「民泊サービス」のあり方に関する検討会の議論を踏まえ、 「民泊サービス」の制度設計のあり方について(最終報告書案)(PDF:223KB)が本日(6月20日)午後、公開された。
全部で11ページ、次の4部から構成されている。
- 検討に当たっての基本的な視点と主な論点等
- これまでの対応策-現行制度の枠組みの中での対応-
- 民泊の制度設計のあり方について
- ホテル・旅館に対する規制等の見直し
本日のブログでは、忙しいあなたのために、「民泊の制度設計のあり方について」、マンション住民の視点から、気になるポイントをざっくり拾ってみた。
ざっくり言うと
- 「家主居住型」と「家主不在型」に区別して、規制が課せられる
- ホストの匿名性排除、無登録の仲介事業者の利用禁止
- 家主不在型の場合、ホストは管理者への委託が義務付けられる
- 違反した仲介事業者名・違反内容の公表
- 宿泊サービスを半年未満(180日以下)の範囲内で設定
結論から先に言えば、これまで12回開催された会議で徐々に積み上げられてきた方向性(と関係者から漏れ聞こえてきた情報)から大きく外れたサプライズな内容は特に見当たらない。
「家主居住型」と「家主不在型」に区別して、規制が課せられる
「一定の要件」を超えて実施される宿泊サービスは、新制度の範疇とせず、従来の旅館業法縛りとなる。
1.基本的な考え方
- (前略)「一定の要件」を超えて実施されるものは、新たな制度枠組みの対象外であり、旅館業法に基づく営業許可が必要である。
- 「家主居住型」と「家主不在型」に区別した上で、住宅提供者、管理者、仲介事業者に対する適切な規制を課し(中略)
- この枠組みで提供されるものは住宅を活用した宿泊サービスであり、ホテル・旅館を対象とする既存の旅館業法とは別の法制度として整備することが適当である。
ホストの匿名性排除、無登録の仲介事業者の利用禁止
ホスト(住宅提供者)の匿名性は排除、無登録の仲介事業者の利用は禁止となる。
無届けで民泊を実施した場合などは罰則を受ける。
2.家主居住型(ホームステイ)に対する規制について
- 住宅提供者は、住宅を提供して民泊を実施するに当たり行政庁への届出を行うこととする(家主不在型も同様)。
- 住宅提供者には、利用者名簿の作成・備付け・・・・・・匿名性を排除する。また、無登録の仲介事業者の利用の禁止を求めるべきである(家主不在型も同様)。
- (前略)違法な民泊を提供した場合の業務の停止命令等の処分、無届で民泊を実施したり、上記の義務に違反するなどの法令違反に対する罰則等を設けることを検討すべきである(家主不在型も同様)。
家主不在型の場合、ホストは管理者への委託が義務付けられる
家主不在型と家主居住型との大きな違いは、前者はホスト(住宅提供者)に管理者への委託が義務付けられること。あと行政庁へは届け出ではなく、登録が求められること。
3.家主不在型に対する規制について(管理者規制)
- (前略)「家主不在型」の民泊については、住宅提供者が管理者に管理を委託することを必要とし、適正な管理や安全面・衛生面を確保する。
- 管理者は行政庁への登録を行うこととする。
- (前略)法令違反に対する罰則等を設けるべきである。
- 管理者は、行政庁からの報告徴収等に応ずることはもとより、行政当局(保健衛生、警察、税務)の求めに応じて必要な情報提供を行うべきである。
ここでいう管理者とは、具体的には宅建業者のこと。ちんたい3団体のロビー活動が功を奏して、管理者(宅建業者)への委託義務化への方向で進められている。
※詳しくは、「民泊の”全面解禁”で潤う賃貸不動産業者、安全・安心が脅かされる住民」ご参照。
違反した仲介事業者名・違反内容の公表
仲介事業者は行政庁への登録が求められる。あと罰則規定と行政当局への情報提供。
外国法人に対する取締りの実効性確保のため、違反した仲介事業者名・違反内容の公表。
4.仲介事業者規制について
- 民泊(家主居住・不在型いずれも含む。)に係る仲介事業者は行政庁への登録を行うこととし、(中略)
- (前略)違法な民泊であることを知りながらサイト掲載している場合の業務停止命令、登録取消等の処分、法令違反に対する罰則等を設けるべきである。
- 仲介事業者は、行政庁からの報告徴収等に応ずることはもとより、行政当局(保健衛生、警察、税務)の求めに応じて必要な情報提供を行うべきである。
- 外国法人に対する取締りの実効性確保のため、法令違反行為を行った者の名称や違反行為の内容等を公表できるようにすることを検討すべきである。
Airbnbはもとより、「住百家」「自在客」「途家」といった中国版Airbnbサイトは行政当局の求めに素直に応じるだろうか?
すでに、外国の民泊仲介サイトに無視された京都市の実態がある(外国の民泊仲介サイトに無視された「京都市民泊実態調査」)。
宿泊サービスを半年未満(180日以下)の範囲内で設定
宿泊サービスを半年未満(180日以下)の範囲内に制限(上限日数は今後決定)。住居専用地域でも民泊が可能となる。
5.一定の要件について
- (前略)年間提供日数上限による制限を設けることを基本として、半年未満(180日以下)の範囲内で適切な日数を設定する。なお、その際、諸外国の例も参考としつつ、既存のホテル・旅館との競争条件にも留意する。
- 「住宅」として扱い得るような「一定の要件」が設定されることを前提に、住居専用地域でも実施可能とすべきである(ただし、地域の実情に応じて条例等により実施できないこととすることも可能)。
- 「一定の要件」が遵守されているかのチェックのため、住宅提供者又は管理者に報告などを求めるべきである。
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(本日、マンション広告なし)