土地総合研究所は5月23日、「不動産業業況等調査結果(平成29年4月実施)」を発表。
三大都市圏と地方主要都市で不動産業を営む業者へのアンケート調査結果のうち、「住宅・宅地分譲業」について、「モデルルーム来場者数」と「成約件数」の指数は4期連続して減少し、「販売価格の動向」の指数は21期連続して上昇しているという。
- 「モデルルーム来場者数」の指数は、前回から 23.9ポイント上昇し -6.1ポイントとなった。4期連続して減少傾向にあるとの見方が続いている。
- 「成約件数」の指数は、前回から 6.8ポイント上昇し -5.2ポイントとなった。4期連続して減少傾向にあるとの見方が続いている。
- 「在庫戸数」の指数は、前回から 7.8ポイント下落し 17.5ポイントとなった。平成21年4月以降33期連続して減少傾向にあるとの見方が続いているが、今回はその期間中で最も低い数値となった。
- 「販売価格の動向」の指数は、前回から 7.7ポイント上昇し 26.5ポイントとなった。平成24年7月以降21期連続して上昇したとする回答が下落したとする回答を上回っている。
「住宅・宅地分譲業」の動向指数を可視化する
これだけではよく分からないので、長期的なトレンドを可視化すべく、過去13年間の発表資料をひも解き、「販売価格の動向」「在庫戸数」「成約件数」「モデルルーム来場者数」それぞれの指数データをグラフにしてみた(次図)。
折れ線の動きが激しくて、分かりにくい。
そこで、近似曲線(5次の多項式近似)を重ねてみた(次図)。
今度はゴチャゴチャしすぎて分かりにくい。
近似曲線だけを表示してみた。
かなりスッキリした。
まもなく販売価格が低下し、成約件数が増加!?
この図から読み取れる長期的なトレンドは次の通りである。
- 「販売価格」指数は、約10年周期の下降トレンドに
現在、「前回より上昇した」とする回答が「前回より下落した」とする回答を上回っているが、まもなく逆転することが予測される。 - 「モデルルーム来場者数」と「成約件数」の指数は、上昇の兆し
現在、「前回より上昇した」とする回答が「前回より下落した」とする回答を下回っているが、まもなく逆転することが予測される。 - 「在庫戸数」指数は、漸減傾向にあるが、依然として高い水準を維持
現在、「前回より増加した」とする回答が「前回より減少した」とする回答を20ポイント以上上回っている。余剰感が拭えていない状況。 - つまり上図は、まもなく販売価格が低下し、モデルルーム来場者数と成約件数が増加し始めることを示唆している。
※この調査は、毎四半期(1月、4月、7月、10月)、三大都市圏と地方主要都市で不動産業を営む業者145社を対象に(うち住宅・宅地分譲業は45社)、郵送またはEメールにてアンケート形式で実施されている。
各指数の定義は次のとおり。
- 販売価格の動向、成約件数、モデルルーム来場者:
{増加(上昇)したとする回答数-減少(下落)したとする回答数}÷全回答数×100- 在庫戸数:
{減少したとする回答数-増加したとする回答数}÷全回答数×100- 「横ばいである」「変わらない」の回答は、0として算定(-100~+100、0が判断の分かれ目)
あわせて読みたい
- 2020年東京オリンピック後も<超>超高層マンション・バブルは続く!?
- 中古が新築を逆転!16年度首都圏マンション戸数
- 2016首都圏新築マンション市場|辛うじて2兆円
- マスコミ情報では分からない!過去16年間の新築マンション市場動向を可視化
(本日、マンション広告なし)