物件概要
【予告広告】大手町駅直通16分、駅徒歩16分。総戸数23戸+25戸、2棟(9階建て+10階建)。販売戸数/未定、3LDK(60.88m2)~4LDK(83.10m2)。販売価格/未定。平成27年1月下旬竣工(本チラシ掲載日の3カ月後)。
B4サイズのチラシ裏面に、切取り線付きのアンケートハガキが付いている。
よく見ると妙な項目があることに気づく。
「ご購読新聞形態」の2択として、「紙面版」「Web版」。
そんなことを訊いてどうする。
Web版を購入している人は情報リテラシーが高いから、それなりの営業攻勢の仕方があるとでもいうのだろうか。
「ご購読新聞」の選択肢として、朝日/読売/日経/毎日/未購読/その他、の順に並んでいる。
イロハ順でもないし、発行部数順でもない。インテリ層向け順にしては、日経の前に読売が表示されているのでそうでもなさそうだ。
いったいなんの順番なんだ?
読売の読者はインテリでないような表現をしてしまって、気分を害した人がいるかもしれない。
朝日はインテリ向け、読売は大衆向け。これは筆者の意見というよりも、新聞各社の資料から読み取れることだ。
具体的に確認してみよう。
朝日新聞のアピールポイント
朝日新聞の総合媒体資料『朝日新聞 MEDIA DATA 2014』の頁13に「朝日新聞購読者の特徴」として次のように記されている。
朝日新聞購読者は、他新聞購読者と比べて「給料事務・研究職」「大学・大学院卒」の読者が多いほか、平均世帯年収が高いことが特徴です。
よくよく考えてみると、ずいぶんとエゲツナイ表現だ。
ホワイトカラーでない人や年収の低い人が見たらどう思うのか、という配慮が感じられない。
読売新聞のアピールポイント
J-READ2013で見る 読売新聞の読者像の3枚めに「読売新聞は多様な人に読まれています」と題して、「専門職・自由業の人への到達率」や「個人年収1500万円以上の人への到達率」が朝日や日経よりも高いことをアピールしている。
朝日が掲げている「給料事務・研究職」や「平均世帯年収」とは微妙に異なる指標でアピールしているのがなんともおかしい。
日経新聞のアピールポイント
日経は日本経済新聞 媒体資料2014のなかで、朝日とも読売とも違う切り口――「金融資産1,000万円以上の世帯が過半数」をアピール。
毎日新聞のアピールポイント
毎日新聞読者データに掲載されているのは、「環境保護を実践する」とか「新聞を生活に役立てている」「余暇にお金をかける」など、もはや他の3紙とは全く異なる土俵で勝負している(他の3紙と同じ土俵では戦えない苦肉の策であろう)。
経済指標として「世帯内での金融資産額平均(20歳以上)」の高い読者層が多いことをアピールしているのだが、比較の対象は読売と朝日だけ、日経のデータは掲載されていない。
各社とも自社に有利な指標を持ち出してのPR。
参照した資料は各社の媒体資料だから、そもそもが広告主に向けたPR。
当社はこのような読者層を多く抱えていますよ、ということを広告主に伝えるのが目的のデータが掲載されている資料だ。
新聞各社を客観的に横並びで比較できるデータは、日本ABC協会か日本新聞協会に期待することとしたい。
(本日、マンション広告2枚)