駐車場跡地に建つ小規模マンション。
【最終期 先着順】大手町駅直通14分、駅徒歩9分。総戸数25戸(管理室1戸含む)、9階建。販売戸数5戸、1LDK(45.61m2)〜3LDK(75.3m2)。販売価格2,780万円〜4,130万円。平成24年2月21日竣工済み(本チラシ掲載日の2カ月半前)。
- ※2011年3月25日(金)、4月22日(金)、9月2日(金)の物件と同じ。
新聞半紙大のチラシ裏面に、よく見かける住宅性能表示の記載。
「設計性能評価書」は「取得済み」であるのに対して、「建設住宅性能評価書」は「取得予定」となっている。
おやっ?
本物件は、2月21日に竣工済み。すでに約2か月半が経過している。
なのにいまだ「建設住宅性能評価書」を取得していないのは、なぜか?
考えられる理由は、次の4つ。
- 1.単に事務手続きが遅れているだけ
- 2.「建設住宅性能評価書」取得の要件が満たされていないため
- 3.経費節減(利益確保)のため、「建設住宅性能評価書」のほうは取得しない
- 4.その他
1.が理由であれば、売り主の怠慢。
2.が理由であれば、この物件はパスしよう。
3.が理由であれば、「設計住宅性能評価書」取得済みを喧伝した販促ワザだ。
さて、全国的にみて、「設計住宅性能評価書」と「建設住宅性能評価書」の取得数の乖離はどの程度あるのか?
国土交通省が定期的に公表している「住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく住宅性能表示制度の実施状況」をひも解いて、全国の共同住宅に係る「設計住宅性能評価書」と「建設住宅性能評価書」の交付戸数(取得戸数)の推移をグラフ化したのが次図。
住宅性能評価制度が始まった平成12年度から、「設計住宅性能評価書」の交付戸数は徐々に増加し、耐震偽装事件が発覚した平成17年度の翌年にピークを迎える。
その後、マンションの着工戸数減少とともに、評価書の交付戸数も減少している。
このグラフだけでは、「設計住宅性能評価書」と「建設住宅性能評価書」の交付戸数(取得戸数)の乖離はどの程度あるのか、よく分からない。
そこで、「設計住宅性能評価書」の交付実績の「累計戸数」をグラフ化しみた。
「設計住宅性能評価書」と「建設住宅性能評価書」の交付時期に、1年から2年のタイムラグがあるにしても、平成21年度あたりを境に、徐々に両者の戸数がかい離し始めているようにも見える。
そこで、「設計住宅性能評価書」と「建設住宅性能評価書」の交付時期に、2年くらいのタイムラグがあると想定して、両者の交付時期のズレを補正したのが次のグラフ。
平成21年度あたりを境に、「建設住宅性能評価書」の交付戸数が、「設計住宅性能評価書」のそれを下回っているのがよく分かる。
その理由として考えられるのは、次の5つのケース。
- 1.「設計住宅性能評価書」までは取得したものの、リーマンショックや3.11などの影響で、着工に至っていない、あるいは竣工時期が延伸されているケース
- 2.「建設住宅性能評価書」取得の要件が満たされていないケース
- 3.経費節減(利益確保)のため、「建設住宅性能評価書」のほうは取得しないケース
- 4.その他
- 5.上記の組み合わせ
住宅性能評価制度が導入されて12年が経過。
国土交通省には、無味乾燥な数字だけでなく、「建設住宅性能評価書」を取得していない理由など、分析レポートも期待したい。
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(本日、マンション1枚)