不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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大手不動産のメディア・タブー性

「高須クリニックのスポンサー撤退宣言に顔面真っ青になった報道ステーションが急に安保法案賛成派に転身」したというバイラルメディアnetgeek(ネットギーク)の記事。

高須クリニックの高須克弥院長が報道ステーションの偏向報道に怒り、「来月(10月)からスポンサーを撤退する」と宣言した件について、報道ステーションが突然報道姿勢を変え始めた。
これまで一貫して安保法案に反対して自分たちの都合のいい部分だけを伝えていた報道ステーション。
9/18の放送は急に賛成派の意見を紹介するようになった。

netgeek 2015年9月19日

 

スポンサーに弱いマスメディアという現象は今に始まったことではない。
2009年米国でレクサスの暴走事故が大きく取り上げられた一連の報道に対して、トヨタに対する国内メディアから辛辣な批判が少なかったことをご記憶だろうか。

「同じように不祥事を起こしながら、袋叩きにされる企業と批判を免れる絶対的タブーの企業があり、その違いは広告出稿量にある」という( タブーの正体!: マスコミが「あのこと」に触れない理由 (ちくま新書))。
「広告引き上げの恐怖がタブーの要因となっている以上、大口の広告スポンサーであればあるほど、そのタブー性は強くなる」(同書)。


では、不動産会社のメディア・タブー性はどの程度なのか?


もくじ

まずは、日本の大企業の広告宣伝費TOP50の確認から。

東洋経済オンラインが2015年8月28日に「広告宣伝費トップ500社ランキング」を発表しているので、そのなかからTOP50を整理してみた。

広告宣伝費が多い企業TOP50

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広告宣伝費は、ソニー、トヨタ自動車、日産自動車の3社がダントツで多い。
ソニーの広告宣伝費が第1位という状況に、リストラされた多くの社員はどう思うだろうか。

不動産業界のトップは野村不動産ホールディングスの45位。他の業界と比べると広告宣伝費224億円というのはあまり目立たない。

 

次に、大手不動産会社の宣伝広告費を確認してみよう。

売上高では三井不動産が1位

大手不動会社の直近の有価証券報告書から、広告宣伝費を拾ってみた。

具体的には、 EDINET (エディネット、Electronic Disclosure for Investors' NETwork)の書類検索機能を使って、大手不動産の有価証券報告書 を紐解き、過去6年間(平成21年度〜26年度)の「売上高」と「広告宣伝費」をピックアップし、グラフ化した。

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意外なことに、売上高(連結)では、野村不動産Hは5位(4千億円~6千億円)だ。

年間の売上高(連結)は、三井不動産が1.4兆円〜1.5兆円でダントツ。2位が三菱地所(1兆円~1.1兆円)、3位が住友不動産(7千億円~8千億円)。

 

広告宣伝費では野村不動産Hが1位

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売上高では5位の野村不動産ホールディングス(約6千億円)だが、広告宣伝費では三井不動産を抜いて1位だ。

これは何を意味しているのか?
この事象を理解しやすくするために、「売上高」に対する「宣伝広告費」の割合(以下、「広告宣伝費率」)を比較したのが次のグラフ。

野村不動産Hだけが広告宣伝費率が増加

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ここ数年、野村不動産Hだけが広告宣伝費率が増加し、H26年度は4.0%に達している。


そういえば、野村不動産のPROUD(プラウド)のテレビCMは最近よく見かける。
野村不動産のマンション・ブランドであるPROUD(プラウド)は、高級感があるというイメージが定着しつつあるが、広告宣伝費を大量に投下した結果が影響している可能性があることに留意する必要があるだろう。

 

大手不動産のメディア・タブー性

ソニーやトヨタほどでないにしても、不動産業界の広告宣伝費はメディアに対して十分なタブー性を秘めているのであろう。

新築マンションの供給過剰問題マスコミが伝えない世帯数減少の衝撃、新築マンション供給過剰問題)とか、タワーマンションの問題など(超高層マンションは格差社会の縮図、 30代は永住できない大規模超高層マンション)、マスメディアが取り扱うことは極めて稀だ。

免震偽装問題大手不動産会社 免震ゴム偽装問題への対応の巧拙)については、その後あまり聞こえてこない。

(本日敬老の日、マンション広告なし)

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