大阪府議会は10月27日の本会議で、大田区に先立ち、全国初の「民泊」条例を可決。
府は来年4月からの施行を目指している。
なお、同条例は府内43市町村のうち、独自に保健所を持つ大阪市・堺市など6つの市を除いた37市町村が適用範囲。
だから、宿泊需要が多い大阪市で条例が成立しなければ「効果は半減する(議会後の松井一郎知事談)」。
大阪府議会のネット動画(録画)をもとに、3会派の最終の「討論」(というか、議員の原稿の棒読み)を全文テキスト化しておいた。
栗原貴子議員(自民):大阪府が責任をもって条例の実効性を担保すること!
栗原議員からは、(1)大阪府が責任をもって条例の実効性を担保すること、(2)違法が確認された場合には警察と連携し対応することが念押しされた。
前回否決されて以降、対応策が改善されたうえでの再提案とのことですが、治安面や住民トラブルの防止措置が果たしてどれほど住民の不安解消につながるのか、今議会での質疑を通じて指摘された点などについては、事業者が定められたルールをしっかり守るよう大阪府が責任をもって条例の実効性を担保することを強く求めておきます。
あわせていわゆる「民泊ビジネス」についても国と協力し、実態を明らかにするとともに、違法であることが確認されれば、警察とも連携し、法に基づき適切に対応されるよう求めておきます。
徳村さとる議員(維新):言及なし
民泊条例案に対しては、言及なし。
用意した原稿を全部読み切れず、ヤジのなか、議長からの3回目の注意「もう止めてください!」でもって、時間切れ。
川岡栄一議員(公明):条例施行後の民泊の運用事績と効果の検証を!
川岡議員からは、条例施行後の民泊の運用事績と効果の検証が求められた。
本件は昨年度から2度目の提案にあたり、前回わが会派が指摘した治安面等の懸念に対し、パスポートの確認や滞在者名簿などの記入など、一定の措置が取られました。
一方、旅館業法違反の懸念が非常に高いインターネットを活用したいわゆる「民泊」が新たな広がりをみせていることから、条例施行後に運用実績と効果について検証し、申請や観光客の利用動向も含め、治安や近隣住民の生活環境への影響を踏まえた対応を検討すべきであると考えます。
結局、3日間(10月2日(金)~6日(火))の代表質問に立った、3名の議員のうち、民泊条例案に質問したのは、初日の森和臣議員(大阪維新の会)と3日目の垣見大志朗議員(公明党)。
2日目の代表質問者である栗原貴子議員(自民党)は、「外国人滞在施設については質問を予定していましたが、取り止め、委員会でまたじっくり質問させていただきたいと思います」ということで、質問をすっ飛ばしてしまった。
委員会で「じっくり質問」されたのだろうか?
民泊条例案に質問した両議員に対して、大阪府からの実質的な回答としては、健康医療部長の答弁「旅館業法違反が明らかになりました場合には、厳正かつスピード感を持って、法に基づいて対処してまいります」くらい。
両議員に対して、健康医療部長からは同じ内容の答弁が繰り返されたことにより、「府は旅館業法違反者に対しては、厳正かつスピード感を持って対応する」ことを約束させられたことになる。
そんなことを約束してしまって、大阪府は本当に実行できるのか?(大田区は「民泊条例」を厳格に適用できるか )。
以上のように、大阪府の「民泊条例」は、ほとんど議論されずに採決されてしまったという印象だ。
こんなことで、いいのだろうか――。
- 10月2日の記事: 大阪府議会で「民泊条例」の質疑始まる
- 10月5日の記事: 大阪府議会で「民泊条例」の代表質疑(2日目)
- 10月6日の記事:大阪府議会で「民泊条例」の代表質疑(3日目)
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