不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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大阪・京都のマンション事情(平成28年第2四半期)

国土交通省は8月26日、全国主要都市の計100地区を対象に四半期ごとに実施している「主要都市の高度利用地地価動向報告(地価LOOKレポート)(平成28年第2四半期)」を公表。

同レポートは比較的バイアスがかかっていない、新築マンションの市況を知り得る数少ない情報だ。 大阪、京都の新築分譲マンションの価格動向を中心に、「鑑定評価員のコメント」をピックアップしておこう。


もくじ

大阪圏の地価動向

大阪圏(25)では、上昇が 24 地区(前回 24)、横ばいが 1 地区(前回 1)となり、ほぼ全ての地区が上昇となった。

大阪圏の地価動向
「平成28年第2四半期 主要都市の高度利用地地価動向報告」より

 

大阪圏の地価動向
「平成28年第2四半期 主要都市の高度利用地地価動向報告」を切り貼り 

京都府

京都市(中京区/二条)

マンション分譲価格は概ね横ばいで推移。マンション賃料及び空室率も特に変化はない。

地価動向

  • 当地区は堀川通以西に位置し、住宅購入者は当地区に地縁のある者及び市内中心部等への交通利便性を重視する中間取得者層が中心となっているが、このほか、相対的にマンション分譲価格が高額な堀川通以東の市内中心部からの需要も流入している。
  • 当該購買者層の所得水準に大きな変化は見られないことから、マンション分譲価格は概ね横ばいで推移している。
  • また、マンション賃料及び空室率も特に変化はないが、市内中心部のマンション素地等の取引価格の上昇傾向を受け、当地区のマンション素地についても需要は底堅く、取引価格は緩やかに上昇しているため、当地区の地価動向はやや上昇傾向で推移した。

将来地価動向

  • 当地区については、今後もマンション素地及び分譲マンションの供給は少ない状態が継続することが予想される。
  • また、中古マンションの流通量も多くはなく、売物件は供給が少ない状態が続いている。
  • 一方で、マンション需要は底堅いエリアであることからマンション素地需要の底堅い状態は当面続くと見込まれるため、取引価格の緩やかな上昇が継続し、将来の地価動向はやや上昇傾向が続くと予想される。

 

京都市(中京区/下鴨)

マンション分譲価格については、供給戸数は多くはないが、大きな変動は見られない。

地価動向

  • 当地区では供給物件は少なく、特に規模のまとまったマンション素地の供給はほとんど見られない。
  • 北山駅徒歩圏内の住宅地は、富裕層を中心に需要は安定しているため、住宅地の売り希望価格については強気の価格設定も散見されるが、買い希望価格は売り希望価格より低く成約しにくいため、取引価格に大きな変動は見られない。
  • 幹線道路沿いの店舗等の物件についても同様の状況であるが、幹線背後の住宅地以上に物件供給は限定的であるため、取引価格の変動は見込まれず横ばいである。
  • 投資物件については、富裕層を中心に小型物件への投資意欲は相変わらず旺盛であるが、供給は少なく、成約する物件も少ない。
  • そのため、取引利回りの把握は難しいが、取引価格は横ばい、店舗等の賃料も概ね横ばいで推移していることから、取引利回りは横ばいで推移している。
  • マンション分譲価格については、供給戸数は多くはないが、大きな変動は見られない
  • 全般的に取引件数は少ないものの取引価格は概ね横ばいで推移していることから、地価動向は横ばいで推移している。

将来地価動向

  • 土地需要は背後の住宅地に比べると相対的に弱いものの、幹線道路沿いの物件供給は背後の住宅地以上に限定的であり、稀少性から一定の需要は認められる。
  • 賃貸需要については、店舗需要もそれほど強くなく賃料水準も横ばい傾向であり、大きな変化は見られない。
  • 幹線道路背後の住宅地と同様に価格形成要因に大きな変動は見られないことから、今後も同様の状況が続き、将来の地価動向は横ばいが続くと予想される。

 

京都市(西京区/桂)

洛西口駅及び桂川駅界隈の大規模開発の大規模開発は概ね終了。

地価動向

  • 当地区を含む桂駅前周辺の住宅地域は、自己使用を目的とする取得需要が中心である。
  • そのため、投資需要は限定的であり、マンション賃貸市場において供給過剰にはなりにくいことから、賃料水準は横ばいである。
  • 一方で当地区は、良好な居住環境を有し、取得需要、賃貸需要ともに底堅く、また、不動産市況の改善傾向が当地区にも波及しており、取引利回りがやや低下し、取引価格は緩やかに上昇しているため、当地区の地価動向はやや上昇傾向である。

将来地価動向

  • 洛西口駅及び桂川駅界隈の大規模開発に伴う住宅需要の流出が懸念されていたが、大規模開発は概ね終了し、当地区からの流出等の大きな影響は認められなかった。
  • なお、洛西口駅及び桂川駅界隈における大規模商業施設の開業により当地区の生活利便性はさらに向上するといったプラスの効果が期待されるものの、当地区における大規模な開発計画等の価格形成要因を変化させる特段の要因も見られないことから、取引価格の緩やかな上昇が継続し、将来の地価動向はやや上昇傾向が続くと予想される。 

 

