京都市の門川大作市長は8月31日の定例記者会見で、集合住宅の一室の民泊化は「認めない」と明言。
記者会見の配布資料「『京都市宿泊施設拡充・誘致方針(仮称)』素案」をひも解いてみた。
- 集合住宅の民泊化は「認めない」と市長が明言(毎日記事)
- 警察とも連携し、違法な宿泊施設の一層の適正化を図る
- 京都市独自の民泊ルール(京都方式?)の構築の必要性
- 京都市におけるAirbnb登録概況
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集合住宅の民泊化は「認めない」と市長が明言(毎日記事)
京都市長が3月31日の記者会見で、住居専用地域内のマンションなど集合住宅の一室の民泊化は「認めない」と明言。
集合住宅内「認めぬ」 京都市長が明言
京都市の門川大作市長は8月31日の定例記者会見で、国が検討中の「民泊」新法制定後も、住居専用地域内のマンションなど集合住宅の一室の民泊化は「認めない」と明言した。
門川市長はこれまで「似つかわしくない」などと語っていたが、明確に否定方針を打ち出したのは初めて。門川市長はこの方針を「京都方式」と述べた上で、「(民泊)新法ができても、ぶれずに徹底していける」と断言した。(以下略)
(毎日新聞 9月1日)
京都市のホームページで8月31日の記者会見の記録を調べようとしたのだが、残念ながら未だテキストは掲載されていない(9月3日現在)。
ただ、「記者会見資料」だけは、「「京都市宿泊施設拡充・誘致方針(仮称)」素案」として公開されていた(次図)。
同素案本文は全23頁、次の5つの章から構成されている。
- 第1章 宿泊環境を取り巻く現状と見通し
- 第2章 本市の宿泊政策の考え方
- 第3章 具体的な取組
- 第4章 地域別の宿泊施設誘致のイメージ
- 第5章 「京都市宿泊施設拡充・誘致方針(仮称)」を踏まえ
第3章の2項に、次のような民泊に係る事項が2頁に渡って記されているので、ひも解いてみよう。
2「民泊」に係る取組と本市の考え方
- (1)「民泊」に係る当面の取組とその進め方
- (2)国において検討が進められている「民泊」新法に対する本市の考え方
警察とも連携し、違法な宿泊施設の一層の適正化を図る
違法な宿泊施設については、警察など関係機関とも連携のうえ、全庁を挙げて、一層の適正化を図る旨が記されている。
違法な宿泊施設の一層の適正化
無許可営業となっている宿泊施設のうち、許可の取得が可能なものは速やかに許可を取るよう、また、許可の取得が不可能なものは営業を停止するよう、法令遵守を強力に指導するなど、警察など関係機関とも連携のうえ、全庁を挙げて、一層の適正化を図る。
また、インターネット上の「民泊」の仲介業者に対して掲載施設の所在地情報の提供や無許可施設の掲載削除などの協力要請を引き続き行う。(P18~19)
京都市独自の民泊ルール(京都方式?)の構築の必要性
国が検討中の民泊新法に注視しながらも、京都市独自のルールが必要だとしている。
国において検討が進められている「民泊」新法に対する本市の考え方
(前略)「民泊」がこのように京都らしい良質な宿泊サービスとなるためには、本市独自の「民泊」に係るルールの構築が必要である。そのため、国における「民泊」新法の制定に当たっては、地域の実状に応じた運用が可能な法制度とするよう、国に要望書を提出した。
本市においては、今後の国の法整備の方向性を注視し、必要な要望を行いっつ、「民泊」を京都らしい良質な宿泊サービスにするため、「民泊」新法の詳細が判明した後、本市における具体的取組について検討を進めていく。
(P20)
この方針素案については、10月7日まで意見募集が行われ、10月中旬に方針として策定される予定となっている。
念のため、京都市におけるAirbnbの登録状況を確認しておこう。
京都市におけるAirbnb登録概況
全国でAirbnbに登録されている物件数は、4万件を突破。
都道府県別では京都の登録数は、東京、大阪に続き3番目に多い。
京都市長や市議会、京都府警などが一体となって、違法民泊に目を光らせていることもあり(京都市の「民泊対策」から目が離せない)、最近ではAirbnb登録数の伸びは鈍化している(次図)。
「同上」より
京都市の民泊への対応は的確で早い。
この調子でいけば、同じ観光都市であるパリの二の舞を避けられるかもしれない(パリの「民泊」がトンデモナイことになっている )。
京都市の違法民泊への対応は、広島市の1000歩先を進んでいる(広島市が実施した民泊実態調査のイマイチ)。
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(本日、マンション広告なし)