タワーマンションの購入による節税対策に規制が入るのではないかと、一部の税理士の間で話題となっている。
震源は、税理士のための税務特化情報誌「旬刊速報税理」2015年7月11日号の記事だ。
(もくじ)
一方、気になるのは、”タワーマンション節税”に対する動き。
高層マンションに居住するほど、その敷地の評価額に掛ける持分割合は下がり、相続税評価額が時価に比べて低くなるのを利用したものだが、高層マンションが林立する中、何らかの評価方法がパブリック・コメントにかけられる模様だ。
(旬刊速報税理 2015年7月11日号 P8)
9月16日現在、パブリックコメントの意見募集中案件一覧には見当たらない。
そもそもタワーマンションを使った節税とは何なのか?
タワーマンション節税とは
「タワーマンション節税! 相続対策は東京の不動産でやりなさい (朝日新書)」の著書がある、沖有人氏が代表取締役を務めるスタイルアクト社の「タワーマンション節税」サイトに詳しい。
相続資産のうち、金融資産をタワーマンションに組み替えることで相続税評価を下げ、相続税を節約することです。
一般的に、相続税評価額は時価(実際の売買価格)よりも低く算出されるため、事実上の資産価値を失うことなく節税が可能になるのです。(以下、省略)
タワーマンション節税に対してどのような規制が入るのか?
そして規制が入ると、どのような影響があるのか?
住まいと暮らしの実益情報メディアstorie(ストリエ)の特集記事で、公認会計士で税理士の伊藤英佑氏へのインタビュー記事が詳しいので、抜粋して紹介しよう。
タワーマンション節税に対する規制内容
3年間は時価(通常売買価格)評価が適用されるのではないかという。
現時点で識者の観測を総合的に見る限り、法人の未上場株式の不動産評価の計算では相続税評価額は取得時から3年間は時価(通常売買価格)でされるのですが、これが個人においても適用されるようになるのではないか、という落ち着きどころが一つの目安となりそうです。
節税対策として既にタワーマンションを購入している人への影響は?
実際にパブリックコメントが出てみないと分からない、ということのようだ。
一般に、予見可能性がないようなルール変更はフェアではないため、税制改正が遡って適用される場合は多くはありませんが、どのように税制改正がされるかは予断を許しませんので、現状では、パブリックコメントやニュース・報道での方向性の見通しを注視していくしかありません。
節税対策の規制による、タワーマンションの購入需要への影響は?
タワーマンションの購入による節税対策が有効でなくなるような抜本的な制度変更にはならないのではないか、というのが伊藤氏の見立てだ。
これも税制改正の内容次第ではありますが、私の個人的な予想では、相続税の不動産評価自体が抜本的に変更されるというようなことがない限り、一般論として賃貸不動産購入が相続税対策に有効である、ということが変わるような制度変更までは至らないのではないかと思います。
(中略)
何らかの税制改正により、ルールの穴を突いたり、極端な方法が防止されることにより、その分の購入需要はもちろんなくなりますが、タワーマンションの購入自体が高額であるため、影響は一部の富裕層に限定的なものに止まるという可能性もあります。
まあ、タワーマンション節税にどのようなメスが入ろうと、庶民にとっては全く係りのない話だ。
ただ、一部の富裕層だけがうまい汁を吸える現在の不公平な仕組みは何とかしてほしいものだ。
ちなみに、「タワーマンション節税」という表現は、商標登録としてスタイルアクト株式会社がしっかり押さえている。
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