国交省が低所得者向けに空き家を活用するという朝日の記事。
低所得者向けに空き家を活用 国交省(朝日記事)
低所得者向けに空き家を活用 国交省、家賃を一部補助へ
国土交通省は、低所得者向けの住宅に空き家を活用し、家賃を一部補助する方針を固めた。
公営住宅を十分に供給できないためで、都道府県ごとに一定の基準を満たす空き家を登録し、入居希望者に仲介する仕組みを来年度につくる。
低所得者の住宅環境の改善と、空き家の減少を目指す。(以下略)
(朝日新聞デジタル 7月22日)
今後内容を詰め、来年の通常国会に関連法改正案の提出を目指すという。
空き家対策と住宅セーフティーネットの確保という一石二鳥にみえるこの施策。
ちょっと気になったので、調べてみた。
住宅セーフティネット検討小委員会「中間とりまとめ(案)」を読み解く
同施策の内容は、「新たな住宅セーフティネット検討小委員会」(委員長:浅見泰司 東京大学大学院工学系研究科 教授)のうち、7月22日に開催された第3回の委員会で配布された資料から知ることができる(次図)。
(第3回新たな住宅セーフティネット検討小委員会| 国土交通省)
空き家の総数は、この10年で1.2倍(659万戸⇒820万戸)に拡大している(次図)。
「【資料4】参考資料」(頁3)より
一方、公営住宅の応募倍率は大都市圏を中心に高水準(東京で22.8倍)である(次図)。
「【資料4】参考資料」(頁7)
こうした状況を踏まえ、住宅確保要配慮者に対する居住支援の強化として、「居住支援協議会が国や地方公共団体と協力し、セーフティネット住宅や家賃債務保証に係る情報提供を行うとともに、見守り等の居住支援サービスの紹介や具体的な支援につなげていく仕組みとすること」(中間とりまとめ(案)頁7)とされてている。
居住支援協議会が行う住宅確保要配慮者に対する民間賃貸住宅等への入居の円滑化に関する取り組みを支援・予算は、「H28年度 重層的住宅セーフティネット構築支援事業」の内数として2.1億円が見込まれている(【資料4】参考資料 頁35)。
「【資料4】参考資料」(頁35)
空き家対策と住宅セーフティーネットの確保という一石二鳥の施策を検討したメンバ(【資料1】委員名簿)には次のように、不動産業界の利益代表者がしっかりと入っている(空き家対策を議論するのだから、同代表者が入っているのは当然であるという言い方はあるが)。
- 全国賃貸住宅経営者協会連合会 前会長
- 全国宅地建物取引業協会連合会政策推進委員長
- 日本賃貸住宅管理協会 会長
賃貸経営者のツケを国民が払わされている?
新築の戸建て住宅や新築マンションを過剰供給しておいて、ドンドン生まれてきた空き家を、補助金(税金)を投入することで住宅セーフティネットとして活用するという施策。
たしかに一石二鳥の妙案ではあるが、賃貸経営者のツケを国民が払わされているという見方ができなくもない。
あともう1点。
空き家を活用をする前に、UR都市機構の賃貸住宅や公営住宅が民泊に利用されている状況を放置しておいていいのかという問題を指摘しておきたい。
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