不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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この10年の首都圏の超高層マンション供給動向を読み解く

不動産経済研究所が7月26日、「2002年〜2011年の首都圏超高層マンション供給動向」を発表。

  • 10年間の供給合計は9万7,752戸。最多供給は2005年の1万5,390戸に。
  • 総供給戸数(64万5,903戸)に占める超高層マンションは15.1%。
  • 都区部5万8,559戸、都下3,566戸、神奈川2万23戸、埼玉6,741戸、千葉8,863戸。
  • 地区別シェアは都区部59.9%、都下3.6%、神奈川20.5%、埼玉6.9%、千葉9.1%。
  • 初月契約率は全エリアで80%台と高水準。都区部は87.6%、全体でも87.0%に。
  • 平均価格は5,430万円、m2単価は70.7万円、専有面積は76.81m2。

解説記事と次の3つの数値データが表形式で掲載されている。

  • 超高層マンションの年次別発売戸数・初月契約率<首都圏>
  • 超高層マンションの年次別平均価格・専有面積<首都圏>
  • 首都圏の地区別供給ランキング(2002年〜2011年、上位20地区)



表形式の数値データでは、直感的な理解がしにくい。
以下に、見える化(グラフ化)しながら、この10年間の首都圏の超高層マンションの供給動向を読み解いてみよう。


超高層マンションの発売戸数・シェアの推移(首都圏)
超高層マンションの発売戸数・シェア推移(首都圏)
超高層マンションの発売戸数は、05年の15,390戸をピークに漸減し、ここ数年は6,000戸前後、ピーク時の4割まで減少している。
また、超高層マンションのシェアのほうは、06年の19.3%をピークに減少傾向にあり、11年は13.7%まで減少している。


超高層マンションの発売戸数の推移(都3県)
超高層マンションの発売戸数の推移(都3県)
都3県の発売戸数を見ると、特に23区においては07年以降、大きく減少していることが分かる。


首都圏の超高層マンションのm2単価の推移
不動産経済研究所の発表資料には、「平均価格(万円)」と「平均専有面積(m2)」の推移データは掲載されているものの、「平均単価(万円/m2)」の推移データは掲載されていない。
購入者としてはマンションの広さ(専有面積)と分譲価格に目が行きがちだが、質を見極めるにはm2当たりの単価に注目する必要がある。


ということで、「平均価格(万円)」を「平均専有面積(m2)」で割った値、すなわち「平均単価(万円/m2)」の推移をグラフ化してみた。
都圏の超高層マンションのm2単価の推移
首都圏の超高層マンションのm2単価は、05年から08年にかけて上昇し、ここ数年は85万円/m2前後の水準で高止まりしていることがお分かりだろうか。


「平均価格(万円)」と「平均専有面積(m2)」の関係をもう少し詳しく可視化したのが次のグラフ。
首都圏の超高層マンション「平均価格」と「平均専有面積」の推移
02年から08年にかけて、平均専有面積が抑えられながら、平均価格が上昇している様子が見て取れる。
特に、リーマンショック後の09年以降は、さらに平均専有面積が抑えられることで平均価格6千万円前後の水準が維持されている。


超高層マンションの地区別供給戸数・m2単価のランキング(首都圏、02年〜11年)
超高層マンションの地区別供給戸数ランキングデータを可視化すると次図のようになる。
超高層マンションの地区別供給戸数ランキング(首都圏、02年〜11年)
この10年の超高層マンションの供給戸数の累計は、江東区(15,378戸)と港区(13,672戸)がダントツ。
さらに、戸数ではなく、m2単価のランキングを可視化すると次図のようになる。
超高層マンションの地区別m2単価ランキング(首都圏、02年〜11年)
供給戸数ランキング・ダントツの江東区の超高層マンションは、m2単価では、千葉県市川市の11位(66.9万円/m2)に次ぐ12位(66.1 万円/m2)。
安い価格で湾岸エリアの超高層マンションブームが牽引されてきた一端がうかがえる。

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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