不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

首都圏を中心に、マンション選びのためのお役立ち情報を提供しています


首都圏の投資用マンションと分譲マンションのトレンドを可視化


年に数回、マンション投資の電話がかかってくる。
「マンションの投資をしてみませんか」という棒読み口調の電話だ。
そんなときは「お手数をお掛けして恐縮ですが、この電話番号を個人情報リストから削除しておいてください」と返答し、10秒以内で電話のやり取りを終わらせることにしている。


気が弱く、断りにくい人は「将来にわたって、御社からの勧誘はお断りします」と一方的に言い放って、電話を切ればいい。
2011年10月1日に施行された宅建業法の改正施行規則によって、マンション勧誘の「深夜勧誘」「再勧誘」などが禁止されることとなったからだ。
詳しくは、マンションの勧誘電話に悩まされないための決めゼリフ参照。


そもそも、一般の人がマンション投資で儲かるなどという話は論理的にあり得ない。儲かるような投資物件を見ず知らずの相手に紹介する訳がないからだ。
マンション投資で儲かるといった類の話はネットに溢れているが、マンション投資に失敗したという話は少ない。自分の非を世の中にさらす人は少ないからであろう。
ネットでググってみると、サラリーマン大家さんで地獄の日々(僕と投資と樹海の日々)マンション投資で借金漬け(現代ビジネス [講談社])が引っかかった。他山の石にどうぞ!


それでもマンション投資が気になる人は、橘玲の新書「臆病者のための億万長者入門」の第5章「『マイホーム』という不動産投資」頁197を読むといい。

不動産市場では情報の分布はインサイダーとアウトサイダーに二極化している。
インサイダーが鼻もひっかけない物件だけがアウトサイダー、すなわち一般顧客に回されるのだ。
こうした市場の構造から、素人が「掘り出し物」の物件を見つけるのは原理的に不可能だとわかる。
自分が有利な取引をしたと思っても、それはただの勘違いだ。
臆病者のための億万長者入門 (文春新書)

さて、ここで投資用マンションの実態を整理しておこう。
不動産経済研究所が8月6日に発表した「2014年上期及び2013年の首都圏の投資用マンション市場動向」をひも解いてみる。

2008年以降は地価の高騰リーマンショック等により事業者の倒産・撤退が相次ぎ、供給戸数は3年連続で大幅に減少した。
その後の供給戸数は、2011年に4年ぶりに増加に転じて5,000戸台に回復、2012年は続伸して6,000戸を突破したものの、2013年には再び5,000戸台に落ち込んでいる。
2013年発売の投資用マンションの平均価格は2,538万円、m2単価は98.4万円で、前年の2,382万円、96.8万円に比べ、戸当たりは156万円(6.5%)、m2単価も1.6万円(1.7%)、いずれも上昇している。

今回の発表データだけでは、全体像がつかみにくいので、同研究所が定期的に発表している数値データと合わせて、首都圏の投資用マンションと分譲マンションのトレンドを可視化(グラフ化)してみた。


投資用・一般分譲マンションの単価推移
首都圏の投資用マンションと一般マンションの単価推移を次図に示す。
投資用・一般分譲マンションの単価推移
23区の一般分譲マンションがm2当たり80万円台なのに対して、投資用マンションはm2当たり100万円前後。投資用マンションのほうが高いのだ。


投資用・一般分譲マンションの面積推移
投資用・一般分譲マンションの面積推移
平均専有面積は、一般の分譲マンションが70m2程度なのに対して、投資用マンションは25m2程度、ワンルームタイプが多いことが推察される。


「平均専有面積」と「平均単価」の推移(一般分譲マンション)
面積と単価の推移(一般分譲マンション)
一般分譲マンションの「平均専有面積」と「平均単価」の推移をみてみると、首都圏、23区ともに、毎年、専有面積を小さくしながら分譲単価を抑えていたのが、2012年からは分譲単価が上昇していることが分かる。


「平均専有面積」と「平均単価」の推移(投資用マンション)
面積と単価の推移(首都圏投資用マンション)
投資用マンションは、一般分譲マンションとは逆に、分譲単価を抑えながら、専有面積を増やしている。また、2014年上期で高騰しているのが特徴だ。
投資用マンションを購入する人は、購買能力が高いので、高値でもまだ需要があるということなのであろう。
同研究所は「用地費の高騰、建築コストのアップなどによって低価格帯の住戸の供給が減少することになれば、購入層の一部が市場から撤退することで需要が落ち込み、供給が減少する可能性もある」としている。

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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