↓ 本日の記事のポイント
Airbnbの争点
Airbnbの争点は、大別すると次の2点。
- 住民にとっての「資産価値の毀損問題」
- 法律を遵守している既存の業界ホテル・旅館等と、必ずしも法律を順守していないAirbnbとの「不公平な競争問題」
「資産価値の毀損問題」については、深夜にデカイ声で酒盛りをしたり、屋内プールやジムといった共用施設をルール無視で我が物顔に使ったりといった容易に想像のつく問題だけでなく、海外事例にみられるようなより深刻な状況もあり得る(「海外の信じがたいトラブル事例」参照)。
Airbnbと既存ホテル・旅館との「不公正な競争問題」の解決を図るために、同じ土俵の上で競争させるぶんには、既存ホテル・旅館サイドからは文句がないだろうが、それではAirbnbの良さが死んでしまうのは明らかだ。
Airbnb(民泊)は地方創生の一翼を担うことが期待されているし、特に都市部における宿泊施設不足解消に欠かせないと考えられているようなところもある。
「良い民泊」と「悪い民泊」
Airbnbによって、マンションの資産価値が毀損されるような状況はあってはならないというのが筆者の基本スタンス。
かといって、Airbnbに必ずしも否定的な訳ではない。
自宅の一部を開放し、海外からのお客様に和食を振る舞う。食事を共にしながら、異文化コミュニケーションを図る。アットホームなオモテナシの場を提供できる「良い民泊」は大いに進められるべきだと考えている。
一方、外国人が投資目的で購入したマンションを海外からの旅行者に貸し出す。日本人が一切関与せず、室内で何が行われているのか、まったく分からないという状態は「悪い民泊」である。
サンタモニカ・ルールの提案
「資産価値の毀損問題」「不公平な競争問題」と、「地方創生」「都市部の宿泊施設不足解消」との折り合いをどうつければいいのか?
諸外国のAirbnbへの対応が、ヒントになるかもしれない。
都市部のマンションは、その資産価値が毀損されないよう、サンタモニカ(カリフォルニア州)で実施されているような、Airbnbにとっては厳しい条件のもとに貸出しを認める、「サンタモニカ・ルール(と呼ぶことにする)」を提案したい。
具体的には次のとおりだ。
- ホストは宿泊者がいる間中、その宿泊施設にいなければならない(不在ホストの禁止)
- ビジネス・ライセンスを登録しなければならない(登録制)
- 宿泊税を徴収しなければならない(宿泊税徴収義務)
- 上記の違反者には罰金を科す(サンタモニカの場合は500ドル)
戸建てはマンションほどではないにしても、隣戸への配慮が欠かせないことから、マンションと同様、サタンタモニカ・ルールのもと、貸出しを認める。
地方においてもマンション・戸建の「資産価値の毀損」問題はあり得るので、同ルールは、都市部に限らず、地方においても適用する。
もちろん、2015年6月30日に閣議決定された特例(イベント開催時で、宿泊施設の不足が見込まれ、公共性の高い場合には、自宅を提供できる)を否定するものではない。
「不在ホストの禁止」「登録制」「宿泊税徴収義務」「罰金」という全米でも最も厳しいと言われている「サンタモニカ・ルール」を日本の民泊規定に適用することを提案してみた。
議論のキッカケとしていただければ幸いである。
(本日、マンション広告なし)