国土交通・厚生労働両省は民泊の年間営業日数の上限を年180日とすることを決めたと伝える日経の記事。
「民泊営業、年180日上限」を伝える日経のアドバルーン記事?
住宅提供者の届け出や仲介サイトの登録義務化、非居住民泊の管理業者の登録義務も決まったようだ。
民泊営業、年180日を上限に 違反なら業務停止も 国交・厚労省、新法に明記へ
国土交通・厚生労働両省は住宅に旅行者を有料で泊める民泊の年間営業日数の上限を年180日とすることを決めた。違反すれば業務停止命令などの行政処分の対象となる。
来年の通常国会に提出する新法に盛り込む。旅館やホテルに一定の配慮をしつつ、法的に住宅とみなせる上限の日数の営業を認め、訪日客の受け皿にする。
新法は民泊の基本的なルールとなる。営業日数の規定のほか、住宅を提供する人は自治体への届け出、仲介サイトは観光庁への登録を義務づける。マンションの一室など家主が住んでいない部屋を提供する場合には、管理業者の登録も求める。(以下略)(日経新聞 12月4日)
日経以外のマスメディアが伝えていないので、いつもの”アドバルーン記事”なのであろう。
アドバルーン記事とは、役所が懇意にしている記者に、まだ決まってもいない計画を耳打ちし、世論の反応を見るために流す記事のこと。
世論の反応がポジティブであれば関係者への説得材料に使い、ネガティブな場合にはその計画はなかったことにする。
なかった計画を伝えた記事は「飛ばし(誤報)」と呼ばれる。
既成事実化が進む!?民泊新法
今回日経が報じた内容は特に目新しいものではない。
「年180日を上限」や「自治体への届け出」、「仲介サイトの登録義務化」「非居住民泊の管理業者の登録義務」については、これまでもこのブログで紹介してきた。
この記事で注目すべきことは、「国土交通・厚生労働両省は・・・決めた」ということ。
国民が気が付かないうちに、たった6日間のパブコメで民泊新法の骨子を決め、今回の日経のアドバルーン記事で「国土交通・厚生労働両省は・・・決めた」と既成事実化を進めているのではないのか。
民泊新法はマンション住人の安全・安心を確保できるか
「違反すれば業務停止命令」とあるが、そもそも自治体への登録に応じない違法民泊の存在を認識できるのか?
罰則規定に実効性がなければ、民泊新法は絵餅。「管理業者の登録」の義務化で賃貸業界は潤うが、マンション住人の安全・安心は脅かされる(民泊の”全面解禁”で潤う賃貸不動産業者、安全・安心が脅かされる住民)。
また、今回のアドバルーン記事には、ちんたい議連(会長 石破茂)が民泊新法に盛り込もうとしている「『特定簡易宿所』制度の創設」について触れられていない。
同制度が創設されると、賃貸業界にとってはハッピイだが、マンション住人の安全・安心に多大な影響及ぼす可能性が高い。
国会議員の先生方には、賃貸業界と旅館・ホテル業界の調整だけでなく、マンション住民のためにも、民泊の実態を把握したうえで、国民の安心・安全が確保されるような調整をお願いしたい。
議員の先生方にご一読いただきたい記事
(本日、マンション広告なし)