不動産・住宅情報サイト「HOME'S」を運営するネクストは2月7日、2017年首都圏版「買って住みたい街」「借りて住みたい街」ランキングを発表。
「買って住みたい街」ランキングでは、「船橋」が1位を獲得。
なぜ、吉祥寺や恵比寿が1位でないのか調べてみた。
- 「買って住みたい街」ランキングの1位は船橋
- 「買って住みたい街」ランキングでなぜ船橋が1位なのか?
- 「借りて住みたい街」ランキングでなぜ池袋が1位なのか?
- 首都圏住みたい街ランキング(3つのサイト比較)
- まとめ
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「買って住みたい街」ランキングの1位は船橋
「買って住みたい街」ランキングでは、「船橋」が1位を獲得。
「借りて住みたい街」ランキングでは、「恵比寿」「吉祥寺」などの人気駅を抑えて「池袋」が1位となった。
首都圏「住みたい街」ランキング、1位は恵比寿でも吉祥寺でもなくあの街に!
不動産・住宅情報サイト「HOME'S」を運営するネクストはこのほど、「HOME'S住みたい街ランキング」の第一弾として、首都圏の「買って住みたい街」「借りて住みたい街」ランキングを発表した。
(中略)
首都圏の「買って住みたい街」ランキングでは、「船橋」が1位を獲得。ここ3年で初めて東京都以外の駅がトップとなった。近年、都内を中心に物件価格が上昇したため、都内へのダイレクトアクセスが可能で、交通利便性が確保された近郊エリアの順位が上昇したものと考えられるという。「借りて住みたい街」ランキングでは、「恵比寿」「吉祥寺」などの人気駅を抑えて「池袋」が1位となった。(以下略)
(マイナビニュース 2月16日)
「買って住みたい街」ランキングでなぜ船橋が1位なのか?
HOME'Sの「2017年 住みたい街ランキング」ページで確認してみると、「総評」のなかで、「船橋」が1位になった背景を、都心~近郊エリアの新築マンションの高騰で同エリアの駅のランキングが相対的に下がったためとされている。
首都圏 買って住みたい街ランキング 総評
(前略)首都圏で都心から近郊に位置するエリア以外の駅が1位となったのはここ3年で初めてです。
近年、都心~近郊の交通・生活利便性が確保された地域は、地価の上昇、建築資材価格の高止まり、人件費の高騰によって押し並べて新築マンションおよび新築戸建の価格が高騰しており、一般的な給与所得者では手が届かない価格帯で分譲されるケースも数多く見られることから、いくつかの例外を除き、都心~近郊エリアの人気住宅地を擁する駅のランキングが相対的に下がったものと考えられます。(以下略)
都心~近郊エリアの新築マンションの高騰で、船橋が1位になったという説明にはチョット引っかかる。
そこで、ネクスト社が過去2年発表してきたランキングを調べ、並べてみた(次表)。
過去2年間、1位吉祥寺、2位横浜だった。なのに今回、吉祥寺はランキング外。横浜は15位と大きくランクダウン。
なぜ、これほどにランキングが変わってしまったのか?
原因は他のところにあるのではないのか?
実は、過去2年と今回とでは、調査方法が違うのだ。
過去2年の調査方法は、3 年以内に住まいの購入を検討している首都圏(1都3県)の居住者を対象として2日間で実施したインターネット調査(有効回答数1,030票)。
一方、今回の調査方法は、HOME'S に掲載された購入物件のうち、首都圏(1都3県)のHOME'S ユーザーからの問合せの多かった駅名を1年間(16年1月1日 ~16年12月31日)集計した結果なのだ。
だから、今回の調査結果は「買って住みたい街ランキング」を意味するのではなく、「 ユーザーからの問合せの多かった駅名ランキング」を意味するに過ぎない。
高くて買えない都心のマンションを諦め、手が届きそうな郊外のマンションへの問い合わせが増えたのであって、住みたいかどうかは別の話なのである。
「借りて住みたい街」ランキングにも、同様の事情が伺える。
「借りて住みたい街」ランキングでなぜ池袋が1位なのか?
