京都市は10月4日、「旅館業法における無許可営業疑い施設に対する指導状況」を公表。
京都市の民泊対策プロジェクトチームの成果がスゴイ。
- 京都市 違法民泊148件営業停止(毎日新聞の記事)
- 半数近くの物件は特定できていないが、2割は営業中止に
- Airbnb登録物件数の2割に相当する施設に対して苦情
- 違法民泊が猛烈な勢いで簡易宿所に生まれ変わっている
- 京都市のこれまでの違法民泊への対応(まとめ)
- あわせて読みたい
まずは、京都市が違法民泊を指導し148件を営業停止させたことを伝える毎日新聞の記事から。
京都市 違法民泊148件営業停止(毎日新聞の記事)
5か月間で148件の違法民泊が営業停止。一日1件近いペースだ。
京都市 違法民泊148件営業停止 4〜8月
京都市は4日、今年度4〜8月までの「民泊」への指導状況を発表した。
旅館業法上の許可なく空き家や空き室に観光客らを有料で宿泊させるなどしたため、営業者に指導した施設は331件。うち148件で営業停止を指導した。
市「民泊」対策プロジェクトチーム(PT)は「引き続き違法な民泊に強力な指導をするなど、毅然(きぜん)とした態度で臨む」としている。(以下略)
(毎日新聞 16年10月5日)
市が公表したデータをもとに、民泊対策PTの成果を確認してみよう。
半数近くの物件は特定できていないが、2割は営業中止に
平成28年度旅館業無許可営業疑い施設の調査・指導状況
受け付けた976件の通報等に基づき、延べ1,127回の現地調査を行い、うち148施設について、営業を中止させるなど、厳正な対応を進めました。
引き続き、違法な「民泊」については、法令遵守を強力に指導するなど、毅然とした態度で臨み、全庁を挙げて、一層の適正化を図ります。
調査指導対象施設数725件の内容について、表形式で示されているのだが、なんとも分かりにくい。
そこで可視化したのが次のグラフ。
半数近くの物件(352件)は特定できていないが、2割(148件)は営業中止に至っている。指導中は24%(176件)。
Airbnb登録物件数の2割に相当する施設に対して苦情
調査指導対象施設725件の内訳が行政区ごとに表形式で示されている(次表)。
こちらもピンとこないので、可視化してみた(次図)。
通報が80件を超えているのは、東山区、中京区、下京区、左京区の4つの区。
まだ、ピンとこないので、Airbnbに登録されている件数(9月1日現在)と合わせてグラフにしてみた(次図)。
「Aribnb登録件数」に対する「調査指導対象施設数」の割合は、区によってバラつきがあるが、平均すると約2割(19.4%)。
Airbnbに登録されている物件数の約2割に相当する施設に対して苦情があったといえなくもない。
(Airbnb登録件数はAirbDatabankデータをもとに筆者作成)
違法民泊が猛烈な勢いで簡易宿所に生まれ変わっている
市内宿泊施設数の推移について
こうした調査・指導等の中で、法に基づく手続を経て、簡易宿所の新規許可を取得する件数が、平成26年度には79軒、平成27年度には246軒、平成28年度は4月~8月の5箇月間だけで273軒と、大幅に増加しています。
京都市内の宿泊施設数の推移データが表形式で示されている(次表)。
こちらも、グラフにしてみた(次図)。
たしかに、簡易宿所が猛烈な勢いで増加していることが分かる。
京都市PTの調査・指導努力の賜物であろう。
京都市のこれまでの違法民泊への対応(まとめ)
京都市ではこれまで、違法民泊に対して数々の対応を取ってきている。
以下に整理しておいた。
- 15年11月4日:京都府警が悪質な民泊を摘発
- 15年12月1日:京都市が民泊対策プロジェクトチーム設置
- 16年5月10日:「京都市民泊実態調査」結果を公表
- 16年5月12日:京都市長・市議会あげての口コミ介入
- 16年5月25日:「民泊110番」を開設することを発表
- 16年6月21日:自治体の裁量を求める要望書を国に提出
- 16年7月13日:「民泊通報・相談窓口」の実績を公表
- 16年8月31日:集合住宅の民泊化は「認めない」と京都市長が明言