不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

首都圏を中心に、マンション選びのためのお役立ち情報を提供しています


間取り図・案内図は、チラシへの掲載が義務付られていない

事務所ビルの跡地に建つ中規模マンション。

【予告広告】大手町駅直通7分、駅徒歩15分。総戸数48戸、13階建。販売戸数/未定、3LDK(63.86m2〜98.35m2)。販売価格/未定。平成26年6月中旬竣工(本チラシ掲載日の1年3カ月後)。

B4判のウグイス色を基調としたオモテ面。
外観CGもなければ、イラストもない。文字だけが並ぶ。

豊かな水と緑を抱く、四季の住まい誕生。

  • 住まいの周辺には東京ドーム約5個分の広大な敷地を誇る、自然あふれる木場公園。
  • 緑豊かなアプローチが導くのは、住まう方の自由度を深める潤いのある暮らし。
  • 寛ぎに満たされた全戸南向きのレジデンス○○(=物件名)が誕生します。

チラシ裏面に目をやると、周辺利便施設の写真や案内図、路線図やキリトリセン付きのアンケートハガキは掲載されているが、肝心の間取り図がない。


なぜ、折り込みチラシに間取り図が掲載されていないのか?
業界の自主ルール「不動産の表示に関する公正競争規約」が、間取り図の掲載を義務付けていないからだ。


新築分譲マンションの折込みチラシに掲載しなければならない事項は、同規約施行規則「別表6 新築分譲マンション」に規定されている。
同表を見て、すぐに気づくのは、「パンフレット等」の欄の「建物の配置図及び方位」には「○」印があるのに、「新聞折込みチラシ等」の欄には「○」印がないこと。
折込みチラシには、マンションの配置図の掲載義務がないのだ!


また、よく読まないと気が付きにくいのが次の表現。

  • 23:建物の建築年月(建築工事が完了していない場合は、入居予定年月)

つまり、竣工していない物件であれば、竣工年月の表示義務がないのだ。
でも、これって、アメリカの外圧によって、製造年月日表示義務(≒竣工年月)がなくなり、「賞味期限」や「消費期限」といった期限表示(≒入居予定年月)だけが義務付けられた食品業界とどこか似ていないか(食品や飲料の日付表示に関する法令改正/平成7年4月1日施行)。


では、配置図や竣工年月のほかに、折り込みチラシに掲載義務がない事項はあるのか?
別表6をいくら眺めていても分からない。
そもそも掲載義務ありなしの選択肢として掲げられていないからだ。
購入者にとって有用な情報であるにも係らず、掲載義務のない事項を以下に列挙しておこう。


間取り図
意外と思われるかもしれないが、「パンフレット」も「折り込みチラシ」も、間取り図を掲載することは義務付けられていない。
さすがに、間取り図が掲載されていないパンフレットというのはないだろうが、間取り図が掲載されていない折込みチラシはよく見かかる。
間取り図がないチラシなんて、価格表が掲載されていない新装開店レストランのチラシのようだ。なんもと判断のしようがないので、遠慮したい。


案内図
マンションを選ぶときには、買い物のできる店との距離、最寄りの公共施設の有無といった利便性に係わる情報や交通騒音・鉄道騒音の有無や公園緑地の多さといった周辺環境に係わる情報などが必要だ。
消費者は、住むための器としてのマンションを買うと同時に、利便性や周辺環境も含めた居住環境を買っているのだ。


天井高・階高
分譲価格と関連性が高い専有面積に関心を示す人は多いが、天井高さ(または階高)に関心を持つ人はそれほど多くない。
平面的な広がりだけでなく、高い天井といった3次元的な広がりがあって、はじめて室内の広さを実感することができる。
高い天井(高い階高)を確保するには、太い柱や梁が必要であることから、専有面積と同様に分譲価格に影響する。分譲価格に敏感に反応する人は、専有面積だけでなく、天井高さ(または階高)についてもっと関心を持ってよい。


完成予想図
建築に明るくない人が、平面図や断面図をみて、建物の全体像をイメージするのは難しい。
建物全体を理解するうえで、完成予想図は欠かせない。


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2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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