不動産系のベストセラー「マンションは10年で買い替えなさい(朝日新書 2012/12/13)」の沖有人氏が書かれた「2018年までのマンション戦略バイブル(朝日新聞出版 2015/1/20)」を読んだ。
沖有人氏の名前を知らない人でも、同氏が代表取締役を務めている会社が運営しているサイト住まいサーフィンのほうはご存知であろう。
- マンションは10年で買い替えなさい
- 2018年までのマンション戦略バイブル
まずは、前著(マンションは10年で買い替えなさい)のおさらいから。
マンションは10年で買い替えなさい
前著は、過去20年に分譲された首都圏の約1万8000棟のマンションの全てを調べ上げた、日本最大の不動産データベースから導き出された知見をもとに書かれていた。
知見とは、次の4つ。
- 持家購入と賃貸のどちらが得か?
⇒ 持家の方が圧倒的に有利である- どんなマンションを購入したらいいか?
⇒ 物件を選ぶには、7つの法則に従う- すでに購入した人が資産形成するには?
⇒ 10年でマンションを住み替える- 不動産投資のように不労所得を稼ぐには?
⇒ 自宅を不動産投資に見立てた方がうまく行く
本のタイトルでもある「10年でマンションを住み替える」というのが同書のキモの部分。
含み益が次の購入物件の頭金になるとか、毎回最新の設備を手に入れることができるとか、大規模修繕を回避できるとか、瑕疵担保責任が10年で切れる前であるとか、12の根拠を掲げ、10年ごとに住み替えを推奨している。
そのように10年ごとに住み替えができる人にとっては、たしかにわらしべ長者的なマンションライフを満喫することができそうだ。
でも、このような焼き畑的な住み替えは、環境破壊(と資源の無駄づかい)のうえに成立しているだけでなく、「その中古マンションを買わされる人はどうなのよ」と突っ込みたくなる。
まあ、なんだかんだ言っても、これからマンションを買おうとする人は、本書を読んでおいて損はないだろう。
次に、「2018年までのマンション戦略バイブル(朝日新聞出版)」について。
2018年までのマンション戦略バイブル
本書のポイントを一言で言えば、「不動産投資は儲からないが、自宅に投資するのであれば儲けることができる」ということ。
取得から5年経過すると、不動産の譲渡所得税率が39%から20%に下がるから、このタイミングで売却するといいとか、自宅に投資することの利点が定量的な数値とともに書かれている。
また、「今は新築マンションを買うべきではない」とか、「少なくとも今、湾岸地域で建設されている物件は、私は自社の顧客にはお勧めしない」など、不動産会社の関係者が読めば目をむきそうな、ストレートな物言いが並んでいる。
この本は、前著(マンションは10年で買い替えなさい)以上に、投資を意識したマンション購入指南本だ。
湾岸のタワーマンションを購入しようとしている人は読んではいけない。