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「民泊」特例では旅館と同等の水準が求められている!


もくじ

大阪府が「民泊」を特例として認める条例案

大阪府が「民泊」を特例として認める条例案を9月の定例会議に提案するというニュース。 

マンション空室を宿泊施設に活用、大阪府条例案

大阪府は、旅館業法が禁じるマンションなどの空き部屋の宿泊施設への活用を、特例として認める条例案を9月定例議会に提案する方針を固めた。外国人観光客の急増でホテルが不足する一方、個人的に旅行者を泊める「民泊」が広がっている実態を踏まえ、「国家戦略特区」による規制緩和を活用することにした。条例が成立すれば全国初となる。
(略)
大阪では、外国人観光客の増加に伴いホテル不足が深刻化。今年4月の稼働率は、リゾートホテル(96.1%)、ビジネスホテル(89.1%)で全国一となっている。(略)

(読売新聞 8月4日)

 

Airbnbの登録件数が日本一の東京都よりも、大阪府(3位)のほうがAirbnb対策に先行することになりそうだ。 

※AirBnB都道府県別の登録件数ランキングについては、「なぜ佐賀県が9位?! AirBnB登録件数ランキング」参照。

 

大阪府のAirbnbの平均稼働率は9割超え

大阪府でAirbnbに登録されているのは全部で3,174件(=アパート2,641件+一軒家533件)(8月6日現在)。

これらの稼働率の推移をグラフ化してみた。

※稼働率を調べる方法はこちら

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アパート(Airbnbではマンションとは表現しない)の稼働率は、明日(8月8日)が99.8%、この先数日間は概ね95%と、ほぼ満室状態。

大阪府のビジネスホテルの4月の稼働率(89.1%)よりも、はるかに高い。

 

一軒家の稼働率は、明日(8月8日)が97.7%、この先数日間は概ね9割という高稼働率を維持している。

 

現状では、Airbnbがホテル不足を補完するだけの十分なキャパシティーを有していないことが分かる。

9月の条例制定に向けて、「怪しげな民泊」が増加しないことを祈ろう。

 

国でも、 内閣府地方創生推進室を中心に、「民泊」の検討が進められている。 

「民泊」特例、旅館と同等の水準が求められている!

特区法(国家戦略特別区域法)における旅館業法の特例について、旅館業法に基づく旅館等と同等の水準、滞在者の身元を確実に確認できるような措置を講じておくことや、施設の近隣の住民の不安を除去するための措置を講じておくことが求められている。

 

具体的には、内閣府地方創生推進室が2015年7月31日、都道府県知事、政令市市長、特別区区長に向けた通知「外国人滞在施設経営事業の円滑な実施を図るための留意事項についてPDF:216KB)」に示されている。

主なポイントは次のとおりである。

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テロ対策、感染症対策及び違法薬物の使用や売春などの施設における違法な行為の防止の観点

  • (1)認定事業者は、別紙の滞在者名簿を備え、滞在者の氏名、住所及び職業並びにその国籍及び旅券番号を記載すること

  • (2)対面(又は滞在者が実際に施設に所在することが映像等により確実に確認できる方法)により、滞在者名簿に記載されている滞在者と実際に使用する者が同一の者であることを確認すること

  • (3)認定事業者は、契約期間中に、滞在者本人が適切に施設を使用しているかどうかについて、状況の確認を行うとともに、挙動に不審な点が見られる場合や違法薬物の使用や売春などの法令に違反する行為が疑われる場合には、速やかに最寄りの警察署に通報すること。

  • (4)認定事業者は、滞在者が施設の使用を終了する時にも、対面(又は滞在者が実際に施設に所在することが映像等により確実に確認できる方法)により、滞在者名簿に記載されている滞在者と実際に使用した者が同一の者であることを確認すること

近隣住民の不安を除去する観点

  • (1)認定事業者は、事前に、施設の近隣住民に対し、当該施設が国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に使用されるものであることについて、適切に説明し、近隣住民の理解を得るよう努めること

  • (2)認定事業者は、近隣住民からの苦情等の窓口を設置し、近隣住民に周知するとともに、近隣住民からの苦情等に対しては適切に対応すること。

  • (3)認定事業者は、施設の滞在者に対し、使用開始時に、以下の点を含めた施設使用の際の注意事項を説明すること
     ア 施設に備え付けられた設備の使用方法
     イ 廃棄物の処理方法
     ウ 騒音等により周囲に迷惑をかけないこと。
     エ 火災等の緊急事態が発生した場合の通報先及び初期対応の方法

 

旅館業法に基づく旅館等と同等の水準で、滞在者の身元確認や、近隣住民に周知することなどが求められると、個人ベースでAirbnbのアパートや一軒家を運用は事実上不可能ではないのか。

国からは、個人ではなく、シッカリした会社組織での Airbnb活用が期待されているということなのかもしれない。 

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2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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