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民泊事業の規制強化!石川県も国に意見書

国が民泊の規制緩和を進めている一方で、自治体レベルで民泊の規制を強化しようとする動きがチラホラ出てきている(たとえば、兵庫県が「民泊事業者規制の法制化」などを国に提案 )。

石川県もそのひとつだ。


もくじ

石川県は国にどのような意見書を提出したのか?

9月の定例会で9月29日、自公が提案した第3号議案「民泊に対する地域の状況に応じて運用できる法制化を求める意見書」が全会派の賛成をもって可決されている。

 

同意見書では、国が進めている民泊の法制化にあたり4つの事項を要望している(議会議案可決分 の3ページ目を参照)。

ホテル・旅館に準じたルールを設け、遵守を徹底させることとか、地域の実情に応じて民泊の年間営業日数や罰則規定を条例で規制できるとか、政府が進める民泊の規制緩和に逆行するような意見書となっている。

  • 民泊について、ホテル・旅館に準じたルールを設け、例えば、所在地の経営者が特定できる状況とした上で、公衆衛生、防火・防災や防犯など、管理責任の点で明確なルールを設けるとともに、その遵守を徹底させる策を盛り込むこと。

  • 2 地域住民の安心・安全な生活環境を守り、社会不安が生じないよう、地域の状況に応じて運用できる法制化を進めること。

  • 地域の実情に応じた民泊の年間営業日数の設定と施設への調査、指導、改善命令、業務停止、不正行為への罰則等について、条例等で規定の整備ができるよう、地方自治体の関与について明確に規定すること。

  • 4 現行の旅館業法違反施設の取締りを地方自治体に対して早急に対応すること。

 

今回石川県が上記の4つの事項を「強く要望する」動機は、意見書本文の次の文章から読み取れる。

本県においても、年々訪日外国人客が増加している。それに伴い、多様な宿泊ニーズに対応するため、民泊が増加し、旅館業法の許可を得て地域と良好な関係で営業するものがある一方、無許可あるいは地域とトラブルを起こす業者(又は個人)が後を絶たず、地域住民から騒音やゴミの苦情、火災の不安等が少なからず寄せられるようになった。

 

民泊の増加で、地域住民からの苦情などが「少なからず寄せられるようになった」という。

そんな石川県では、いったい何件ぐらいの民泊が営まれているのか?
念のため確認しておこう。

石川県内のAirbnb登録件数は190件

石川県は、Airbnb登録件数の都道府県別ランキング第16位(次表)。

登録件数は190件に過ぎない。

 

Airbnb登録件数の都道府県別ランキング
全国Airbnb登録件数 4.2万件!」より

 

ただ、Airbnb登録件数は増加中なので(次図)、早め早めに対策を講じておくに越したことはないだろう。

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AirbDatabankデータをもとに筆者作成)

 

石川県内のAirbnb登録物件は金沢駅を中心に3km圏内に集中

石川県内のAirbnb登録物件の分布をみると、金沢市内に集中していることが分かる(次図)。

石川県内のAirbnb登録物件の分布
AirLABO地図)

 

しかもその大半は、金沢駅を中心に3km圏内に集中している。

石川県内のAirbnb登録物件の分布
(AirLABO地図に追記)

 

物件タイプの内訳をみると、金沢市ではマンション/アパートが半数強(54%)、一軒家が4割(40%)を占めている(次図)。

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(AirLABOデータをもとに筆者作成)

 

石川県というよりも金沢市の問題

石川県が民泊条例を制定しても、石川県全域に適用されるわけではない。
保健所が設置されている金沢市は、県の条例とは別に独自の条例を制定する必要があるからだ。

だから、いくら県が頑張っても、市が動かなければ実効性は確保されない。

神奈川県や大阪府がいい例である。

 

実は金沢市議会でも昨年の12月に「「民泊サービス」のあり方に関する意見書」が可決されている(平成27年度12月定例月議会 可決された意見書8ページ目参照)。

ホテル・旅館との不公平、事故・テロの温床懸念を念頭に、部屋の提供者や仲介業者への適正な義務や規制を訴える内容となっている。

(前略)建築基準法などで厳しい規制が課せられているホテルや旅館との競争環境が余りにも不公平との声も大きいほか、ことし5月に発生した簡易宿泊所における火災などの事故やテロリスト等の温床になるのではないかといった不安が大きく、安易なルール整備は公平性や安全性の観点から好ましくない
よって、国におかれては、民泊サービスのあり方を検討するに当たって、部屋の提供者や仲介業者への適正な義務や規制を検討するとともに、遊休資産の活用などの観点から広く利用することができる有効な制度となるよう検討することを強く望む。

 

金沢市では、違法民泊退治しようとしたが、市の指導にもかかわらず増加するというモグラたたき状態であったことが昨年度観測されている。

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金沢市の”ホテル難民”を背景に民泊が増えているという思い込み」より

 

あと、北陸新幹線開業によって、ホテルや旅館の不足や宿泊料金の高騰が伝えられていたが、土日を除くとガラガラ状態であったことが今年の3月頃に観測されていたが(金沢市の”ホテル難民”を背景に民泊が増えているという思い込み)、その後どうなったのだろうか――。

 

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2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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