大阪府

大阪市(福島区)

マンション分譲価格はやや上昇。マンション賃料は横ばい。

地価動向

  • 当期は、マンション開発素地等の取引は確認されなかった。
  • 当地区は、大阪駅を中心とする商業地域の西側に位置し、当地区背後にはマンション等が集積し、分譲・賃貸ともマンション需要は依然根強く、デベロッパー等の取得意欲も依然衰えを見せていない。
  • 当地区の南西方に位置する福島駅周辺では飲食店の新規開店も多く、単身世帯のマンション人気を支えている一因となっている。
  • マンション素地の供給は企業の移転・廃業等によるものが中心であるため、供給が少なく、取引価格は上昇傾向で推移している。
  • 賃貸マンションの供給は多いが交通利便性が良いため、マンション賃料は横ばいである。
  • また、エンドユーザー向けの分譲マンションは、各種設備の付加等によって差別化が図られており、マンション分譲価格はやや上昇している。そのため、取引価格の上昇傾向等を反映し地価動向はやや上昇で推移している。

将来地価動向

  • 当地区は、梅田・福島両駅周辺の繁華な商業エリアに近く、不動産開発業者等の素地取得条件に適した立地にあり、分譲マンション市場等の選別化が進む中にあっても、素地取得意欲が衰えない地区である。
  • また、分譲マンション・賃貸マンションとも夫婦共働きや単身世帯を中心に需要は強く、投資法人等の物件取得意欲も強い。
  • 当地区においては、デベロッパー等の素地需要だけでなく、ターミナル駅に近いことからホテルの開発素地需要も見られる。
  • これらのことから、今後も分譲目的・投資目的での素地需要や投資需要は強い状況が続くと見込まれ、将来の地価動向はやや上昇傾向が続くと予想される。

 

大阪市(天王寺区/天王寺)

富裕者層によるマンション需要は景気動向に左右されることなく堅調さを維持。

地価動向

  • 当地区においてはマンション等の開発素地の供給は依然として少ないが、当地区周辺を含む大阪市中心部では、立地条件が優れる開発素地に対するマンション開発業者等の強い土地取得需要が続いている
  • 当地区は立地条件が優れることから特に需要は堅調である。
  • また、建築費が高止まりで推移しているなかで、新築マンションの分譲価格は高騰した建築費を転嫁した価格水準を維持しており、売れ行きは富裕層の堅調な需要を背景に、当期も概ね好調な状態が続いている
  • また、築浅の中古マンションの供給も引き続き少なく、当期も価格は上昇傾向が続いている。
  • さらに、収益物件としての単身者・ファミリー向け賃貸マンションに対する投資家等の取得需要も強い状態が続いているものの、取引価格の上昇は緩やかであるため取引利回りは概ね横ばい傾向となって、地価動向はやや上昇傾向で推移している。

将来地価動向

  • 当地区は大阪市内で有数の文教地区に存し、分譲マンション等に係る選好性が高いため、富裕者層によるマンション需要は景気動向に左右されることなく堅調さを維持しており、マンション素地の供給が限定的で稀少性が高まるなかでデベロッパー等の取得需要が相対的に強い当地区においては需給の逼迫状況が当面は続くと予想される。
  • 新築マンションの分譲価格は横ばい傾向が続くと予想されるが、開発業者による土地取得需要の競合は継続すると見込まれ、また収益物件の供給も少なく投資需要が引き続き旺盛であることを背景に、将来の地価動向はやや上昇傾向が続くと予想される。

 

豊中市(豊中)

マンション素地の供給は住宅団地の建替事業に伴うもの等に限られ、長期的に供給不足の状況が続いている。

地価動向

  • 当地区及びその周辺はニュータウン開発事業により造成された市街地であるため新たな開発余地が少なく、物件の供給は限定的である。
  • 当地区が属する千里中央エリアは、千里中央駅付近に大型商業施設が整備されるなど利便性が良好で、また、全国的に知名度も高く公共施設も充実しているため、特にファミリータイプのマンションの人気が高く、近畿圏のみならず圏外からの転入も多い。
  • マンション素地の供給は住宅団地の建替事業に伴うもの等に限られ、長期的に供給不足の状況が続いている
  • 前期においては中古マンションの仲介業者の取得・転売等による影響から取引価格の上昇傾向が強まったが、当期は取引価格の上昇傾向から取引件数が減少し、結果的に取引価格の上昇も幾分鈍化した。
  • ただし、新築マンションが供給された場合には、マンション分譲価格の上昇が見込まれる地区であるため、当地区の知名度の高さも影響して地価動向はやや上昇傾向にある。

将来地価動向

  • 当地区は新大阪駅や大阪空港並びに大阪市中心部へのアクセスにも優れ、広域的な需要が見込まれる地区である。
  • また当地区周辺には賃貸マンションがほとんどなく、70㎡程度の分譲マンションが賃貸借される場合には賃料は16万から17万円程度と高額であるが、法人契約を中心とする安定した需要が見込まれる。
  • そのため、マンション素地としての需要は引き続き強く、こうした傾向は当面継続すると見込まれる。
  • したがって、当地区はマンション素地の需要が主であるものの、将来の地価動向はやや上昇傾向が続くと予想される。

 

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2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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