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首都圏の新築マンションは売れているのか


9月19日5時00分の朝日新聞デジタルの記事。

地価上昇、エリア限定 都心、マンション完売
(前略)都心のマンションは「即日完売」が相次ぐ
JR田町駅から徒歩10分の高層マンションでも、497戸を7月から3回に分けて売り出したところ、すべて即日完売。
70平方メートルの部屋を7千万円で購入した港区の飲食店経営藤嶋健一さん(50)は「人手不足、資材高を考えると『今だな』と思った」。(後略)

ずいぶんと景気のいい話だ。


不動産経済研究所が毎月発表している数値データをもとに、首都圏新築マンション市場動向のトレンドを可視化(グラフ化)してみると、発売単価は1月以降上昇傾向にある。
2カ月連続で77万円台と80万円に迫る勢い。
8月の23区の平均発売価格は7,182万円。もはや庶民には手が届かない水準に達している。
販売在庫、発売戸数・単価の推移(首都圏)


で、朝日の記事にあるように「都心のマンションは『即日完売』が相次ぐ」状況にあるのか?
同研究所のデータをもとに確認してみよう。


「発売戸数」と「契約率」の推移(首都圏新築マンション
まず、首都圏新築マンション「発売戸数」と「契約率」の推移を可視化したのが次のグラフ。
発売戸数と契約率(首都圏新築マンション)
季節変動がある発売戸数は2千戸から8千戸とバラツイテいるが、契約率のほうは2010年以降は概ね70〜80%で推移していることが分かる。
もう少し見やすくするために、この月別データを年間に集計したのが次のグラフ。
※2014年は、1月から8月のデータ。
発売戸数と契約率(首都圏新築マンション)2
5年間(2010年〜2014年)の年間の平均契約率は78%。
契約率が70%を超えると、マスコミは“好不調の境目とされる70%”という枕詞を使いたがるのだが――
年間8万戸も供給されていた2005年頃までならともかく、ここ数年の4、5万戸の供給水準においては、もはや「契約率70%」という指標は、好不調の実態を適切に表現できていないのではないのか、というのが筆者の問題意識。


「契約率」を計算するための「分子(売却戸数)」と「分母(発売戸数)」の間には、強い従属関係があるからだ。
すなわち、売却戸数(分子)が減少してくる(売れ行きが悪くなる)と、供給量が下方修正されて発売戸数(分母)も減少してくるという負のスパイラル状態になるので、「契約率70%」といっても、好調時の70%もあれば不調時の70%もあり得る
新築マンション発売戸数の推移(全国)


「発売戸数」と「即日完売率」の推移(首都圏新築マンション
次に、首都圏新築マンションの「発売戸数」と「即日完売率」の推移をグラフ化してみた。
発売戸数と即日完売率(首都圏新築マンション)
月変動が激しくて、特徴が読み取りにくい。
そこで、もう少し見やすくするために、この月別データを年間に集計したのが次のグラフ。
※2014年は、1月から8月のデータ。
発売戸数と即日完売率(首都圏新築マンション)2
即日完売率は2010年の13.3%をピークに低下傾向にあることが一目瞭然。
2014年(1月から8月の平均)は8.2%まで低下しているのだ。
「契約率」と同様、「即日完売率」も分子(即日完売戸数)」と「分母(発売戸数)」の間には、強い従属関係があるから、同じ即日完売率10%であっても、好調時の即日完売率10%もあれば不調時の即日完売率10%もあり得るのだ。


ただ、契約率はなんだかんだ言っても年間平均で78%を維持しているのに対して、即日完売率のほうは、ここ数年低下傾向にあるのが大きな違いだ。
首都圏新築マンション価格動向、鑑定評価員のコメントにも記したように、「中古ともに好調を維持している」有明(江東区)のようなエリアがあるとすれば、そうでない(即日完売からは程遠い)エリアもあるということなのだろう。

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