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目黒区で「民泊」無断営業停止求めて提訴

目黒区の分譲ワンルームマンション(12階建て、46戸)の管理組合が違法民泊を提訴。
同区では6月16日に民泊を悪用した初の覚せい剤密輸事件が発覚したばかり。
区は違法民泊に対して、何らかの対応をしているのだろうか?


もくじ

目黒区内で「民泊」無断営業停止求めて提訴(毎日記事)

目黒区の分譲ワンルームマンション(12階建て、46戸)の管理組合が違法民泊を提訴。

「民泊」無断営業停止求めて提訴

マンションの一室で外国人観光客らを泊める「民泊」を無断営業するのは管理規約違反だとして、東京都内のマンション管理組合が部屋の所有者に営業停止などを求める訴訟を起こしていたことが分かった。
(中略)
組合の調査に、外国人が出入りしている2階の部屋の所有者は「社員寮として使っている」などと説明したが、旅館業法の許可を得ず1泊5000円で旅行者らを宿泊させていたことが発覚した。組合は「居住目的以外の使用を禁じる」とする規約に反しているとして、今年4月に約75万円の賠償も求めて提訴した。

部屋の所有者側は16日の弁論で「近隣とトラブルも起きていない」と反論。旅館業法の許可がないことを認めつつ「近く住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行され、届け出制になることが決まっており、旅館業法上の実質的な違法性は失われている」と主張した。

(毎日新聞 6月17日)

目黒区は違法民泊に対して、何らかの対応をしているのだろうか?

被告の主張「近く住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行され、・・・旅館業法上の実質的な違法性は失われている」というのは開き直りだろう。”安倍一強”ではないのだから、このような強弁は通用しないように思うのだが。

それにしても、目黒区では6月16日に民泊を悪用した初の覚せい剤密輸事件が発覚したばかりだ(民泊で初の違法薬物事件!)。

少なくとも違法民泊の多い新宿では、民泊対策を講じるべく、「民泊問題対応検討会議」を設置し検討を重ねている(苦情件数2.6倍!新宿区「民泊」)。

 

目黒区は違法民泊に対して、何らかの対応をしているのだろうか?

目黒区のホームページには、どこの自治体でもよく見かける「旅館業法の遵守」文書が掲載されている(次図)。

ようは、「旅館業法を守ってね」というお願い文書。

旅館業法の遵守について(目黒区)
旅館業法の遵守について|目黒区

区審議会では後ろ向きの議論!?

では、何も検討していないのかといえば、そうではない。

2016年度に開催された「目黒区住宅政策審議会」の5回目(17年3月1日)の議事録を読むと、何とも後ろ向きの議論がなされているのである(と私は思う)。

  • 【委員】 民泊が問題になっているが答申には盛り込まれていない。どこかに入れてはどうか。
  • 会長】小委員会でも民泊について議論した。プラス面もあるが問題もある。「共同住宅の適切な維持管理」として入れることにした。民泊だけを考えるのでなく、広く考えた方が良いということになった。

  • 【委員】「民泊」として載っていないので検討していないように見える
  • 会長】 検討は行った。規制するか、推進するかは住宅マスタープランで議論するという考え方である。

  • 【委員】諮問への答申は、来年度以降に住宅マスタープランを検討するための基本的な方針を考えるという位置付けとした。民泊は話題性としてはある。ただ、住宅は個人の資産でもあるが存在そのものが社会的な資産であり、適切に管理することが区民としての義務であるという考えを共有した方が良いのではないか。適切な維持管理には、耐震改修や外壁メンテナンスもあり、民泊も同様に適切に行うべきである。

  • 【委員】答申は基本的方向であり、民泊は他のところで議論すれば良いと思う。
  • 【委員】民泊について、議会として別途対応することはあるが、小委員会で検討した結果、先程の意見であった理由で、盛り込む必要はないと思う。
  • 【委員】民泊については、目黒区ですでに問題がある訳ではなく、民泊に対する不安が大きくなっているのだと思う。答申に載せるより、区や議員に聞いてもらった方が良い。法律が通るというだけで入れるのは難しい。

 

民泊については、答申には盛り込まない。他のところ(検討会)で議論すればいい。
面倒な問題は避けたいという雰囲気が伝わってこないだろうか。

それでいて、「適切に管理することが区民としての義務・・・民泊も同様に適切に行うべき」となんとも的外れな発言をする委員も(違法民泊を営業しているのは必ずしも目黒区民とは限らないのだぞ)。
また、「民泊については、目黒区ですでに問題がある訳ではなく」という現状認識ができていない委員も。

【追記(18年9月6日)】

毎日新聞記事(9月6日)より

東京都目黒区のマンションの一室で、管理規約に反し「民泊」を営業したとして、マンションの管理組合が部屋の所有者に営業中止などを求めた訴訟の判決が5日、東京地裁であった。吉村真幸裁判長は請求通り、営業中止と約75万円の賠償を命じた。

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