「不動産裏物語 プロが明かすカモにならない鉄則」
「裏物語」という怪しげなキーワードに惹かれて文庫を購入。税込637円。
中古マンション販売歴15年以上の凄腕営業マンが暴露する販売のテクニックが紹介されている。
これから中古マンションを買う検討をする人には、是非とも「第1章 売る側の理論」だけでも読んでほしい。
すでに中古マンションを買ってしまった人は、悔しいを思いをするだろうから、この本を読まないこと。
優秀な営業マンは「今日」買わせる
著者は、売上をあげるためには、「今日」「自分が見せた物件の中から」「買わせる」ことに尽きると言い切る。
その日のうちに購入を決意させるために、私か常に考えて、実践しているのが「お客さんによそ見をさせない」こと。お客さんの性格にもよるし、置かれている状況、希望条件などにもよるが、
- 「ご希望のエリア、予算だと、この物件しかありませんね」
- 「うかがった状況を考えると、今月中しかローンが組めないですね」
- 「来月になると金利が上がるんですよ」
- 「次に、もっと良い物件が出てくるかは、神様でも分からないですから」
などと、この物件を「今日」買わなければならないと思わせるように道を絞り込み、お客さんを納得させるのだ。
(「第1章 売る側の理論」より)
「今日」買わせるための、もっともらしい口撃だ 。
架空の「ライバル」を作る
「今日」買わせるために、架空の「ライバル」まで用意するという。
「この物件を買わせたい」と目星をつけたら、当日、案内する前に、「今日は3件、ご案内しますが、3作目はすでに他のお客様からお申し込みが入っていますので、その点だけご了承くださいね」と伝えるのだ。
もちろん、この3作目が「買わせたい物件」で、他のお客さんからの申し込みなど入っていない。
(「第1章 売る側の理論」より)
嘘八百もアリの恐ろしい世界だ。
さらに何でもアリの恐ろしい世界の話が続く。
「〇〇マンション」限定でお探しのお客様
他社が媒介している物件を横取りし、自分たちで見つけた買主に売って「両手」とするためのテクニック。
「○○マンション限定でお探しのお客様がいます!」と、自分が今売り出し中のマンションの名前が入ったチラシが舞い込めば、話くらいは聞いてみたいと思うものだろう。
(中略)
しかし、このチラシ、そもそも「お探しのお客様」なんてものは存在していないため、「なるべく早くそのお客さんを連れてきてもらえる?」
と言われてしまうと困る。そんなときのために、その会社では、「お客様役」というものが存在しており、物件見学のお客さんを装わせるという流れが確立していた。
この「お客様役」は、営業マンが演じると、売り主にばれてしまう可能性が高い。そのため、総務や広報など、あまり「現場慣れ」していない人が選ばれ、客を演じた人には、わずかながらの手当が支払われていた。
(「第3章 悪徳不動産の手練手練れ」より)
食いついてきた売主に媒介契約を結ぶという。
このような売らんがための掟破りの黒いテクニックがいくつも紹介されている。
これから中古マンションを買おうという人には、是非とも読んでほしい1冊だ。
というより、この本を読まずして、中古マンションを買うなかれ。
「一生の買い物」をするのだから、たった637円を惜しむ理由はないだろう。
(本日、マンション広告なし)