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宿泊施設は足りるのか?2020年東京オリンピック

最近、都内のホテルは予約が取りにくくなっているという。
2020年の東京オリンピック開催中の宿泊施設は足りるのか?


もくじ

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photo by Catholic Church (England and Wales)

法王訪問による「100万人」の宿泊需要を「民泊」で対応するフィラデルフィア

ローマ法王フランシスコが即位後初めて訪米し、9月26日(土)に聖家族会議が開催されるフィラデルフィアでは、世界中から集まるカトリック教徒100万人の宿泊需要に期待して、 「民泊」が活況を呈しているという。

車中泊用に1993年式のホンダ「アコード」を一晩30ドルで貸し出すような猛者もいる!

法王、フィラデルフィア民泊市場に福音

(略)法王はニューヨークとワシントンも訪問するが、フィラデルフィアでは法王が出席する聖家族会議が開催され、世界中からカトリック教徒が集まる見通しだ。

推計100万人が集まるとも言われ、宿泊施設の不足が懸念される中、教徒らに個人宅の部屋などを貸し出す「民泊」が活況を呈している。

(略)1週間15万ドル(約1790万円)で貸し出されるタウンハウスもあれば、車中泊用に1993年式のホンダ「アコード」を一晩30ドルで借りることもできる。またこの期間には、現在博物館として使用されている退役戦艦「ニュージャージー」の寝台が1泊70ドルで開放される。

SankeiBiz 2015年9月21日

 

フィアデルフィアでは、ローマ法王の訪問による宿泊施設不足を解消するために、事前に、部屋の短期貸し出しが合法化されている。

具体的な貸し出し要件は、次のとおりだ。

  • 短期貸し出しには、宿泊施設同様、8.5%課税される
  • 貸出しできる期間は連続して30日以内
    (それ以上は許可申請が必要)
  • 1年で合計180日以上の貸出しは不可など

 

一時的な「100万人」もの宿泊需要を「民泊」でカバーできるのであれば、たいていの宿泊需要急増に「民泊」は対応できるのではないか。

フィラデルフィアの例がうまくいくのか、今後要フォロー。


念のため2010年の東京オリンピックの宿泊需要予測を確認しておこう。

2010年東京オリンピック観戦目的の訪日外国人数20~40万人

日本政策投資銀行が2014年6月に公表した資料「東京オリンピック期間中と期間後の全国のホテル需給環境を考える」(PDF:1.1MB)によれば、「東京での観戦目的の訪日外国人数は20~40万人」と予測されている。

開催期間中、1日あたり約10万室が必要だが、ホテル・旅館以外の宿泊施設の利用や、1室あたり利用者増(ソファーベッド等)等勘案すれば、全体ではホテルが大幅に不足することはないとしている。

(略)これらを勘案すると東京での観戦目的の訪日外国人数は20~40万人のレンジになる可能性がある。

上記前提の場合、延べ宿泊人泊は、日本人156万人泊、外国人104万人泊の合計260万人泊で、必要室数は延べ173万室となるが、開催期間17日間で平均すると1日あたり約10万室が必要となる。

過去のロンドンの状況や、東京のホテルは夏期は繁忙期ではないこと等を勘案すれば、開会式や人気競技のある日等除き、交通利便性の高い首都圏においては、仮に近接3県は1/2の利用を過程すると、東京都+近接3県×1/2の16万室(IOCへ提供保証の約4万室控除後)で対応可能と試算される。

ホテル・旅館以外の宿泊施設の利用や、1室あたり利用者増(ソファーベッド等)等勘案すれば、全体ではホテルが大幅に不足することはないと推測される。


とはいうものの、 最近の訪日外国人の大幅な増加を踏まえると、5年後に開催される東京オリンピック開催中の宿泊施設は本当に足りるのか、幾分心配になってくる。

 

もし不足するようであれば、フィアデルフィアにならい、「民泊」で対応する手がある。
ただし、東京都はフィアデルフィアと違って、いまのところ、部屋の短期貸し出しが合法化(条例化)される動きはみられない。

条例化なしに、「民泊」を活用するにはどうすればいいのか?

 

東京オリンピック開催時の宿泊施設不足は「イベント特例」で切り抜ける

このときの「民泊」は、現在のような法的黙認のAirbnbではなく、すでに法的に認められている「イベント特例」(イベント開催時で、宿泊施設の不足が見込まれ、公共性の高い場合には、自宅を提供することは、旅館業法の適用外とする)を活用するのだ(次表)。

http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/f/flats/20150731/20150731055811.jpg
2015年6月30日に閣議決定された「規制改革実施計画」より

 

ただし、このイベント特例を使うには、マンション住人の了解が必要だ。
東京都は、訪日外国人に対して都民が一丸となってオモテナシを行うというムードを盛り上げていくことが不可欠だ。

ただ、そのときの宿泊料金は高騰するんだろうなぁ(宿泊施設の稼働率と料金の上昇傾向を可視化してみた)。

(本日、マンション広告なし)

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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