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新国立競技場総工費2,520億円への対案は1,000億円

 日本スポーツ振興センター(JSC)の有識者会議で総工費2,520億円の新国立競技場にゴーサインが出てしまった!

新国立競技場、あっさり増額 コストより公約優先

総工費2,520億円の新国立競技場の建設計画に7日、ゴーサインが出た。

異例の巨額事業となるが、最優先されたのはコストよりも、ラグビーワールドカップ(W杯)や東京五輪の招致で日本が世界に示した「国際公約」だった。

財源も定まらぬままの見切り発車になった。

(朝日新聞デジタル 2015年7月8日07時56分)

 

こんなとんでもない出費にゴーサインを出したのはどこのどいつだ?

もくじ
  • 有識者会議の委員は稀有壮大な建設推進派ばかり
  • ナンチャラ事業による収入を過大に見過ぎているのではないか?
  • 過去のオリンピックスタジアムと比べて、新国立競技場の1,625億円は突出
  • 槇文彦グループから総工事費1,000億円の対案

 

有識者会議の委員は稀有壮大な建設推進派ばかり

国立競技場将来構想有識者会議の委員名簿(平成26年度)[PDF:109KB]で顔ぶれを確認してみよう。

  • 安西 祐一郎(独立行政法人日本学術振興会理事長)
  • 安藤 忠雄(建築家)
  • 遠藤 利明(スポーツ議員連盟幹事長 衆議院議員)
  • 小倉 純二(公益財団法人日本サッカー協会名誉会長)
  • 佐藤 禎一(元日本国政府ユネスコ代表部特命全権大使)
  • 鈴木 秀典(公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構会長)
  • 竹田 恆和(公益財団法人日本オリンピック委員会会長)
  • 張 富士夫(公益財団法人日本体育協会会長)
  • 都倉 俊一(作曲家 一般社団法人日本音楽著作権協会会長)
  • 鳥原 光憲(公益財団法人日本障害者スポーツ協会会長)
  • 舛添 要一(東京都知事)
  • 森 喜朗(公益財団法人日本ラグビーフットボール協会会長、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長)
  • 横川 浩(公益財団法人日本陸上競技連盟会長)
  • 笠 浩史(2020年東京オリンピック・パラリンピック大会推進議員連盟幹事長代理、衆議院議員)

委員は全部で14名。どいつもこいつも稀有壮大な建設推進派ばかりでないのか?

朝日の記事によれば、笠浩史衆院議員(民主)が「説明が足りない。膨れる不安にも説明が必要だ」と膨らむ総工費に疑問を呈したというのだが、もっと突っ込めよといいたくなる。

都倉俊一に至っては「屋根がないことで外国人アーティストと長期契約が結べない」と注文を付けたという。

 

建築技術の中身が分かる(もちろんカネも分かるはず)キーマンである安藤忠雄は、なぜ会議を欠席したのか?

「本人の都合」というだけで、具体的な欠席理由は明らかにされていない。

 

ナンチャラ事業による収入を過大に見過ぎているのではないか?

7月7日に開催された「第6回 国立競技場将来構想有識者会議」の資料3に「新国立競技場 整備完成時(開閉式遮音装置等設置後)収支見込み[PDF:128KB]」が掲載されているので確認してみよう。

年間40億8,100万円の収入に対して、40億4,300万円の支出だから、一応3,800万円の黒字にはなっている(次表)。

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この微妙な数字合わせは、ナンチャラ事業による収入を過大に見過ぎているのではないか?

 

この収支見通しの表の欄外に、次の注釈があることに要注目!

なお、新競技場の改築事業に係るいわゆるライフサイクルコストを明らかにするため、改築後50年間に必要な大規模改修費を試算したところ、約1,046億円となっています。(この金額を賄うための経費は、上記の収支計画に含まれていません。)

50年間で約1,046億円。年間にして約21億円もの出費。なのにこの金額は上記の収支計画には含まれていないという。

 

過去のオリンピックスタジアムと比べて、新国立競技場の1,625億円は突出

総工費2,520億円がいかにベラボウな金額なのか、過去に開催されたオリンピックスタジアムと比べてみよう。

※総工事費はウィキペディア等に記載されていた現地通貨ベースの金額を現在のレートに換算した。

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どう考えても、新国立競技場の1,625億円は突出している。

 

それぞれのオリンピックスタジアムの写真と比べてみよう。

アトランタオリンピック(オリンピックスタジアム)254億円

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File:Atlantaolympicstadium.JPG - Wikipedia, the free encyclopedia

パラリンピック閉幕後、アトランタ・ブレーブスの本拠地とするために陸上競技用のトラックとフィールド、観客席の北半分を撤去し、新たに外野席やスコアボードなどを建設して、1997年シーズンにターナー・フィールドとして生まれ変わった。

 

シドニーオリンピック(スタジアム・オーストラリア)660億円

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File:Overlooking the Telstra Dome.jpg - Wikimedia Commons

現在は陸上トラックのない球技場で、ラグビー、クリケット、オーストラリアンフットボール、サッカーなどのスポーツイベントで使用されている。

 

アテネオリンピック(オリンピックスタジアム)355億円(改修)

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File:Olympic stadium,Athens 18.JPG - Wikimedia Commons

元々は1982年に開かれたヨーロッパ陸上競技選手権大会のために建設された。1996年のオリンピック招致のためにサンティアゴ・カラトラバの設計により大規模改修が行われたが、アトランタに敗れ1997年に行われたIAAF世界陸上選手権、2004年アテネオリンピックのメイン競技場になった。

 

北京オリンピック(北京国家体育場)513億円

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File:Beijing Vogelnest.jpg - Wikimedia Commons

その独特の形状から、愛称は「鳥の巣(鸟巢・Bird's Nest)」である。大きさは330m×220mで高さは69.2m。総工費は35億元。

 

ロンドンオリンピック(オリンピックスタジアム)900億円

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ファイル:Olympic Stadium (London), 16 April 2012.jpg - Wikipedia

ウェンブリー・スタジアム、トゥイッケナム・スタジアムに次いで一時的に全英で3番目に大きなスタジアムであった。2015年ラグビーワールドカップと2017年の世界陸上競技選手権大会の開催予定地でもある。

 

リオデジャネイロオリンピック(エスタジオ・ド・マラカナン)550億円(改修)

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File:Maracana Stadium June 2013.jpg - Wikimedia Commons

2014年にブラジルで64年ぶりに開催されたFIFAワールドカップの決勝戦も、前回同様このスタジアムで同年7月13日に行われた。
そのプレ大会である2013年サッカーコンフェデレーションズカップ(2013年6月)の会場としても利用されるため、改装工事を行った。
2016年8月に開催される予定の第31回夏季オリンピックリオデジャネイロ大会の開会式/閉会式とサッカー競技も、エスタジオ・ド・マラカナンで挙行される。サッカー専用競技場がメインスタジアムに使われるのは初である。

 

東京オリンピック(新国立競技場)1,625億円

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資料3 新国立競技場 完成予想図(案)[PDF:1.66MB]

 

槇文彦グループから総工事費1,000億円の対案

平成27年5月29日付けで槇文彦グループから「JSCの現在案に対しコスト削減、工期内工事可能な対案」が出されている。

対案を採用することにより、「全体で約1000億円内外で42ヶ月程度の工期で建設が可能」、「オリンピック及びラグビーワールドカップ等のスポーツに関する要求条件を満足し、予算内に納め、予定通りの工期で完成することが可能」とされている。

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原案(A案)と代案(B案)の比較検討の結果」より

 

まだ手遅れではない。

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(本日、マンション広告なし)

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