原仁(民進党)
(略)今国が提案している新しい航空経路は人口密集地の上を飛んでいるわけでありまして、住民が不安を感ずるのは当たり前であります。大丈夫なのか、こういうふうな不安の声が上がるのも当然であります。
私は、羽田空港における新飛行経路の導入に当たって、航空会社をしっかりと指揮、指導するなど、国としての責任を持って落下物対策に取り組むべきだと思いますが、大臣の御所見をお伺いします。
石井国務大臣
委員御指摘のとおり、羽田空港における新飛行経路の導入に当たりましては、これまで以上に落下物対策を強化し、安全対策の徹底を図りたいと考えております。(略)
何か御見解ございますか(民進党 16年4月)
参 - 環境委員会(16年4月21日)
※中途半端な質問に落選の兆候が感じられる。
水野賢一(民進党)※16年7月選挙で落選
(略)これはやっぱり東京タワーよりも低いところを住宅地の上を日常的に飛ぶということについては、何か意見というか、ただまあ飛行ルートとかそういうことについては直接的にそれは国交省の所管かもしれませんけれども、何か御見解ございますか。
国務大臣(丸川珠代)
所管外でございますが、どの程度そのルートを頻繁に利用するか等、ルートも具体的に確認をしておりませんので、確認をさせていただきたいと思います。
水野賢一(民進党)
この問題は、またしっかりと主張させていただくことは主張させていただければと思いますが。(略)
地元の理解を得て、飛行経路を見直(石井大臣 16年3月)
参 - 国土交通委員会(16年3月8日)
国土交通行政の基本施策について、国土交通大臣からの所信聴取。
飛行経路の見直しは、地元の理解を得ることを前提としている。
国務大臣(石井啓一)
(略)羽田空港については、地元の理解を得て、飛行経路を見直し、国際線の容量を2020年までに年4万回拡大する取組を進めてまいります。成田空港についても、第三滑走路の整備など更なる機能強化策の具体化に向けて地元と協議してまいります。(略)
雑感
ほかに重要案件があるので、羽田新飛行ルートに十分な質疑時間が割けないということなのだろうか。都議会や区議会と比べて、国会での議論は低調な印象。
ただ、石井国土交通大臣は、「羽田空港の飛行経路見直しに・・・様々な関係者と連携(参 - 決算委員会17年6月5日)」や、「地元の理解を得て、飛行経路を見直」(参 - 国土交通委員会16年3月8日)を明言している。
したがって、国交省の本件担当者らは、「来場した住民の方々には共有化させないという点で、国土交通省にとっては大変都合がいい(江東区区議 17年3月2日)」オープンハウス型の説明会だけではなく、教室型の説明会で地元の理解を得る努力をすべきであろう。