1都3県で子育て世代にオススメの自治体はどこなのか?
経産省が2014年度に開発した「生活コストの「見える化」システム」を使って調べてみた。
同システムで全国市区町村別に、地域の暮らしやすさを貨幣価値で示すことにより、生活に係わる様々なコスト・ベネフィットを比較・検討することができるのだ。
- 地域の暮らしやすさを「貨幣価値」で評価する方法
- 総合評価TOP50
- 「生活利便性」評価が高い自治体は都心を中心に拡がっている
- 「働きやすさ」評価が高いのは東京>千葉>埼玉>神奈川
- 「教育・子育て」は千葉外房エリアが低評価
- 「医療・福祉」は埼玉西部と千葉外房の一部が低評価
- 「災害」評価が高いのは埼玉西部や東京西部
- 「自然環境」評価が高いのは千葉>埼玉>神奈川>東京
- 「ライフスタイル」評価が高いのは千葉県
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地域の暮らしやすさを「貨幣価値」で評価する方法
経産省のサイトからダウンロードしたエクセル形式の「生活コスト「見える化」システム_ver5」(21MBもある!)を立ち上げ、ラジオボタンで次のように選択し、実行ボタンを押す。
- 地域(市区町村):関東地方>東京都>千代田区
- 家族構成:夫婦と子供(乳幼児)の世帯
- 年代:30歳代
- 居住地を選ぶ際の好み:利便性志向
すると、選択した市町村の7項目(生活利便性、働きやすさ、教育・子育て、医療・福祉、災害、自然環境、ライフスタイル)と総合評価ごとの「貨幣価値(円/年)」が表示される(次図)。
ちなみに、利便性、教育・子育て、福祉・医療などの暮らしやすさに関する指標を貨幣価値に置き換える手法は、約1万人を対象としたアンケート調査のデータを用いて、「コンジョイント分析」により推計されているという(次図)。
※詳しくは、利用マニュアル(PDF:1,917KB)の「Ⅱ-2 「地域の暮らしやすさ指標」の推計方法」(P30-32)をご参照。
上記の操作で、1都3県のすべての市区町村の「貨幣価値(円/年)」を算出し、「利便性志向の高い」「30歳代」で「夫婦と子供(乳幼児)」の世帯にとって暮らしやすい自治体を整理してみよう。
まずは「総合評価」の結果から。
総合評価TOP50
総合評価の高かった自治体はザックリ言えば、東京都の西部、埼玉県西部、千葉県南総君津エリアあたり。神奈川県は概ね評価が低い結果となった(次図)。
総合評価の高かった自治体上位50位は次表のとおりである。
トップ3は、青梅市、あきる野市、八王子市といった都西部に集中している。
23区でランク入りしたのは杉並区のみ。
神奈川県の自治体は、なんとゼロ!
次に、「総合評価」の元となっている7項目それぞれの評価結果を見ていこう。
「生活利便性」評価が高い自治体は都心を中心に拡がっている
「生活利便性」評価は、次の4つの指標に係る貨幣価値が単純平均された結果。
- ショッピングセンターへの距離
- 飲食店の集積度
- バス停までの距離
- 鉄道駅までの距離
生活利便性は、やはりというか都心を中心に拡がっている。
埼玉県の西部や千葉県の郊外は分が悪い。
「生活利便性」の貨幣価値が60万円以上の自治体を次表に示す。
東京23区は59万円以下なので、次表には入ってこない。
まあ60万円も59万円も大差はないか――。
「働きやすさ」評価が高いのは東京>千葉>埼玉>神奈川
「働きやすさ」評価は、次の2つの指標に係る貨幣価値が単純平均された結果。
- 通勤通学時間
- 地域の求人倍率
「働きやすさ」について、次図からは概ね次のような傾向が読み取れる。
- 東京都>千葉県>埼玉県>神奈川県
「働きやすさ」の貨幣価値が10万円以上の自治体を次表に示す。
「教育・子育て」は千葉外房エリアが低評価
「教育・子育て」評価は、次の4つの指標に係る貨幣価値が単純平均された結果。
- 小中学校までの距離
- 学校での子供に対する先生の目の届きやすさ
- 大学(短大除く)までの距離
- 地域の保育所の待機児童率
「利便性志向の高い」「30歳代」で「夫婦と子供(乳幼児)」の世帯にとって、千葉県の外房はエリアは低い評価となっている。
「教育・子育て」の貨幣価値が44万円以上の自治体を次表に示す。
評価指標として、「保育所の待機児童率」だけでなく、「大学(短大除く)までの距離」も含まれていることこともあり、上位49自治体には東京23区のうち8つの区が入っている。
「医療・福祉」は埼玉西部と千葉外房の一部が低評価
「医療・福祉」評価は、次の3つの指標に係る貨幣価値が単純平均された結果。
- 老人福祉施設の定員充足率(利用のしやすさ)
- 病院又は診療所までの距離
- 高度な救命措置が可能な救命救急センターまでの所要時間
埼玉県西部と千葉県の外房の一部が低い評価となっている。
「医療・福祉」の貨幣価値が34万円以上の自治体を次表に示す。
東京23区のうち2つの区(港区・渋谷区)が入っている。
「災害」評価が高いのは埼玉西部や東京西部
「災害」評価は、次の2つの指標に係る貨幣価値が単純平均された結果。
- 今後30年間に、震度6以上の揺れが発生する確率
- 津波避難対策地域(市町村単位)の該当
東海・東南海・南海地震による津波や首都直下地震の影響が少ない、埼玉西部や東京西部の評価が高い結果となっている。
「災害」の貨幣価値が35万円以上の自治体を次表に示す。
首都直下地震の影響が大きい東京23区は入っていない。
「自然環境」評価が高いのは千葉>埼玉>神奈川>東京
「自然環境」評価は、次の4つの指標に係る貨幣価値が単純平均された結果。
- 周辺での緑(農地や森林)の多さ
- 空気のきれいさ(大気汚染物質の濃度)
- 水のきれいさ(名水・湧水の有無)
- 年間平均気温
「自然環境」について、次図からは概ね次のような傾向が読み取れる。
- 千葉県>埼玉県>神奈川県>東京都
「自然環境」の貨幣価値が19万円以上の自治体を次表に示す。
評価指標のなかに都市公園が含まれていないこともあり、東京都は低評価となっている。
「ライフスタイル」評価が高いのは千葉県
「ライフスタイル」評価は、次の3つの指標に係る貨幣価値が単純平均された結果。
- 地域で採れた食材の入手のしやすさ
- 治安の良さ
- 地域の活動(まちづくり、町内会、PTA活動など)に関わる人の割合
「ライフスタイル」については、千葉県の評価が高い。
「地域で採れた食材の入手のしやすさ」の影響が効いているのであろう。
「ライフスタイル」の貨幣価値が14万円以上の自治体を次表に示す。
すべて千葉県の自治体である。
以上、経産省が2014年度に開発した「生活コストの「見える化」システム」を使って、1都3県のすべての市区町村の「貨幣価値」を算出し、利便性志向の高い30歳代で夫婦と子供(乳幼児)の世帯にとって暮らしやすい自治体を整理した。
全国大の比較は「暮らしやすい自治体トップ10」をご参照。
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