不動産経済研究所が12月24日に発表した「2015年の首都圏マンション市場予測」には次のように記されている。
- マンション供給は4.5万戸。都心回帰強まり再び増加へ。
- 都心部の超高層・再開発が大幅増加。都区部で50%超に。
- 在庫は引き続き低水準。着工は14年1~10月で前年同期比12.2%減。
- 消費税再増税延期で市場は安定。都区部は″新価格″物件が中心へ。
「都心回帰」「都心部の超高層・再開発」「都区部の″新価格″」がキーワードらしい。
発表資料の中には、「分譲価格」と「1m2当たりの価格」の07年以降のデータも掲載されているので、首都圏の新築のマンションの価格動向を把握すべく、過去の発表データと合わせて、縦軸を平均分譲価格、横軸を平均床面積として、02年以降の変化を“見える化”してみた。
23区の新築マンションの分譲価格は、07年から09年まで床面積を削減しながら毎年下落。
09年を境に床面積はやや抑制されながらも、分譲価格は上昇に転じていることが分かる。
また、首都圏の新築マンションの分譲価格についても、23区と同様の傾向が見られる(ただし、23区と比べると変動幅は小さい)。
さて、2015年の首都圏の新築マンション市場はどうなるか。
まずはグーグル先生に訊いてみよう。
「不動産」の検索数の推移は次のとおり。
2015年も下落傾向にあるらしい。
「新築マンション」「中古マンション」「賃貸マンション」の検索数の推移は次のとおり。
「新築マンション」と「賃貸マンション」が下落する一方で、「中古マンション」が増加する傾向が見られる。
ただし、グーグル先生の答えは、あくまでも検索件数の話だ。
実際のところ、専門家らはどう見ているのか?
2015年1月18日号の『週刊ダイヤモンド 別冊(これでカンペキ!住まい探し 完全ガイド)』に掲載されていた4名の専門家の見解を拾ってみた。
櫻井幸雄(住宅評論家)
私は15年の年明けからマンション市況が一気に活気づくとみている。
正月明けから2月までは、売り手にとっても買い手にとっても、勝負の時になるのではないかと思えてならない。
その前兆は、すでに、半年前の市況に出ていたのである。
ほう、「年明けからマンション市況が一気に活気づく」とな。
中山登志朗氏(HOME'S総合研究所副所長)
17年4月の10%増税前にもう一度駆け込み需要が起きる可能性は高いが、そこが、新築マンション市場が伸びる最後のタイミングになるのではないか。
住宅ニーズはやがて、高額な都心や準都心の新築マンションと、郊外の中古および戸建てにシフトしていくはず。
今、新築を買う人は、その頃に自分が中古の”売り手”になっているかもしれないことを、十分に意識してほしい。
ほう、今後は高額な都心の新築マンションと郊外の中古にシフトするとな。
石澤卓志(みずほ証券 経営調査部上席研究員)
デベロッパー各社は増税が決まれば再度の駆け込みを見越して、供給を増やしてくる可能性が高いと見ていた。用地不足だといわれるが、湾岸など空き地はまだある。
職人不足というが、外国人労働者の労働条件を緩和すれば改善される余地がある。資材価格は円安の影響をもろに受けるので致し方ないが、グレード面などを見直すことはできるだろう。
「グレード面を見直す」ことにより分譲価格を抑えることは可能だが、グレード落ちを良しとする人はいるのか――。
久光龍彦(トータルブレイン取締役社長)
この2年間で建築費が3割上昇したといったが、その影響をもろに受けた物件が出てくるのは15年の春から秋にかけて。
坪300万だったものは400万に、坪200万だったものは260万~270万くらいになっていくはず。
すでに超都心では新々価格と呼ばれる値上がりした物件が数多く出回っている。
春から秋にかけて値上がり物件が出てくるとな。
専門家らの見解を読む限り、2015年の新築マンション市場は、庶民にとって手の出しにくい状況にあるようだ。
(本日、マンション広告なし)