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「箱の産業」から「場の産業」へ向かう不動産ストックビジネス

国交省は3月15日、「地域の不動産関連事業者向けの不動産ストックビジネス事例集」を公表。
昨年7月から「不動産ストック再生・利用推進検討会議」を3回開催し、地域の不動産業者、リノベーション事業者、賃貸住宅関連事業者等の関係事業者を念頭に、「不動産ストックの再生・利用に向けた今後の活動のあり方等」について検討を行ってきた成果だ。

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報告書「不動産ストックビジネスの発展と拡大に向けて」(PDF:251KB)は全29頁。

 

今後の不動産ストックビジネスは、「箱の産業」から「場の産業」へ向かうという。

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不動産ストックビジネスの発展と拡大に向けて(概要)」より

 

報告書には次の3つのポイントを切り口に、不動産ストックビジネスの11の先進事例が掲載されている。

需要の掘り起こし

  • まちづくりのビジョンと整合性を取りつつ地域の社会経済状況に的確に対応した需要を掘り起こし、利用価値向上を図ることが重要

人材ネットワークの構築

  • 幅広い分野の関係者が連携し、物件の発掘から再生、管理・運営までを一連のストーリーとして取り組むことが重要

資金調達の工夫

  • 収益性に着目したファイナンス手法や地域活性化のための志ある投資など、多様な資金調達手法の活用を図ることが重要

 

11の先進事例のうち、三好不動産(福岡県)が取り組んでいる「地元密着型の多角的コンサルティング」がなかなか興味深い。

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(報告書P11)

 

従来の「不動産業」の枠である「管理」、「仲介」だけにとらわれず、住環境の質の向上を目指し、「不動産+α」のサービスとして、次の3つに取り組んでいる。

  • 高齢者等への空き家サポートサービス
    入院により空き家となる物件の管理の必要性を認識。空き家オーナーとの間で管理委託契約を締結し、空き家サポートサービスを提供している。

  • 外国人留学生への賃貸斡旋の仕組み作り
    言葉の壁や生活習慣の違いを抱える外国人留学生のため、外国人スタッフを採用し、入居前の契約から入居後の生活に至るまでの支援体制を構築している。

  • 「介護賃貸住宅NPOセンター」を通じた活動
    保証人や身体の状況から、民間賃貸住宅への入居が困難な高齢者と、空室を抱えているオーナーの間に立って、両者の調整をしている。

特に3つ目のサービスがいい。

NPOが入居する高齢者の生活をサポートすることを条件にオーナーより賃貸住宅を借上げ、 入居希望者に賃貸。定期的な入居者訪問、週2回 の安否確認や行政機関等への各種申請を支援するという(次図)。

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(報告書P12)

 

「箱の産業」から「場の産業」へ向かう不動産ストックビジネス。

昨日のブログ記事(とってもユニーク!65歳からのお部屋探し「R65不動産」)でも触れたように、高齢化社会に向けて、老人でも物件を借りやすいことを目指す活動には注目したい。

 

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