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都会と地方の経済格差について可視化してみた

安倍総理大臣は9月29日の所信表明演説のなかで、内閣の重要課題の1つとして「地方創生」を掲げている
で、本日は都会と地方の経済格差について調べてみた。
総務省が7月29日に公表した「平成25年 住宅・土地統計調査 速報集計結果」に、都道府県別の「世帯の年間収入」データが公開されているので可視化してみよう。


都道府県別の「世帯の年間収入」を可視化してみた

「世帯の年間収入」は、次の10階層ごとに世帯数データが公表されている。

  • 100万円未満、100〜200、200〜300、300〜400、400〜500、500〜700、700〜1000、1000〜1500、1500〜2000、2000万円以上

そこで、各階層の中間値に世帯数を掛けて合計した値を総世帯数で割り、その金額を各都道府県の平均の「世帯の年間収入」とした。
たとえば東京都であれば――
[(50万円×311千世帯)+(150万円×666千世帯)+・・・・・・+(3,000万円×7千世帯)]/100=532.6万円
なお、「2,000万円以上」以上の階層については、年収3,000万円として計算した。


計算結果を地図化してみると――
世帯の年間収入
世帯年収が高い都県は3都市圏を中心に拡がっていることが分かる。
逆に言うと、北海道、東北、四国、九州は相対的に世帯年収が低い。


「世帯の年間収入」のランキングは次の通りだ。

  • 上位5都県
    • 1位:神奈川県(533.3万円)
    • 2位:東京都(532.6万円)
    • 3位:福井県(517万円)
    • 4位:富山県(515万円)
    • 5位:千葉県(511万円)


  • 下位5県
    • 1位:沖縄県(315万円)
    • 2位:鹿児島県(353万円)
    • 3位:宮崎県(361万円)
    • 4位:高知県(365万円)
    • 5位:青森県(369万円)

上位5都県に福井県や富山県がランクインしているのは意外な感じがするが、「世帯の年間収入」ということだから、お爺ちゃんやお婆ちゃんの収入も合算できる大家族の形態が有利に働いているのであろう。
東京都(532.6万円)が僅差で神奈川県(533.3万円)を下回っているのは、東京都にはプアな単身世帯の割合が多いのが理由であろう。


「世帯の年間収入」の上位3都県と下位3県の階層別の「世帯の年間収入」をグラフ化してみると、興味深い特徴が見えてくる。
世帯年収の分布(階層別)
上位3都県が二極化している(都県内の経済格差が大きい)一方で、下位3県は年収が低い水準に偏っていることだ(県内の経済格差は小さい)。


たとえ世帯年収が低くても、県内の経済格差が小さければ、物価の低い地方であれば、それはそれで豊かに暮らせそうだ。
そこで、次はジニ係数を計算し、可視化してみよう。


ジニ係数を可視化してみた

ジニ係数とは、社会における所得分配の不平等さを測る指標
ジニ係数の範囲は0から1で、値が0に近いほど格差が少ない状態、1に近いほど格差が大きい状態であることを意味する。社会騒乱多発の警戒ラインは、0.4とされている。
※ジニ係数を計算するにあったっては、舞田敏彦先生の「データえっせい」ブログ「ジニ係数の求め方」を参考にさせていただいた。


計算結果を地図化してみると――
ジニ係数2
四国の一部や九州の一部はジニ係数が高い(すなわち格差が大きい)。


ジニ係数が0.39以上なのは、次の14都府県。うち、社会が不安定化する危険水準といわれている0.4を超えているのは5県。
幸いなことに、まだ不安定感の兆候は報告されていない。

  • 1位:高知県(0.419
  • 2位:沖縄県(0.416
  • 3位:福岡県(0.402
  • 4位:青森県(0.402
  • 5位:徳島県(0.401
  • 6位:宮崎県(0.400
  • 7位:熊本県(0.399)
  • 8位:和歌山県(0.399)
  • 9位:東京都(0.395)
  • 10位:京都府(0.394)
  • 11位:長崎県(0.394)
  • 12位:大阪府(0.393)
  • 13位:鹿児島県(0.391)
  • 14位:石川県(0.390)

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