衆議院選挙は予想された通り、自民の圧勝。
自民党が自民党政策サイトで掲げていた公約のうち、「躍動感ある経済の実現」に向けて、次の住宅政策が進められることになる。
- 大幅に拡充した住宅ローン減税と減税の効果が限定的な所得層に対するすまい給付金の給付措置を引き続き講じます。
- 住宅金融支援機構の金利引下げや住宅に関するエコポイント制度の創設等により、良質な住宅取得や住宅投資の活性化を図ります。
居住環境を整備するための「住宅金融」というよりも、建設を促進したいがための「建設金融」政策が継続される。
しかも、この建設金融は、庶民にリコース型(借主責任遡及型)の借金を背負わせることが前提のシステム。
米国などの先進国で採用されている、借金が返済できなくなったときに担保を差し出せば借金は消えるノンリコース型(借主責任限定型)と異なり、リコース型(借主責任遡及型)は地獄の底まで追われるローン。
先進国標準のノンリコース型(借主責任限定型)が日本に定着していないことについて、山岡 淳一郎著「狙われるマンション 」(絶版)の「戦後を引きずる『建設金融』」頁121~に詳述されている。
GHQは、金融公社は「米国連邦住宅庁(FHA)」の民間融資にならってノンリコースで行なうよう提案している。
金融公社は後ろに控えて保証をつけ、融資は民間銀行が行なう、というものだ。大恐慌以降、着々と整えてきたノンリコースの成果を日本にも植えつけようとした。
ところが、敗戦国の日本では、銀行自身にも資金が不足し、個人の資金は「タンス預金」で眠っていた。
当時の建設省の課長として公庫法案の作成に携わった前田光嘉は、住宅金融公庫を作った「真意」を次のように語っている。
政府の金を出すことによって、そのダンス預金を誘い出すという気持ちがあったんです。政府が75%出せば、25%はじぶんの金を出す。
そうすると個人と政府の両方の金によって家ができるので、このシステムをつくり上げることで頭がいっぱいで、アメリカのことをまねしようという意識まではいっていませんでしたね。
400万戸以上も住宅が不足していた戦後の復興期におけるこのような「建設金融」は仕方がなかったとしても、住宅が過剰に供給されている(マスコミが伝えない、新築マンションの過剰供給問題)現在においても改められていないのは問題であろう。
(本日、マンション広告なし)