テレビ報道では、ごみの処理や騒音といった家主不在型(投資型)の民泊の映像が出たり、外国人を手厚くオモテナシしている家主居住型(ホームステイ型)の民泊が映し出されたり、絵的には分かりやすいのだが、民泊問題の表面しか捉えていない場合が多い。
新聞や雑誌といった紙メディアのほうも、必ずしも民泊の全体像を伝えていないように思う。そこで、現段階での民泊の全体像が分かるよう、国・自治体・業界の動きをザックリまとめてみた。
一言でいえば、民泊を推進するために規制緩和を進めている国と、規制緩和に慎重な自治体との方向性がかみ合っていないことに加え、不動産業界と旅館・ホテル業界が綱引きをしていて、「民泊新法」の成立の見通しが立っていない状況にある。
国の動き
民泊新法の制定遅れ
年内にも規制緩和が行われようとしていた民泊新法であったが、「年間営業日数の上限」や「自治体が独自に条例で営業日数を決められる仕組みをどうするか」などの調整がつかず、先送りになっている。
特区民泊「2泊3日以上」に緩和
特区民泊については、最低宿泊日数を「6泊7日以上」から「2泊3日以上」に緩和する政令改正が決定し、10月31日に施行される予定。
厚労省が民泊施設の初の全国調査を実施中
年内取りまとめ(?)
国交省 民泊に係る管理規約の文案を作成中
国交省は、部屋を「民泊に使用できる」「できない」の2通りの管理規約の文案を作成。近くマンション管理や不動産の団体、全国の自治体に通知するという。
国交省は、部屋を「民泊に使用できる」「できない」の2通りの管理規約の文案を作成。近くマンション管理や不動産の団体、全国の自治体に通知するという。/マンションに民泊の可否明示促す 国交省が規約文案|朝日新聞デジタル : https://t.co/Wl09wlPWhf
— マン点 (@1manken) 2016年10月26日
主な自治体の動き
大阪市:民泊対応増員!担当2人⇒専従22人
大阪市が民泊専従22人を増員し、無許可業者の特定や住民とのトラブルの情報収集を進め、悪質な事案は行政指導も検討するという。
新宿区:第1回「新宿区民泊問題対応検討会議」を開催(10月26日)
同会議運営要綱に記載された設置目的(第1条)から、会議の狙いが「区民の安全・安心の確保を目的」にあることが分かる。
民泊推進ではないのである。
京都市:集合住宅の一室の民泊化は「認めない」
京都市の門川大作市長は8月31日の定例記者会見で、集合住宅の一室の民泊化は「認めない」と明言している。
11県のうち8県が裁量権を求めている
地方議会では、相次いで民泊規制強化の意見書が議決されている。
北九州市のように、民泊を推進しようとする自治体もあるが、少数派だ。
業界の動き
ちんたい3団体:閣議決定内容をひっくり返そうとしている
ちんたい3団体は激しいロビー活動を展開し、閣議決定された内容(年間提供日数の上限180日以下、条例での制限を行わないこと)をひっくり返そうとしている。
旅館・ホテル業界:閣議決定内容を死守
閣議決定された内容(年間提供日数の上限180日以下、条例での制限を行わないこと)を死守すべく、ロビー活動展開中。
※詳しく知りたい方は、「民泊 カテゴリーの記事一覧」をご参照。