不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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タワーマンションのスラム化対策、あなたが総理大臣ならどうする

2020年の東京オリンピックの開催決定で、東京湾岸エリアにある高層マンションの人気が高まっているというマスコミのニュース(たとえば9月19日のNHKニュースウオッチ9)。


盛り上がる一方で、「湾岸マンション値上がりへ、2割上昇も−持続性は疑問」という冷めた声も。

値上がりは2年止まりか
(前略)
もっとも三友システムアプレイザルの井上氏は、湾岸エリアのマンション価格上昇について、7年後の「五輪開催まで値上がりが続くことはない。値上がりは2年間程度にとどまり、その後は弱含む」と述べ、長続きしないとの見方を示す。
1964年の東京五輪開催時には、建設ラッシュと人口増から不動産価格が急上昇したが、約50年が経過しバブル崩壊も経験した現在の日本は、少子高齢化に直面。井上氏は五輪を誘致しても、不動産の持続的な価格上昇は期待できないという。


みずほ証券の石沢卓志チーフ不動産アナリストは、埋め立て地の湾岸エリアは東日本大震災以降、マンションの値段が下がったため「今後の値上がり率は高くなるだろう」としたうえで、「価格が青天井に上がるということではない」との見方を示した。
(9月10日ブルームバーグ記事)

「2年止まり」とか、東京オリンピックが開催される2020年までの7年間とか、ずいぶんと目先の議論が喧しい昨今だが、40年後、50年後の状況も議論してほしいものだ。
すなわち、少子高齢化に加え、過剰に供給されている現在の(超高層)マンションの老朽化問題。

  • 少子高齢化によるマンション需要の縮小で空き住戸が増加する。
  • 空き住戸の増加と共に、住民の高齢化や賃貸化が進み、大規模なだけに合意形成が困難で、管理組合が機能不全になる。
  • 管理組合が機能不全になると、適切な維持管理ができなくなるので、経済的に余裕のある人は二束三文で住戸を売却して出ていく。そしてマンションのスラム化が進む。
  • 二束三文でマンションを手に入れた住民と、脱出しそびれた住民には、もはやマンションを再生する力はない。
  • 物理的な耐用年数が経過したマンションを住民だけの力で、再生できないことはもちろん、撤去・更地にすることさえできない。
  • 倒壊の危険があっても、住民に代わって、朽ち果てていくマンションを撤去・更地にする財政的な余裕は自治体にはないであろう。



安倍政権の規制改革会議が、老朽化したマンションの建て替えを促すための施策を検討しているようであるが、はたしてどの程度の効果があるのか――。
将来必ず直面するマンションの再生や建替といった、「(超高層)マンションの老朽化問題」に関して、自分の問題として認識のないままに、超高層マンションの購入に走る。
デベロッパーもまた、同問題を先送りしたまま(あるいは認識せずに)、大規模な超高層マンションの開発・販売に走る。
行政サイドには、将来を見据えた対策を期待したい。


ソーシャル思考実験サイトSENSEに「タワーマンションのスラム化対策(あなたが総理大臣ならば、今からどのような対策を講じますか?)」をアップしておいた。
タワーマンションのスラム化対策(あえて大まじめに考える。ソーシャ

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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