朝日新聞が8月の5、6日に掲載した慰安婦問題の特集記事をきっかけに、ドタバタが続いている。
週刊文春の広告掲載を断ったり、朝日の慰安婦問題への対応を批判した池上彰さんの「新聞ななめ読み」の掲載をいったん見合わせたと思ったら、読者や自社の記者らの批判を受けてお詫びと共に掲載してみたり。
これに対する読売のエゲツナイ動きには関心させられる。
8月31日(日)の夜遅く、読売新聞の勧誘が来たかと思ったら、今朝(9月5日)は、「慰安婦報道検証 読売新聞はどう伝えたか」という大見出しのついたチラシと一緒に、読売の朝刊が入っていたのだ。
朝日が大きな失態をさらしているうちに、拡販しようということなのであろう。
ただでさえ若者の新聞離れが続いているところに、気に入らない広告やコラムは掲載しないという今回の朝日の信じられない対応は、中高年の読者層の離反も加速させるのではないだろうか。
来年10月の8%から10%への消費税の再引き上げが朝日に限らず、新聞業界全体にとどめを刺すのか――。
まずは、現状認識。
日本新聞協会のホームページに「新聞の発行部数と世帯数の推移」の数値データが掲載されているのでグラフ化してみよう。
新聞の発行部数の推移

新聞の発行部数は、2004年(4,746万部)から2013年(4,312万部)、この9年間で約430万部、1割近く減少していることが分かる。
朝日が読売や日経の草刈り場となるのか、あるいは新聞そのものの読者離れを起こすのか。
将来比較できるよう、読売新聞広告ガイドに掲載されている「都道府県別上位3紙(朝刊販売部数・世帯普及率)」データを用いて、現状を地図化(可視化)しておこう。
なお、同データに掲載されていない一部の朝日のデータは、朝日新聞社広告局ウェブサイトの「朝日新聞の基本データ」を用いた。
読売新聞の都道府県別の世帯普及率
読売新聞の世帯普及率(世帯数に対する販売部数の割合)が20%を超えているのは次の14都府県。- 1位:茨城県(36.77 %)
- 2位:埼玉県(35.04 %)
- 3位:千葉県(32.73 %)
- 4位:群馬県(30.99 %)
- 5位:山口県(28.23 %)
- 6位:和歌山県(27.27 %)
- 7位:神奈川県(26.13 %)
- 8位:滋賀県(25.49 %)
- 9位:栃木県(24.37 %)
- 10位:奈良県(23.12 %)
- 11位:大阪府(22.14 %)
- 12位:兵庫県(22.10 %)
- 13位:富山県(20.69 %)
- 14位:東京都(20.40 %)
地図化するとこんな感じ。
読売新聞は、首都圏と関西に強いことが分かる。
朝日新聞の都道府県別の世帯普及率
一方、朝日新聞の世帯普及率が20%を超えているのは次の5県。地図化するとこんな感じ。
読売に比べて、圧倒的に少ないことが分かる。
読売vs朝日(都道府県別の世帯普及率の比較)
読売vs朝日の世帯普及率の状況をさらに分かりやすくするために、「朝日の世帯普及率」に対する「読売の世帯普及率」の割合(「朝日倍率」と呼ぶことにする)を計算してみた。朝日倍率が2.0を超える、すなわち読売が強いのは次の4県。
富山県の朝日倍率は9.07、読売が圧倒的に強い。
逆に、朝日倍率が1.0を下回る、すなわち朝日が強いのは、次の11県。
中部あたりが朝日が強い――というよりも中日新聞の影響が大きいといったところか。
地図化するとこんな感じだ。
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