ときおりマスコミから、「〇〇辺りで闇民泊が行われているマンションを紹介してほしい」といった問合せを頂戴する。
「闇民泊の場所を特定するのは、なかなか難しい。なぜならば・・・・・・」といったマスコミに話している内容を紹介しよう。
ざっくり言うと
- Airbnbでは物件の正確な場所が分からないように、わざと位置を少しズラして地図に表示されている
- 物件の紹介ページに掲載されている写真などから位置を特定するには忍耐力と熟練のワザを要する
- Airbnbの表示システムは民泊の近隣周知・匿名性排除の流れに反している
Airbnbでは物件の正確な場所が分からないように、わざと位置を少しズラして地図に表示されている
Airbnbサイトにアクセスし、闇民泊を探したい場所の住所を入力すると、地図上に民泊を営んでいる概略の位置と1泊あたりの料金が表示される(次図は一例)。
表示された地図をドンドン拡大していくと、料金表示されている位置にはなぜか建物がない(次図は一例)。
改めてグーグルマップで確認してみると、料金表示されていた位置は、駐車場であることが分かる(次図)。
なぜ、料金表示はピンポイントで建物を示していないのか?
実は、Airbnbのシステムでは、正確な住所は予約を確定したゲストしか見ることができない仕組みとなっているのである(次図)。
(マップと住所の設定方法を教えてください | Airbnbヘルプセンター)
(ゲストにリスティングが表示されていることを確認するには? | Airbnbヘルプセンター)
以前は、下記のように「物件の正確な場所がわからないように、わざと少しズラして表示しています」と記載されていたのだが、現在ではそのような文章は見当たらない。
地図に立っているピンの位置は物件の正確な場所がわからないように、わざと少しズラして表示しています。
正確な住所は予約を済ませた人にだけ送信されます。(Airbnbのヘルプ文書)
Airbnb Japanの関係者は「わざと少しズラして」という表現がヤバイと思ったのだろうか。
物件の正確な位置が分からなくて、どのようにして闇民泊を特定するのか?
物件の紹介ページに掲載されている写真などから位置を特定するには忍耐力と熟練のワザを要する
Airbnb物件を特定するための基本ワザは、主にふたつ。
一つ目は物件の紹介ページに掲載されている写真から、当該物件を特定する方法。
バルコニーからの景色に映り込んだ建物や看板などの写真から位置を特定したり、エントランスホールなどの内観写真からマンションを特定したりするのである。
二つ目の方法は、特に写真で得られる情報が少ないときの補完ワザ。
物件の紹介ページに掲載されているホストの文章や宿泊者の感想文(外国語)から、当該物件を特定するのだ。
このように闇民泊を特定するためには、こつこつと調べるための時間と結構な忍耐力を必要とする。
ただ、これだけだと3割を特定するのが精一杯かもしれない。さらに特定率を高めるには、これまでに筆者が培ってきたノウハウと熟練のワザが必要となる。
Airbnbの表示システムは民泊の近隣周知・匿名性排除の流れに反している
第63回規制改革会議(5月19日開催)で出された第4次答申(PDF:324KB)を読むと、民泊運営者には「民泊を行っている旨の玄関への表示」が義務づける方向で検討が進められていることが分かる(次図)。
また、”民泊新法”の元となる「「民泊サービス」のあり方に関する検討会最終報告書」では、次図のように、「住宅の見やすい場所への標識掲示」を行い、匿名性を排除することが求められている。
すでに、特区民泊では、近隣住民への周知が義務付けられている(たとえば、大田区民泊条例4条)。
大田区民泊条例(事業計画の周知)
第4条 法第 13 条第1項に規定する特定認定(以下「特定認定」という。)を受けようとする者は、規則で定めるところにより、あらかじめ当該特定認定に係る事業計画の内容について近隣住民に周知しなければならない。
このように、住宅提供者は民泊を営んでいる旨を近隣に周知することが義務化され、匿名性が排除される方向にある。
だからAirbnbのシステムが物件の正確な位置が分からないようにわざとズラして表示する仕組みは、民泊の近隣周知、匿名性排除の流れに反しているのである。
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