きのうの日曜の朝日新聞の広告。
刺身や天ぷら、海鮮丼やすき焼きなど、美味しそうな写真が掲載されている。
居酒屋の宣伝かと思いきや「老後生活 見直してみませんか?」と書かれている。
何の広告かお分かりだろうか?
答えは一番下に書かれている。
日本最大級のシニア向け分譲マンション (株)〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
シニア向け分譲マンションの広告だったのだ。
「日本最大級」の意味するところは?
「日本最大級」と書かれているが、何がどう「最大級」なのか不明だ。
そこで(株)〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇(以下、S社)のホームページを見てみた。
「日本最大級」なのは、S社が供給する物件数の多さではなく、千葉県稲毛市に建つシニア向けマンションの住戸数の多さ(5棟、総戸数771戸)を意味しているらしい。
なんとも紛らわしいキャッチコピーだ。
いつまで住めるのか?
この日本最大級のシニア向け分譲マンションは、誰もが買えるのではなく、次の入居条件を満たす必要があること、とS社のホームーページに書かれている。
- 原則50歳以上
- 健康的に自立した生活を送ることができること
では、買ったあとに「健康的に自立した生活を送ること」ができなくなったらどうなるのか?
- 比較的軽度な介護や生活支援を要することになった場合に備え、訪問介護サービスを行う子会社「△△△△△△」を設立しています。
- 比較的重度の介護については、当面は提携先の施設への入所斡旋またはご希望の施設への入所サポートをいたします。
施設への入所斡旋やサポートを受けられるのは「当面」の間だけ。
あとは勝手にしてくださいとも読める。
このシニア向け分譲マンションを購入できるのは「原則50歳以上」。
購入者が60歳、健康寿命75歳とすると、このマンションに住めるのは15年間。その後は介護施設に移ることになる。
実質的に十数年しか住めないシニア向け分譲マンション
一番安くて1,410万円(1K・33.24m2)、最も高いのが4,290万円(2LDK+DEN・82.23m2)。
- A・B棟/1K、1LDK:1,410万円~3,550万円(33.24m2~140.89m2)
- C棟/1LDK~2LDK+DEN:2,290万円~4,290万円(54.32m2~82.23m2)
- D棟/1K~1LDK:1,490万円~3,300万円(28.81m2~69.04m2)
- E棟/1LDK:販売価格3,100万円~3,580万円(60.28m2~67.34m2)
分譲マンション購入費のほかに、会員制クラブハウスや会員専用のゴルフやテニスグラウンドなどを利用するためのコミュニティへの入会金50万円と施設利用権利金140万円を払わなければならない。
もちろん、月々の管理費や修繕積立金も必要だ。
売主にとっては、美味しそうなビジネスモデルだ。
住民が介護支援を受けながら住み続けようが、介護施設に移ろうが、売主にとっては全く関係ないからだ。
最初の入居者が出ていったあとはどうなるのか?
では最初の入居者が出ていったあと(十数年後)、次の入居者はどのような人になるのか?
出て行った親の後に、その子供が住むとも思えない(子供はすでにどこかに住居を構えているはずだ)。
では相続したあと、すぐに転売するのか?
転売の都度、中古マンションとして価格は下落していくことになるだろうから(ここは都心の一等地ではないのだ)、どんどんスラム化していくのでは。
とか、シニア向け分譲マンションの行く末がとっても気になるところだ。
分譲型シニアマンションって買いなのか?(分譲型シニアマンションは買いか?)
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