北陸新幹線開業によって、ホテルや旅館の不足や宿泊料金の高騰が続く金沢。「民泊」に対応した施設がじわりと増えているというのだが――。
【増えるホテル難民 民泊の波 金沢にも】
北陸新幹線開業によって、ホテルや旅館の不足や宿泊料金の高騰が続く金沢。そんな中、一般住宅に観光客らが有料で泊まることができる「民泊」に対応した施設がじわりと増えている。
高まるニーズに法令の整備が追いつかず違法状態で経営している業者も少なくない。民泊は、宿泊先が見つからない“ホテル難民”の救いになるのか。
(中略)
犀川に面するこのマンションも昨年八月に市から指導を受け、民泊の営業を取りやめた。女性は「需要があっても、現状では法律が…。消防設備の設置や改築には多額の費用が必要で、許可を取る手続きにもお金が掛かる」と残念がる。
金沢市衛生指導課は「政府が規制を緩和したとしても、旅館業法に基づく許可は取らないといけないので、これからも必ず許可をとってほしい」と求める。(以下略)(中日新聞 3月22日)
増加し続けている金沢市の「民泊」
金沢市の民泊といえば、昨年8月24日金沢市が「民泊サービス」の実態調査の結果を公表し、無許可の民泊を調査・指導したことがニュースになっていたことをこのブログでも伝えた(Airbnbへのモグラたたきが始まっている)。
その2カ月後の10月8日、筆者が独自に金沢市のAirbnb登録物件を再調査したところ、金沢市の指導も空しく、再び違法民泊が増加していることをこのブログで報告した(金沢市Airbnb物件 「モグラたたき」のその後)。
さて、あれから5か月余り、現在のAirbnb登録物件はどれくらい増えているのか?
Airbnbのホームページを開き、「金沢市」で検索すると、兼六園周辺を中心に、98件の物件が登録されていることが分かる(3月22日現在)。
98件の内訳は、アパート39件(Airbnbでは「マンション」とは表示されない)、一軒家48件、その他11件。
金沢市の調査データ(6月末・7月末)と筆者の調査データから、金沢市のAirbnb登録物件数の推移を可視化したのが次のグラフ。
市の調査・指導(≒モグラたたき)空しく、Airbnb登録物件は着実に増加していることが分かる。
金沢市ではホテル・旅館不足は発生していない?
中日新聞の記事は「北陸新幹線開業によって、ホテルや旅館の不足や宿泊料金の高騰が続く金沢」と伝えているが、どの程度不足しているのだろうか?
世界最大の宿泊予約サイト「ブッキングドットコム(Booking.com)」で確認してみよう。
http://www.booking.com/にアクセスし、「金沢市」で1泊2日(3月24日~25日)1名「出張」で検索すると、予約率34%と表示される(次図)。
なんだ6割以上も空いているじゃないか。
念のため、3週間ほど先までの予約状況を調べ、グラフにしてみた(次図)。
おっと、土曜日を除けばガラガラじゃないか。
出張でも家族旅行でも宿不足の状況ではない。
※「出張」で検索すると3月30日以降の予約率が表示されないので、同予約率の折れ線は3月30日までとなっている。
今後”ホテル難民”が増加するようであれば「ホームステイ型民泊」で解決!
「民泊は、宿泊先が見つからない“ホテル難民”の救いになるのか」という中日新聞の記事。事実誤認もとづく、ミスリード記事ではないのだろうか。
「ホテルや旅館の予約が取れないので、闇民泊もやむなし」というストーリーは成立しない。少なくともこの時期の金沢市においては。
とはいうものの、今後、金沢市を訪れる人は増えそうだ。
幸いなことに金沢市で登録されているAirbnb物件数は、東京と違ってアパートよりも一軒家のほうが多い(上図「金沢市Airbnb登録件数の推移」参照)。
ここは法令の見直しに応じて、「ホームステイ型民泊」で、オモテナシをするという解決策はありそうだ(大家はどのように民泊と向き合っていけばいいのか)。
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(本日、マンション広告なし)