ホームステイ型だけをYouTubeで宣伝する(投資型のことは伝えない)。
絶対数の少ないシニア層が「世界で最高峰のおもてなしをゲストに提供している」ことは伝えても、現役世代が投資型(家主不在型)で、オモテナシよりも利益を優先している現実は伝えていない。
- ホームステイ型だけをYouTubeで宣伝するAirbnb Japan
- ホストはシニア層が「成長している」という表現は適切か?
- 間違いではないが不適切なAirbnb Japanのイメージアップ広報
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ホームステイ型だけをYouTubeで宣伝するAirbnb Japan
トラベルボイスの記事によれば、Airbnb Japanは9月中旬からYouTube上で新しい動画広告の展開を始めたのだという。
民泊Airbnb、初の日本独自オンライン動画を公開、ホストを30秒でストーリー化 【動画】
Airbnb Japanは、9月中旬からYouTube上で新しい動画広告の展開を始めた。これまでは本社サイドが制作した広告を日本語に翻訳するかたちでは行われてきたが、日本独自に制作するはこれがはじめてで、今後もこうした広告展開を検討していく考えだ。(以下略)
9月25日現在公開されている動画は全部で3件。
いずれもホームステイ型(家主滞在型)。投資型(家主不在型)のメジャーケースではない。
少し古くなるが、筆者が1年ほど前に大田区のAirbnbを対象に調べた結果では、投資型が7割(不明1割を除けば、78%)、ホームステイ型が2割、不明1割であった(次図)。
ホームステイ型よりもはるかに件数の多い投資型(家主不在型)民泊のYouTube動画をアップしないのは、いかがなものか。
マスコミの報道でも、両論併記の観点から、都市部のホームステイ型の民泊を針小棒大に報じているようなことろもあるのだが(民泊問題のキーワードは「ホームステイ型」「投資型」)。
厚労省が実施している民泊施設の初の全国調査の結果が待たれる(厚労省が民泊施設の初の全国調査をするのだが)。
ホストはシニア層が「成長している」という表現は適切か?
Airbnb Japanが9月12日にリリースした記事によれば、日本では昨年からホストを開始した人が急増し、なかでも年齢別では、60歳以上のシニア層が最も成長しているという。
Airbnb 国内シニア・ホスト調査結果を発表
調査結果によると、日本では昨年よりホストを始めた人が急増しており、また、日本のシニア・ホストは世界で最高峰のおもてなしをゲストに提供していることが読み取れます。
さらに、地方都市にて、活躍されているシニア・ホストの割合が多いこともわかりました。Airbnbの活用は、シニア・ホストにとって、1)重要な収入源 2)空き部屋の有効活用 3)退職後の人との交流にも影響をもたらしているようです。
「シニアホストは最も成長している年齢層」だとして、次のグラフが掲載されている。
「Airbnb Japanプレスリリース」より
シニア・ホストの概要
- 国内のシニア・ホスト(60歳以上)の数は約900人
- 他世代を上回る前年比235%増
- 男女比は女性約4割、男性約6割
- 36%が退職者及び無職
シニアホストは最も成長している年齢層です
60歳以上のシニア層が「他世代を上回る前年比235%増」で、最も成長している年齢層だという説明。
比率だけを見ればたしかにシニア層の値が最も大きい。
でも、逆算すると昨年のシニアホストはたったの383人(=900人÷235%)。
もともと昨年の分母が小さいので、前年比235%をもって、シニア層が「成長している」というのは間違いではないが不適切な表現ではないのか。
間違いではないが不適切なAirbnb Japanのイメージアップ広報
ホームステイ型だけをYouTubeで宣伝する(投資型は報じない)。
絶対数の少ないシニア層が「世界で最高峰のおもてなしをゲストに提供している」ことは伝えても、はるかに人数の多い現役世代が投資型(家主不在型)民泊で、オモテナシよりも利益を優先している現実は伝えていない。
これらは都合のいいところだけを切り取って伝える「情報操作」ではないのか。
情報操作とは、「情報をありのままに提供するのでなく、内容や公表の方法などに手を加え、世論形成をある方面に有利になるよう操作すること」(大辞林 第三版)。
Airbnb Japanが始めたイメージアップ広報。
間違いではないが不適切、どかで聞いたような表現だ(#違法ではないが一部不適切(マンションチラシ編))。
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(本日、マンション広告なし)