不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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UR団地跡地に建つマンションなのに、なぜ非分譲住戸が存在するのか?

UR団地の跡地に建つ大規模マンションのチラシ。

物件概要

【予告広告】大手町駅直通5分、駅徒歩9分。総戸数105戸(非分譲30戸含む)、19階建。販売戸数/未定、3LDK(72.78~84.58m2)。販売価格/未定。平成30年2月中旬竣工(本チラシ掲載日の1年5カ月後)。

 

新聞半紙大のチラシのオモテ面のキャッチコピーを読むと、ヨダレが出てこないか。

  • 4駅5路線利用可
  • ゆとりの住空間 専有面積72.78m2~84.58m2
  • 全邸 南西向き 

 

大手町駅直通5分、4駅5路線利用可の好立地。

それでいて専有面積が72m2を超える「ゆとりの住空間」である。

分譲価格(未公開)は別にすれば、なかなか魅力的なマンションである。

でも、気になることがある。

総戸数105戸のうち30戸(29%)が非分譲住戸であることだ。

元地権者が拒否権を発動できる

「規約の設定、変更及び廃止」や「共用部分の変更」などの「特別決議」では4分の3以上の賛成が必要

29%を占める地権者が協力し合えば拒否権が発動できるのだ。


元地権者が多いマンションは、高齢者が多い場合には将来、管理費や修繕積立金の値上げが必要になったときに賛成が得られにくいとか、規約の改正などの議決が元地権者の意向に偏りがちなり得るなど、さまざまなデメリットが考えられる。

※詳しくは、「元地権者の多いマンションのメリット・デメリット」ご参照。

 

UR団地跡地に建つマンションなのに、なぜ非分譲住戸が存在するのか?

ところで、UR団地の跡地に建つマンションなのに、なぜ非分譲住戸(≒元地権者用の住戸)が存在するのか?

以下にその理由を解説しよう。

UR都市機構は、中期目標期間の最終年度である平成 30 年度までに「UR賃貸住宅ストック再 生・再編方針」に従い、約 10 万戸の再編に着手し、平成 18 年度末管理戸数と 比較して約5万戸のストックを削減し、機構全体の有利子負債の削減に寄与す ることとしている。

そのため、全面借地方式市街地住宅及び特別借受賃貸住宅について、土地所有者等との協議を行い、譲渡、返還等を着実に進めることとしているのである(都市再生機構 第三期中期計画 P9)。

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「都市再生機構 第三期中期計画 」P9より

つまり、「UR賃貸住宅ストック再 生・再編方針」に従って、1962年に竣工したUR団地が建っていた敷地は地権者らに返還された。その地権者らが、同敷地をデベロッパーに売却し、元地権者としてこのマンションの非分譲住戸を所有しているのである。

 

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