個人情報をゲットして、営業をかける。
最近のマンションチラシで”観測”された、個人情報をゲットするためのアノ手コノ手を紹介しよう。
- 最もオーソドックスなクオカード・プレゼント作戦
- 「スイーツ券」のプレゼントキャンペーン
- 「豪華プレゼント」キャンペーン
- 街並み写真コンテスト
- 3Dプリンターを用いた販促ワザ
最もオーソドックスなクオカード・プレゼント作戦
まずは最もオーソドックスなクオカード・プレゼント作戦から。
ご体感後、アンケートにお答えいただいた方に、QUOカード最大3,000円分プレゼント!!
「最大」って、どういう意味か? 300円分のQUOカード(クオカード)しかもらえない場合があるのか?
ゴマ粒よりも小さい(ゴマ粒の半分くらいの)文字で記された、次の注釈にヒントがある。
- プレゼントの進呈は、はじめてマンションギャラリーにお越し頂き、アンケートに全てお答えいただいた方で、成人の方1名様(1世帯)1回に限らせていただきます。
- ご家族皆様でお越し頂いた場合、最大3,000円分のQUOカードをプレゼントいたします。
- 学生の方は、対象外とさせていただきます。また、以前当物件のアンケートにお答えいただいた方は対象外とさせていただきます。
- 他の商品やキャンペーンとの併用はできません。予めご了承ください。
- プレゼントは後日発送となる場合がございます。
- 当社の判断によりお断りさせていただくことがございます。
高々3,000円分のQUOカードのプレゼント・ルールにしては、いやに細かい。 これらのルールをひも解いてみよう。
「成人の方1名様(1世帯)1回」限り、「学生の方は、対象外」だから、中高生はもちろん大学生が小遣い稼ぎにマンションギャラリーに行っても、アンケートを受け付けてもらえない。
では、勤労学生は対象外なのか?
そもそも、学生か非学生か、どのようにして見分けるのか?
高校を卒業して間もない20歳未満のサラリーマンは、成人でないので対象外なのか?
フリーターは対象外なのか・・・・・・といったように、QUOカード受給資格(そんな、たいそうなものか)の判定ルールが明確ではない、と思いきや――
「当社の判断によりお断り」という、有無を言わせない一方的なルールが規定されている!
「ご家族皆様でお越し頂いた場合、最大3,000円分」と記されているので、子供連れの夫婦3人で行けば、3,000円分のQUOカードがもらえそうだ。
とすれば、DINKSは2,000円分、独身者は1,000円分のQUOカードということか――婚約中のカップルは、独身者(1世帯)×2名なので、それぞれ1,000円分のQUOカードがもらえるということなのか。
アンケートを書くだけで、一人当たり1,000円分のQUOカードをもらえるなら、アンケートに答えてもいいと考える人は多いかもしれない。
でも、「1,000円分のクオカードと引き換えに、自分の個人情報を売りますか?」という質問を投げかけると、多くの人は「自分の個人情報はそんなに安くない!」と憤慨されるのではないだろうか。
「スイーツ券」のプレゼントキャンペーン
オーソックスな「クオカード」や「JCBギフトカード」といった金券ではなく、「スイーツ券」という変化ワザもある。
スイーツ券プレゼントキャンペーン!
ご来場の際、“このチラシを見た”とお伝えください!
○○(=地域名)の「有名スイーツ店」3店舗いずれかのチケット1,000円分をプレゼント!
- 有効期限2013年8月上旬
- ご来場の上、アンケートにご記入いただいた方に差し上げます。
- 1家族1回のみとさせていただきます。
なぜ「プレゼントキャンペーン」でスイーツ券が用いられているのか? 考えられる理由は、二つ。
ひとつは、甘いもの好きな女性をモデルルームに誘い込もうという作戦。たしかに、実質的にマンション購入の決定権を握っているのは女性、といったアンケート結果もある。
でも、金券であれば、スイーツも買うことができるので、こちらが主たる理由とはならないだろう。
二つ目に考えられる理由は、売主のケチケチ作戦(販促経費の節約作戦)。
売主は1,000円のスイーツ券代を100%負担しているのではなく、一部しか負担していない(ひょっとすると全く負担していない)ということだ。顧客拡大のための宣伝費として、スイーツ店がスイーツ券代を負担している可能性が考えられる。
スイーツ券であれば、売主が経費を掛けずに女性客を呼び込めるという目論見だ。
「豪華プレゼント」キャンペーン
「豪華プレゼント・キャンペーン」というのもよく見かける。
残すところ10戸(=最終期3戸+先着順70戸)、「新生活応援キャンペーン」として、モデルルームに来場してアンケートを記入した人を対象に、「豪華賞品プレゼント」が抽選で「全員」に当たるというような事例。
「豪華賞品プレゼント」の価格をアマゾンで調べてみると、1等から5等までの総額が435,746円。6等のJCBギフトカード1,000円は何人に配布されるか分からないが、総額としては50万円といったところだろうか。
- 1等:シャープ 液晶テレビAQUOS LC-40J9B【\74,798】×1名=\74,798
- 2等:ダイソン ホットアンドクール ファンヒーター AM05【\58,500】×3名=\175,500
- 3等:シャープ ヘルシオジュースプレッソ EJ-CP10B-R【\19,316】×3名=\57,948
- 4等:ドール ヨナナスメーカー901RJ【\5,500】×5名=\27,500
- 5等:JCBギフトカード10,000円分10名=\100,000
- 6等:JCBギフトカード1,000円分<全員>
売れ残り住戸10戸に掛けた販促費50万円。
でも、抽選が公正に行われるかどうかは不明だし(少なくとも公開で抽選が行われるとは書かれていない)、そもそも1等から5等まで、全ての商品が発送されるのかも確認のしようがない。
もっと手の込んだ販促ワザもある。
街並み写真コンテスト
7/5(土)〜8/31(日) DISCOVERY ○○○(=地名)コンテスト
○○○の隠れた魅力をレポートして、ステキな賞品をゲットしよう!
