ある40代旅館経営者から「私の以前のランダム調査では90%以上が不法」といったリツイートを頂戴した。
実際のところはどうなのか調べてみた。
今年に入ってから、「訪日外客数(=日本を訪れた外国人旅行者の数)」と「外国人延べ宿泊者数」の乖離が大きくなっている理由を分析した結果を記事(訪日外国人が増加しているのに宿泊者数が減少している!?)にしたところ、「40代旅館経営者から「不法民泊の比率がわかれば不法民泊の比率がわかれば構図が見えてきます。(私の以前のランダム調査では90%以上が不法)」といったリツイートを頂戴した。
(永山久徳氏のリツイート 2016年11月20日 10:52)
※「不法」という表現は、法律に違反していることのほかに、反社会的なニュアンスを含んでいる(NHK放送文化研究所)ことから、以下「違法(=法律に違反していること)」に表現を統一した。
違法民泊は、いったいどれくらいあるのか?
公的データを元に整理してみよう。
京都市の民泊施設実態調査結果:違法民泊7割(1,847件)
京都市が2016年5月9日に公表した「民泊施設実態調査結果」によれば、Airbnbなどの民泊仲介サイトに登録されていた京都市内の物件は全部で2,702件(調査時期:2015年12月1日~2016年3月31日)。
そのうち、旅館業法上の許可を受けていなかった施設は1,847件(68%)。約7割が違法という結果であった。
「外国の民泊仲介サイトに無視された「京都市民泊実態調査」」より
広島市の民泊施設実態調査結果:違法民泊最大で9割(243件)
NHK広島が8月30日に報じた、広島市の民泊実態調査結果によれば、民泊仲介サイトに登録されていた市内264件のうち、連絡は取れたが無許可だった施設が15件(6%)。
また、連絡が取れなかった施設228件(86%)のうち、違法民泊が何件含まれるのかはまでは確定できていないので、最大で違法民泊は228件(86%)。
よって、最大で243件(92%)(=6%+86%)、約9割が違法民泊ということになる。
まとめ
- 京都市の民泊実態調査(調査時期:2015年12月1日~2016年3月31日)は、国内の自治体で、本格的かつ詳細に実施された初めての調査。民泊仲介サイトに登録されている市内の施設のうち違法民泊の割合は7割(1,847件)であることが判明した。
- NHK広島が8月30日に報じた広島市の民泊実態調査結果から、違法民泊の割合は最大で9割(243件)と整理した。ただ、民泊仲介サイトの登録件数が少ないうえに、市のホームページに公開されていないことなどから、参考扱いとしたい。
- 民泊仲介サイトに登録されている施設のうち、違法民泊はどれくらいあるのか? 厚労省が初の全国民泊実態調査を実施中であるので(委託期限:2016年11月30日)、正確なところは同調査の結果を待つこととしたい。
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