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山梨県・長野県、空き家率が高い意外な理由

総務省は7月29日、「平成25年 住宅・土地統計調査 速報集計結果」を公表。
昨日のブログ「空き家率」が上昇している状況を可視化(地図化)してみたで「空き家率は山梨県が22%でダントツの1位」と書いたら、「別荘が多いからではないでしょうか?」というコメントを頂戴した。
そこで、今回発表されたデータのうち、「空き家」データについて、もう少し詳しく見てみよう。


「空き家」の定義

まずは、「空き家」の定義の確認。
住宅・土地統計調査の「用語の解説」によれば、「空き家」は次の4つに分類されていることが分かる。

  • 二次的住宅
    • 別荘:週末や休暇時に避暑・避寒・保養などの目的で使用される住宅で、ふだんは人が住んでいない住宅
    • その他:ふだん住んでいる住宅とは別に、残業で遅くなったときに寝泊まりするなど、たまに寝泊まりしている人がいる住宅
  • 賃貸用の住宅:新築・中古を問わず、賃貸のために空き家になっている住宅
  • 売却用の住宅:新築・中古を問わず、売却のために空き家になっている住宅
  • その他の住宅:上記以外の人が住んでいない住宅で、例えば、転勤・入院などのため居住世帯が長期にわたって不在の住宅や建て替えなどのために取り壊すことになっている住宅など

なお、「空き家」は、「平成25年10月1日午前零時現在」の状態とされている。


さて、「空き家」のなかに、「別荘」や「賃貸用の住宅」「売却用の住宅」などが含まれていることが確認できたので、まず都道府県別の内訳を可視化してみよう。


都道府県別の「空き家」の内訳

「空き家率」の内訳3
※画像をクリックすると拡大表示される。
空き家の割合(以下、「空き家率」)は、4種類のなかでも「その他の住宅」と「賃貸用の住宅」の空き家率が高いことが分かる。
都道府県平均でそれぞれ、46%と45%。
「その他の住宅」は、「例えば、転勤・入院などのため居住世帯が長期にわたって不在の住宅や建て替えなどのために取り壊すことになっている住宅など」と定義されているから、高齢化による空き家率の増加はこの項目に表れている。
「賃貸用の住宅」の空き家率が高いことは、大家さんにとっては深刻な問題だが、ここでは論じない。


「売却用の住宅」の割合は意外と小さい(都道府県平均3%)。
新築・中古を問わず、すぐに売れてしまうというよりも、多少安くても売ってしまうということなのだろう。


長野県や山梨県の「別荘」の空き家率が高いことが分かる。


次に、空き家率の高い「その他の住宅」「賃貸用の住宅」「別荘」の都道府県のランキングをみてみよう。

都道府県のランキング

「その他の住宅」のランキング
「その他の住宅」の空き家率が55%を超えるのは次の9県。
島根県と鹿児島県がダントツで65%。

  • 1位:島根県(65%)
  • 2位:鹿児島県(65%)
  • 3位:宮崎県(59%)
  • 4位:秋田県(59%)
  • 5位:高知県(59%)
  • 6位:鳥取県(58%)
  • 7位:和歌山県(56%)
  • 8位:徳島県(56%)
  • 9位:香川県(56%)



「賃貸用の住宅」のランキング
「賃貸用の住宅」の空き家率が50%を超えるのは次の12都道府県。
大都市で賃貸用住宅の空き家率が高いのは、想定範囲内だが、北海道(58%)や沖縄県(54%)、静岡県(51%)といった地方でも空き家率が高いのは意外だ。いずれも供給過多なのだろうが――。

  • 1位:東京都(73%)
  • 2位:愛知県(63%)
  • 3位:神奈川県(63%)
  • 4位:大阪府(62%)
  • 5位:埼玉県(59%)
  • 6位:北海道(58%)
  • 7位:福岡県(57%)
  • 8位:茨城県(56%)
  • 9位:沖縄県(54%)
  • 10位:千葉県(53%)
  • 11位:栃木県(53%)
  • 12位:静岡県(51%)



「別荘」のランキング
「別荘」の空き家率が10%以上なのは次の4県。
各県の主な別荘地としては、軽井沢(長野県)、清里・山中湖周辺(山梨県)、熱海・伊東(静岡県)、草津温泉(群馬県)といったところだろうか。

  • 1位:長野県(24%)
  • 2位:山梨県(19%)
  • 3位:静岡県(14%)
  • 4位:群馬県(10%)

冒頭の山梨県の空き家率が高いのは「別荘が多いからではないでしょうか?」という読者のコメントに対しては――
長野県と山梨県には「別荘(週末や休暇時に避暑・避寒・保養などの目的で使用される住宅で、ふだんは人が住んでいない住宅)」の割合が高いので、結果的に空き家率の高い県としてランキングされていた、というのが答えだ。

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