- 金賞/旅行券5万円分<1組>
- 銀賞/旅行券3万円分<3組>
- 銅賞/某有名テーマパークペアチケット<3組>
具体的な参加方法は次の通りだ。
(1)□□(=物件名)ゲストサロンに行こう!
- 受付にてエントリー。「ディスカバリーシート」を入手して○○○(=地名)の街へ。
(2)○○○の街を歩いて、素敵なスポットを見つけよう!
- ポラロイドカメラでお気に入りの場所を撮影しよう。
(3)お気に入りの写真を投稿しよう!
- ゲストサロンに受付にて承ります。「ディスカバリーシート」と引き換えにクオカード1000円分プレゼント。
ゲストサロンで受付をして(個人情報を記入して)、貸し出されたポラロイドカメラで周辺の街の風景写真を撮って、ゲストサロンに戻す。
「ひょっとしたら金賞(旅行券5万円分)が当たるかもしれないし、1000円分のクオカードは必ずもらえるから、子供を連れてゲストサロンに行ってみようか」と思われた方はいるだろうか。
次の記載もあることに要注意だ。
(4)受賞者の発表を見よう!(9月中旬頃)
- ディスカバリー○○○コンテスト事務局が選んだ金賞・銀賞・銅賞をHPにて発表。
受賞者は事務局が選ぶことになっている。だから、契約の可能性の低い人は選ばれないと考えるのが自然だろう。
たった1000円分のクオカードと引き換えに、街並みの写真撮影に駆り出されただけでなく(ずいぶんと安いバイト代だ!)、あなたの大切な家族の個人情報を売り渡したということになる。
売主にとって、街並み写真コンテストは、一粒で二度おいしい販促ワザだ。
早くも3Dプリンター技術を取り込んだ販促ワザも出てきた。
3Dプリンターを用いた販促ワザ
ご来場キャンペーン
- 3Dプリンターで 自分そっくりの フィギギュアをつくろう!
- 抽選で40名様
チラシには、営業マンと思しき「完成フィギュア」の写真が2枚掲載されている。
- 友の会会員の方、及びマンションギャラリーにご来場の上アンケートにご記入いただき友の会に入会された方が対象となります。
- 1世帯2名様(1名につき1体)の申込みが可能です。
抽選でフィギギュアをもらうためには、友の会に入会しなければならないのだ(個人情報を差し出さなければならない)。
「抽選だけど、フィギュア欲しいから、マンションギャラリーに出かけてみるか」と思った方、続きはまだある。
- 申込期間:7/12(土)〜8/17(日)
- 申込場所:マンションギャラリー
- 抽選日:8/18(月)
- 当選者撮影日:8/30(土)31(日)
- お渡し日:9/12(土)〜9/15(祝日)
仮に当選したとしても、フィギュアを手に入れるためには、マンションギャラリーに最低3回(申込・撮影・お渡し)足を運ばなければならないのだ。
このマンションを買おうと決めている人は問題ないが、このマンションを買うかどうか迷っている人にとっては、営業マンのセールストークに3回もさらされる機会を相手に与えてしまうことになる。販売サイドにとっては、何ともうまい方法だ。
フィギュアを手に入れるために、住所・氏名・年齢といった一般的な個人情報だけでなく、容姿・身体といった画像データまで差し出してしまっていることに要留意。ベネッセの個人情報流失問題の例をあげるまでもなく、あなたの子供やあなた自身の容姿・身体画像が流失する可能性はゼロではない。
(本日、マンション広告なし)