「まゆずみ君」さんが気になることをツイートされている。
首都圏の新築マンションで、(1)単身向け住戸の供給割合が増えていること、(2)高価格帯の住戸の供給割合が増えていること、の2点である。
「まゆずみ君 (@NekoMur) 2016年6月16日」より
後者(価格帯)については、先日のブログの分析記事「新築マンション発売戸数の価格帯」で、たまたま解説していたので、本日は前者(単身向け住戸)のほうを検証してみよう。
首都圏新築マンションの「単身向け住戸」の供給割合、16年2月以降急上昇!
首都圏の新築マンションの「単身者向け住戸」の供給割合は、ホントに増えているのか?
不動産経済研究所が毎月発表している「首都圏新築マンション市場動向」の資料のなかに、「タイプ別戸数」のデータも掲載されている(次図)。
不動産経済研究所「首都圏新築マンション市場動向(2016年5月度)」より
14年4月以降の発表資料をひも解き、首都圏新築マンションのうち、「単身向け住戸(ワンルーム、1K、1LK、1DK、1LDK)」の毎月の発売戸数を集計し、グラフ化してみた(次図)。
※左軸は首都圏新築マンションの全発売戸数に占める「単身向け住戸」の割合、右軸は「単身向け住戸」の発売戸数。
「単身向け住戸」の供給割合は、14年4月以降4~5%程度で推移していたが、16年2月以降急上昇していることが分かる。
首都圏新築マンションは実需要が減少し、投資需要だけが伸びている?
なぜ、16年2月以降、「単身向け住戸」の供給割合が急上昇しているのか?
次のような仮説を立ててみた。
- このところ首都圏の新築マンションの価格水準は、人件費・物件費の高騰などにより、庶民(≒実需要)には手が出ないほどまでに上昇している。
- 価格水準が高くなると、庶民には新築マンションに手が出なくなる(実需要が減少する)ので、単身向け住戸(≒投資需要、and/or独身貴族用需要)の供給割合が相対的に高くなる。
ようするに、新築マンションの価格水準と「単身向け住戸」の供給割合との間に相関がある、という仮説である。
では、この仮説を検証してみよう。
首都圏新築マンションの発売単価は上昇トレンドにあり、現在4か月連続で80万円超えという高価格水準にある。
「4か月連続でm2単価80万円超え!首都圏新築マンション市場」より
「単身向け住戸の供給割合」と上図の「発売単価」のデータを重ねてみたのが次のグラフ。
おおっ、「発売単価」の上昇と呼応するように、「単身向け住戸の供給割合」も上昇しているではないか!
「単身向け住戸の供給割合」が増えているのは、首都圏新築マンションの価格水準が上昇し過ぎて、庶民には手が出なくなった(実需要が減少した)ためであると言えるのではないか(投資需要だけが伸びて、マンション価格水準が高騰しているとも言えるが)。
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