不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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マンション不安!2015年を振り返る

2015年も残すところあと2週間余り。2015年はマンションの住人に不安を抱かせるニースが世の中を騒がせた。


もくじ

最初のニュースは、東洋ゴム工業の子会社による、免震ゴムの試験データ不正操作による偽装事件だった。

免震ゴム偽装事件

東洋ゴム工業が2月9日、偽装データの可能性が高いとして、国交省に「自主的に報告」。
これにマスコミが飛びついて、免震マンションは大丈夫なのかという報道が相次いだ。

大手不動産会社のうち、住友不動産(勇み足な反応)と東急不動産(中途半端な反応)以外は無視を決め込む(大手不動産会社 免震ゴム偽装問題への対応の巧拙)。


国交省は4月3日に第1回の「免震材料に関する第三者委員会」を立ち上げ、3か月後に「免震材料に関する第三者委員会報告書」(PDF:2MB)をまとめ、問題の終息を図っている。

 

10月14日、東洋ゴム工業は電車や船舶などに使われる防振ゴム製品でも性能データを改ざんしたことが公になったことで、再び炎上しそうだったが、日経が10月14日付けの朝刊で傾斜マンションの杭データの偽装事件を報じたため、免震ゴム偽装事件は傾斜マンションの陰に隠れてしまった。

 

最終的には、誰も罰せられず、また免震偽装マンションの名前が公表されることもなく(免震偽装事件 3つの疑問)、免震ゴム偽装事件は世間から忘れ去られつつある。

 

中国人によるマンション爆買い

デパートなどで中国人による爆買いが報道されるにつれて、中国人によるマンションの爆買いも話題になった。

 

本当に中国人がマンションを爆買いしているのか?

ネットを駆け巡っている情報はピンポイントな情報ばかりだ。

外国人、特に中国人が東京オリンピック需要を見越してマンションを買っていると言われているが 」実際のところはどうなのか?

中国人のマンションの「爆買い」を検証してみた 」が、全体像の把握は難しい。

 

NHKのクローズアップ現代が12月2日に放送した「東京を買う中国マネー ~不動産爆買いと“投資移民”~」に期待して視たのだが、イギリスには不動産を取得する外国人を把握する制度があるが、日本にはこのような制度がないということで、定性的な爆買い情報にとどまっていた。

ただ、不動産の購入を通して、70万人が日本の経営管理ビザを取得し、10年で日本の永住権獲得を目指す中国人富裕層が増えているという情報には驚かされた。

 

マンション傾斜・偽装事件

マンション傾斜・偽装事件も世の中をかなり騒がせた(ともう過去形になっている)。

耐震偽装事件以来の大事件になりそうなマスコミ記事の扱いであったのだが――

杭工事データの偽装が業界全体で行われていたことが世の中に知れ渡るにつれ、「データの偽装はあっても、マンションが傾いたのは横浜のケースだけじゃないの」と、逆に変な安心感を与えてしまったようなところがあるのではないだろうか。


免震ゴム偽装事件と同様、国交省は「基礎ぐい工事問題に関する対策委員会」を立ち上げ、問題の終息を図ろうとしている。

本当は「傾斜マンション建設当時よりも現在のほうがヤバい?」と思うのだが。

 

そして最後が民泊・Airbnb問題。

民泊・Airbnb問題

上記3つのトピックス(免震ゴム偽装事件、中国人によるマンション爆買い、マンション傾斜・偽装事件)は、いずれもマスコミが視聴率稼ぎ(紙メディアにとっては販売部数増)のネタとして盛んに取り上げたようなところがあるのではないだろうか。

これから本当に議論を尽くしていく必要があるのは、民泊・Airbnb問題だ。

 

訪日外国人の急増による宿泊不足に対応するために、今後Airbnbを通じた民泊が増加していくのは間違いないだろう。

投資目的で購入あるいは借り上げたマンションを海外からの旅行者に貸し出す「投資型民泊」をどう規制していくのか?

自宅の一部を開放し、海外からの旅行者とのコミュニケーションを図ることを意識した「ホームステイ型民泊」をどう推進していくのか?(大田区Airbnb 投資型7割、ホームステイ型2割

 

嵐やエグザイルのコンサートに民泊を活用してみたらどうか(嵐・EXILE効果?福岡市Airbnbの稼働率上昇)とか、プロ野球のキャンプ期間などに空き家や個人宅の一室を貸し出してみてはどうか(プロ野球ファンのための「良い民泊」)といった、一部の自治体首長による”皮算用”的な扱いが見られる。

 

議論の切り口はいろいろあるが、マンション住民にとっての最重要課題は、隣の住戸の民泊を排除することであろう。

自分の住んでいるマンションに、不特定多数の外国人が、スーツケースを転がして自由に出入りするようでは、落ち着いて暮らすことなどできない。

マイホームは安全・安心が確保できて、ゆっくりとくつろげる空間でなければならない。

現在、国や自治体が議論している内容は、どちらかといえば、ホテルや旅館の既得権益を確保しながら、いかにして訪日外国人の宿泊施設を確保するかという点に重きが置かれているように感じる。

マンション住人の安心・安全確保への検討はまだまだ踏み込んだ検討がなされていない。

 

機を見るに敏なデベロッパーは、「民泊禁止」を謳った新築マンションが年内にも売り出すらしい(「民泊禁止」を謳った新築マンションが販売される)。

 

Googleでどれだけ検索されているかというトレンドをグラフで見ることができるツール、 Google Trends(グーグルトレンド)で見ると、免震ゴム偽装事件やマンション傾斜・偽装事件は風化し(事件の風化に要する時間は?マンション傾斜・偽装事件)、民泊・Airbnb問題が今後増えていきそうなことが予感される。

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(Google Trendsの検索結果をもとに筆者が加工)

(本日、マンション広告なし)

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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