去年1年間に転倒や転落が主な原因で死亡した人数が全国で7千人を超え、交通事故の死亡者数を上回ったという一昨日のNHKニュース。
(前略)厚生労働省によりますと、去年1年間に転倒や転落が主な原因で死亡した人は全国で7,454人で、交通事故で死亡した人を1,800人余り上回りました。
詳しいデータが公表されているおととしには転倒・転落で7,766人が死亡していて、このうち65歳以上の高齢者は全体の86%を占めています。(後略)
(NHKニュースWEB 7月4日 18時26分)
映像化しにくい「不慮の事故」がTVニュースで放映されることは珍しい。
1年間の転落・転倒による死亡者数が交通事の死亡者数を上回ったという事実にインパクトがあったせいであろう。
転落・転倒による死亡者数が年間7,766人。
毎日21人(1時間当たり0.9人!)が死亡しているというのは衝撃的な数字だ。
厚生労働省が毎月公表している人口動態調査データから、「不慮の事故」をひも解いてみよう。
- 「転倒・転落」による死亡者数は2009年に「交通事故」による死亡者数を上回る
- 「窒息」「転倒・転落」「溺死」による死亡者数は高齢者が圧倒的に多い
- 80歳以上の「同一平面上での転倒」による死亡者数が圧倒的に多い
「転倒・転落」による死亡者数は2009年に「交通事故」による死亡者数を上回る
「人口動態統計(確定数)の概況」と「人口動態統計月報年計(概数)の概況」に掲載されている平成7年(1995年)~平成26年(2014年)の「死亡数・死亡率(人口10万対)、死因簡単分類別」のデータを拾ってグラフ化したのが次図。
年々「交通事故」による死亡者数が減少していくのに対して、「窒息(不慮の窒息)」「転倒・転落」「溺死(不慮の溺死及び溺水)」は漸増している。
「転倒・転落」による死亡者数は2009年に「交通事故」による死亡者数を上回っていることが分かる。
「窒息(不慮の窒息)」は2014年に9,662人と1万人に迫り、「不慮の事故」のなかで最も多い。
次に「不慮の事故」による死亡者数の年齢別内訳を見てみよう。
「窒息」「転倒・転落」「溺死」による死亡者数は高齢者が圧倒的に多い
「平成25年(2013)人口動態統計(確定数)の概況」のうち「5-31 不慮の事故の種類別にみた年齢別死亡数」データを用いてグラフを作成してみた。
「窒息」は、過去に問題になったコンニャクゼリーでも詰まらせて窒息死に至る幼児がいるのかと思ったら、死亡者のほとんどが高齢者だった。
「転倒・転落」と「溺死」による死亡者数も高齢者が圧倒的に多いことが分かる。
さらに「転倒・転落」による死亡者数の年齢別・要因別内訳を見てみよう。
80歳以上の「同一平面上での転倒」による死亡者数が圧倒的に多い
「転倒・転落」は次の4つに区分されている。
- スリップ、つまづき及びよろめきによる同一平面上での転倒
- 階段及びステップからの転落及びその上での転倒
- 建物又は建造物からの転落
- その他の転落
80歳以上の「スリップ、つまづき及びよろめきによる同一平面上での転倒」による死亡者数が圧倒的に多いことが分かる。
転ばぬ先の杖ではないが、日本転倒予防学会の推奨品「テルモ 転倒予防くつ下 アップウォーク 」(2012年2月1日認定)を老親に贈ろう!