「総評」のなかで、「池袋」が1位になった背景を、ビッグターミナルとしての交通利便性や市街地としての事業集積性(業務性)などが高く評価されたたためとされている。
首都圏「借りて住みたい街」ランキング 総評
今回「恵比寿」「吉祥寺」などの人気駅を抑えて1位になったのは「池袋」でした。地域イメージを上回ってJR線、西武池袋線、東武東上線、東京メトロなど合計8線が乗り入れるビッグターミナルとしての交通利便性や、駅周辺での就業・就学、買物・飲食などの利便性と市街地としての事業集積性(業務性)が高く評価されたものと考えられます。(以下略)
「買って住みたい街ランキング」と同様に、「借りて住みたい街ランキング」についても、ネクスト社が過去2年発表してきたランキングと並べてみた(次表)。
今回1位の池袋は、16年は6位で15年は1位。
今回9位の吉祥寺は、16年は1位で15年は3位。
「借りて住みたい街ランキング」のほうは、「買って住みたい街ランキング」以上に、ランキングに変動が生じている。
原因は、「買って住みたい街ランキング」と同様、調査方法が異なることに加え、その調査方法をコロコロ変えているからだ。
16年はインターネット調査であるのに、今回(17年)と15年は「 ユーザーからの問合せの多かった駅名ランキング」調査なのだ。
なぜ、このように「買って住みたい街ランキング」と「借りて住みたい街ランキング」とで、不自然なまでに調査方法をコロコロと変えているのか?(次表)
売れ行き不振(あるいは借りて不足)なエリアを上位に上げたかったのではないのかと勘繰りたくなる。
調査方法はやたらと変えないことが重要だ。そうしないと過去の記録との比較ができなくなる。
どうしても調査方法を変更しなければならいない場合には、変更した事実やその理由を明記するのが真摯な態度であろう。
HOME'Sの「2017年 住みたい街ランキング」ページには、集計方法(HOME'S に掲載された賃貸物件/購入物件のうち、問合せの多かった駅名をそれぞれ集計)は明記されているものの、変更した事実やその理由はどこにも記されていない。
首都圏住みたい街ランキング(3つのサイト比較)
毎年「住みたい街ランキング」を公表しているサイトは、ネクスト社に限らない。主なものとしてはSUUMO(スーモ)やMAJOR7などがある。
HOME'Sのランキング結果と並べてみよう(次表)。
SUUMOとMAJOR7はともに1位は恵比寿、2位は吉祥寺。
サンプル数も多く、首都圏の住みたい街(駅)としては違和感がない。
ちなみに、SUUMOの3年間の「住みたい街(駅)ランキング」の1位・2位に恵比寿と吉祥寺が占めている(次表)。
また、MAJOR7の3年間の「住んでみたい街(首都圏)ランキング」のほうは、2年連続で恵比寿と吉祥寺が1位・2位を占めていることが分かる。
まとめ
- ネクスト社が発表した2017年の調査結果は「買って住みたい街ランキング」を意味するのではなく、「 ユーザーからの問合せの多かった駅名ランキング」を意味するに過ぎない。高くて買えない都心のマンションを諦め、手が届きそうな郊外のマンションへの問い合わせが増えたのであって、住みたいかどうかは別の話だ。
- ネクスト社が過去2年発表したランキングと比べると、調査方法をコロコロ変えていることが分かる。でも、変更した事実やその理由は明記されていない。売れ行き不振なエリアを上位に上げるために調査方法を変えたのではないのかと勘繰りたくなる。
- 毎年「住みたい街ランキング」を公表しているSUUMOとMAJOR7はともに2年連続で恵比寿と吉祥寺が1位2位を占めている。
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