大阪府の民泊条例は4月1日に施行になった。
一方、大阪府内で民泊が最も多い大阪市では、民泊条例は可決されたものの、施行時期は「平成28年10月以降」と先送り状態になっている。
大阪の民泊はどうなっているのか?
大阪の民泊事情をまとめてみた。
- 大阪府は「厳正かつスピード感を持って」違法民泊に対処しているか?
- 大阪市の民泊条例施行時期は「平成28年10月以降」に先送り
- 民泊条例が施行されていない大阪市・東大阪市・八尾市に民泊が多いのだが・・・
- 本家Airbnbの登録件数が減少に転ずる一方で中国版Airbnbが激増中
- 国に民泊の要件緩和を要望する大阪府知事
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大阪府は「厳正かつスピード感を持って」違法民泊に対処しているか?
大田区に先立ち、大阪府議会が全国初の民泊条例を可決したのは2015年10月27。
可決前に府議会の二人の代表質問に対する健康医療部長の答弁で、2度も確認されたのは次の文言。
(健康医療部長の答弁 2015年10月6日)
旅館業法違反が明らかになりました場合には、厳正かつスピード感を持って、法に基づいて対処してまいります。
旅館業法違反に対しては、「厳正かつスピード感を持って」対処するとしていた大阪府。
実際に同条例が施行(4月1日)されてから1か月と経たない4月26日に、大阪府警は生野区の違法民泊を摘発している(なぜ大阪府警は生野区の違法民泊を摘発したのか?)。
「スピード感」はともかく、生野区の違法民泊を摘発したのは「厳正」だったのか?
現在、大阪市内でAirbnb登録件数が最も多いのは中央区で3,000件に迫る。新宿区(約2,500件)よりも多い。
摘発された生野区(約200件)は、大阪市内では9番目でしかない(次図)。
「にわか大家さん「民泊」から撤退?Airbnb登録件数が減少に転じる 」に加筆
中央区の違法民泊への対応はどうするのか?
特に島之内エリアには民泊が集中しているのだが(次図)。
「大阪市内でAirbnb物件が最も集中しているエリアはどこか?」
大阪市の民泊条例施行時期は「平成28年10月以降」に先送り
大阪府の民泊条例の施行を受けて、民泊が可能となったのは次図の赤色とオレンジ色のエリア。
民泊条例の適用を見送ったのは吹田市、交野市、松原市の3市(白色)。
「大阪府における外国人滞在施設経営事業実施地域 (PDF:259KB)」を元に作成
問題なのは上図のグレー色のエリア、すなわち府の条例の対象外となる自治体だ。
大阪市や東大阪市、八尾市といった保健所が設置されている自治体は、府の条例とは別に独自の条例を制定する必要がある。
民泊が最も多い大阪市は民泊条例を平成28年1月15日可決したが、施行時期については、附帯決議で「平成28年10月以降とすること」と先送りされているのである。
附帯決議
1.本事業については、ガイドラインの作成や事業の周知等、十分な準備が必要であり、また他都市の実施状況や国の民泊をめぐる動向も注視し踏まえる必要があることから、条例上の「市長が定める日」である施行日は平成28年10月以降とすること。
ただし、なお市民の安全・安心が十分確保できないと認められる場合には、条例の施行をさらに延期すること。(2.3.は省略)
民泊条例が施行されていない大阪市・東大阪市・八尾市に民泊が多いのだが・・・
大阪府内でAirbnbの登録物件数が大阪市の次に多いのは、東大阪市と八尾市(次図)。
これら3つの市には保健所が設置されているので、市独自に民泊条例を制定する必要があるが、未制定。
だから大阪府の民泊条例が施行されても、府内のほんの一部の民泊に規制をかけたことにしかならないのである。
AirLABO(http://airlabo.jp/)のデータを元に作成
本家Airbnbの登録件数が減少に転ずる一方で中国版Airbnbが激増中
大阪府警による違法民泊の摘発や、大阪地裁がマンションでの民泊を禁じる初の司法判断を下したこと、今後制定される”民泊新法”に罰則規定が盛り込まれること(「民泊の制度設計のあり方について(最終報告書案)」を読む)などの影響なのか、中央区(大阪市)や浪速区のAirbnb登録件数が減少に転じている(次図)。
「にわか大家さん「民泊」から撤退?Airbnb登録件数が減少に転じる 」より
ただ、一方で中国版Airbnbの登録件数は特に大阪で激増中であることに留意する必要がある。
「異変!中国版Airbnb登録件数が増加する一方で、本家Airbnb登録件数は初の減少」より
国に民泊の要件緩和を要望する大阪府知事
中国版Airbnbは、中国人の中国人による中国人のための民泊仲介サイト。
仮に大阪市の民泊条例が施行されたとしても、その実効性が確保されなければ、大田区の民泊条例のように画餅に終わる。
大阪府の松井知事は5月10日に開催された「国家戦略特別区域会議」で、「7日という滞在日数はお客さんのニーズに合ってない。せめて3日にしていただきたい」と宿泊日数の要件緩和を要望。
台東区(台東区で「民泊待った!条例」可決 )など、「国の民泊推進にNOを突き付けている多くの自治体」」とは逆の道を進もうとしているのか大阪府知事は・・・・・・。
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(本日、マンション広告なし)