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昨日の、湾岸エリアに建つ超高層マンションのチラシに、「防災倉庫」の設置が謳われていた。
地下2階、1階、9階、16階、24階、31階、39階、45階、52階と、9カ所も設置されるのだ。
「上下移動を極力減らすことで、避難生活の負担を減らす」ことが謳われているのだが――
大震災時に上下水道が使えなくなると、たとえ途中の階に防災倉庫があっても、超高層マンション内での避難生活が困難なことは、3.11で液状化被害を受けた浦安エリアの一部のマンションで実証済みだ。
ところで、この途中階に設置される「防災倉庫」。
デベロッパーが自主的に計画しているわけではない。
江東区では2010年8月に、マンション等の建設に関する条例、同規則の一部が改正され、防災倉庫の設置が義務付けられているのだ(20戸未満のマンションについては努力義務)。
具体的な条文は次の通り。
江東区マンション等の建設に関する条例(平成19年12月13日 条例第45号(平成22年8月1日施行))
第17条(災害対策用施設の設置)
- 事業者は、マンション等を建設しようとするときは、規則で定める災害対策用施設を設置するものとする。
江東区マンション等の建設に関する条例施行規則(平成19年12月13日 規則第86号(平成22年8月1日施行))
第13条(災害対策用施設)
- 条例第17条の規則で定める災害対策用施設は、災害用格納庫とする。
- 2 前項に規定する災害用格納庫は、次の各号に掲げるマンション又はワンルームマンションに応じ、当該各号に掲げる床面積及び高さを、当該マンション若しくはワンルームマンション又はその敷地内の地上部分に設置するものとする。
- (1) 世帯用住戸の数が20戸以上40戸未満のマンション又は住戸の数が20戸以上80戸未満のワンルームマンション 床面積3平方メートル以上及び高さ2メートル以上
- (2) 世帯用住戸の数が40戸以上のマンション又は住戸の数が80戸以上のワンルームマンション 床面積5平方メートル以上及び高さ2メートル以上
- 3 災害用格納庫には、別表第4に定める物資を収納するものとする。
- 4 第2項に定めるもののほか、階数が5を超えるマンション又はワンルームマンション(住戸の数が20戸未満のものを除く。)においては、いずれの階からも4を超えない階に災害用格納庫を設置するものとする。この場合において、当該災害用格納庫については、第2項の規定は適用しない。
- 5 事業者は、住戸の数が20戸未満のマンション又はワンルームマンションを建設する場合は、災害用格納庫を設置するよう努めるものとする。
- 6 事業者は、建設しようとするマンション等を管轄する消防署と協議し、必要に応じ防火水槽を設置するよう努めるものとする。
「階数が5を超えるマンション又はワンルームマンション(住戸の数が20戸未満のものを除く。)においては、いずれの階からも4を超えない階に災害用格納庫を設置するものとする」。
つまり、昨日のブログ記事で取り上げた52階建てのタワーマンションであれば、「いずれの階からも4を超えない階」、すなわち8フロア以下ごとに災害用格納庫(防災倉庫)を設置することが義務付けられているのだ。
ちなみに、同施行規則 別表第4には、災害用格納庫に収納すべき物資が次のように定められている。
- 照明器具:懐中電灯など電池式のもの ⇒3台以上
- 金槌:長さ 900ミリメートル程度のもの ⇒1本以上
- バール:長さ 900ミリメートル程度のもの ⇒1本以上
- 避難用・救助用ロープ:長さ 20メートル程度のもの ⇒1本以上
- ラジオ:AM及び FM放送が聴取可能なもの ⇒1台以上
- 軍手 ⇒10双以上
- ヘルメット ⇒3個以上
- 担架 ⇒1台以上
けっこう細かく決められている。
ところで、「長さ 20メートル程度」の「避難用・救助用ロープ」って、高層階でどうやって使うの?